関西P2M研究会コーナー
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プロジェクトとの出会いと関西P2M実践事例研究会への参加

赤石 倫子 [プロフィール] :9月号

1. プロジェクトとの出会い
 私にとってプロジェクトと明確に認識をした仕事は、あるお客様のB2B〜SCMなどCRM全般に渡る全社プロジェクトの推進担当および海外のお客様からの情報システムのコンタクトパーソンとしてに約5年にわたって参画したのがきっかけです。それまでは、“プロジェクト”の実体も知らず、漠然とTV番組のプロジェクトX”のイメージが漠然と有っただけでした。ましてや自分が携わる仕事においては、プロジェクトの概念を持ち合わせていませんでした。それまでの仕事が、ソリューションの技術サポートやセールスサポートを単独または少人数で単発的に担当していたため、弊社のプロジェクトの典型であるお客様のIT構築を経験したことが殆ど無かったためです。

 しかし、上記のプロジェクトでは、“プロジェクトは楽しいものだ“、と思える瞬間が少なからずありました。初めてのことばかりで試行錯誤が続き、上手くいかないこともありましたが、新しいことを1つ1つ解決していくことはやりがいもあり、国内外の多くの関係者が一致団結してプロジェクトを進めていく過程が素晴らしいものだと感じました。特に運用上の協力もいただきながらユーザさんにシステム化を喜んでいただけたときには、業務プロセスとITシステム化プロセスの融合の意義を実感できました。

 そのプロジェクトを終え、“プロジェクトって普通の業務とどうちがうのか?”とか、“どうして、途中でプロジェクトでなくなるのか?“という、今では皆が当たり前のように知っていることも知らなかったことに気づき、素朴な疑問解決のために、プロジェクトの定義から調べました。そのために立ち寄った書店で、偶然PMP(Project Management Professional)やPMS(Project Management Specialist)というプロジェクトマネジメントの資格があることも知り、どのような内容なのか興味を持ったことが、その後の活動の発端となりました。

 これを機会に知識を深めてみようと考え、どちらを先に受験すべきか検討した結果、弊社が取得を推進していたPMSを受験することにしました。丁度、6月のことで、PMS講習会の募集とタイミングが一致していたことも幸いでした。

 幸いにも8月の試験に合格することができ、半年後にP2M実践事例研究会へのお誘いをいただいたときには、参加を決めました。内容が個人的にも興味を持てる部分があったこと、PMS講習会や懇親会が有意義なものであったこと、また、プライベートにおいても、これまでライフワークにしていたスポーツを丁度中断した矢先で、何か全く別のことをやってみようと思っていた時期でもあったことが主な動機です。

2. 関西P2M実践事例研究会における分科会活動
 2007年度の関西P2M事例研究会で最初に参加を決めた分科会は、「オフショア開発事例研究」でした。この分科会を選んだ理由は2点あります。1点目は、当時中国語を学習中で中国語検定の3級を取得したところであり、中国や中国語に大変興味があったこと(メンバーに中国人の女性がいたことが一番大きなモチベーションであったかもしれません。)。2点目は、お客様のプロジェクトから5年ぶりに自社に戻った機会に、これまで経験してこなかったIT開発プロセスについての一般的な内容を一通り知りかったことです。同じ勉強をするならグローバルな事例を題材にしたものの方が、私の個人的な嗜好にもマッチしていました。

 この分科会は、中国のみならず、インド、ベトナム、ロシアでのオフショア開発の7つの事例が、業務アプリケーション、組み込みソフトウェアの両方を含めて盛り込まれています。それらを異文化コミュニケーションに焦点を当てて、如何に言語と文化のギャップを克服し、品質の確保が他の業界より困難といわれているIT開発をいかに成功に導くかをメンバーの皆さんの経験と調査、議論からまとめていきました。(内容については、PMAJジャーナル32号にリーダの寄稿あり、また、関西例会での発表資料は  こちら より参照可能です。)

 この10数人という大所帯の分科会で得たものは色々あります。今まで全く接点の無かった多くの人と知り合えたことは言うまでもありませんが、知識と情報を得たことに加え、多人数での議論の場における物事の進め方は1つのプロジェクト経験とも言えます。また、活動1年目には、大阪大学との産学連携そして、PMAJ関西例会での発表の機会をいただいたことも、私にとっては貴重な経験となりました。2年目は、業務事情であまり参加はできませんでしたが、分科会として「PMフォーラム2006 京都」でトラックをいただき発表の機会を得たことは、活動の集大成となりました。

 余談になりますが、このメンバーの中には、PMPやITC(ITコーディネータ)の資格保持者も多くおられました。その影響もあり、私も当初から習得を目指していたPMPに加え、ITCも取得しました。これも、私にとっては分科会活動の重要な副産物となっています。

3. 分科会のテーマ 〜プロジェクトからプログラムへ〜
 さて、今年7月には今年度(平成21年度)の分科会のテーマとメンバーが決まりました。私は、2年間お世話になった「オフショア開発事例研究」を離れ、心機一転、新しいテーマとメンバーの分科会に参加することにしました。今回のテーマは「環境変化におけるプログラムマネジメント」です。

 近年のライフサイクルが早く、変化の激しい環境に耐えうる、企業体質・プロジェクト体質を目指して、身の回りの課題をプログラムの観点から解決していこうという主旨の分科会です。まだ、キックオフミーティングを実施したばかりで、今後どのように進行していくのか詳細は未知数ですが、初回から活発な意見交換がなされ、よい雰囲気であったことは、とても頼もしく思えました。

 今回の分科会の特徴は、異なる業界や職種の方々が参加されている点です。(建設、製薬、製造、経営コンサルタント、IT・・・)前回の分科会と異なるメンバー、異なるテーマ、異なる雰囲気の中で、様々な議論を通じて問題解決へアプローチしていくことが有意義な経験になると今から確信をしています。

4. 研究会の活動を通じて・・・
  昨年より、私は、P(J)MO(プロジェクトマネジメントオフィス)として大規模なIT構築プロジェクトに携わっています。プロジェクト全体を円滑に運営しながら、お客様に高品質なソフトウェアを提供することがミッションです。

 前述のように、これまでお客様の業務システムのIT開発プロジェクトには縁遠く、プライベートでも個人競技スポーツばかりをやっていた私にとって、このような役割は試行錯誤が続いていますが新鮮でやりがいのあるものです。また、分科会活動と並行してアサインされたこともタイミングがよかったと言えます。分科会の活動を通じて、今まで苦手と感じていた多くの人とのコミュニケーションの場に参加する機会を得ることができたことで、大規模なプロジェクトで一番重要で困難な、正確で円滑なコミュニケーションやチームビルディングに少なからず役立っていると思うからです。

 業務上の行動やミッションを意識しながら社外の活動を行うことによって、コミュニケーション以外にも物事に対する考え方や心構え、仕事の段取りなど、業務においても相乗効果が期待できると感じています。

〜以上〜
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