関西P2M研究会コーナー
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PMの役割はメンバーの教育

川村 けい子 [プロフィール] :8月号

私は、3,4名程度の小さなプロジェクトを動かすことが多いのですが、一方で、コミュニケーション研修の講師を行います。P2Mのコミュニケーションマネジメントではなく、コーチングと組み合わせたスキル研修です。そこで教えている事と実際PMとして行っている中で感じたことを紹介します。

プロジェクト規模が小さく、関わる人が少なくても、メンバー間でのミスコミュニケーションは起こるし、大小様々な問題は起こります。そんな中、PMはコミュニケーションを潤滑油としてメンバー間でプロジェクトが滞りなく進むよう運用する役割がある。一方、メンバーへの動機付けも必要です。そのため、以下の2点をPMからメンバーへ教えることが、よりプロジェクトを円滑に動かすための起動力となると考えています。

1. 仕事にはグレーゾーンがいっぱい

プロジェクトでの仕事の役割は、WBSや役割分担表などで明確にすることが出来る。しかし、実際プロジェクトが稼動すると、メンバー間で仕事が移動する際(きわ)にはたくさんのグレーゾーンがあります。「私の役割はここまでです。後はよろしく。」では済まないのです。仕事を回す次の人が作業に取り掛かりやすいように「少し配慮してあげる」気持ちをみんなが持つことが大切だと思います。他国では仕事の役割分担が明確で、スポーツで言うところの「水泳のリレー」のようなものといわれています。壁をタッチした瞬間に次の人に引き継がれる。一方、日本人の仕事の分担は、「陸上のリレー」のように、バトンゾーンで次の走者と一緒に走るゾーンがある。このゾーンは、まさに配慮する心構えがないと十分な距離をとって一緒に走ることができません。その事を、初めからメンバーに認識させる役割がPMには必要だと感じます。

2. 自由に意見を言える場

メンバー間で自由に意見を述べることが出来る環境は、メンバーに個々の存在価値をアピールする場を提供する意味でも非常に大切です。こんな環境はPM一人では作り上げることはできません。メンバーの協力が必要です。他人の意見を即座に否定したり、自分の意見ばかりを押し通そうとしたりしていると、周りは言う気が失せてしまいます。すべてを受け入れる必要はないが、その人が意図するところを読み取り対話をすることを心がける必要があります。これは、PMの心構えではなく、そこに加わるメンバーが同じ思いでいることが大切だと思います。

「仕事は助け合って行いましょう。」「人の話は良く聞きましょう。」当たり前のことをあえて言う。そんなことでミスコミュニケーションも減り、メンバーは気持ちよくプロジェクトに取り組めるのではないかなと思います。

以上
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