P2M研究会
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『シュアリングって心地よい。』(初回)
シュアティ・マネジメントとSUMA(シューマ)の活動

P2M研究会 佐藤 唯行:7月号

佐藤唯行 プロローグ

 ぼくは、さとうただゆきです。
 ぼくは父親です。ぼくは夫です。
 ぼくは息子で 、兄で、いとこで、おじさんです。
 ぼくは近所の知らない人で、通行人で、時おり飲み屋の酔っ払いです。
 ぼくは元気に走り回ったり、くじけそうになったり、感動で泣いたりもします。

 そしてぼくは防災の仕事屋です。
 ぼくは 37才です。21才の頃からずっと防災の仕事をしてきましたいろいろな災害の場をみてきました。津波、地震、噴火、テロ・・・・。
 どこでも同じことがくりかえされます。くりかえし、同(おな)じように人々(ひとびと)がくるしみ、きずつき、しんでいきます。
 このふしあわせな循環を変えられないか。
 なんとかしてしあわせな循環へと少しずつでも変えていけないものか。
 そういう想いをこの十六年間抱えたまま時を過ごしてきました。

 ぼくは 防災屋です。
 でもその前に息子で夫で父親です。
 ぼくはいきつなぎたい。
 親の世代からつなげられた生(いき)を子どもの世代につなげたい。そして、次の世代がまた次の世代へと、またまた次の世代へと、つないでいってくれたら。
 この願いの原点に立ち戻ってそこからまた歩きだそうと思いました。
 歩きだしたら仲間達と出会いました。今も出会い続けています。
 考える人、言葉を紡ぎだす人、描く人、動く人、伝える人、創る人・・・・・・・
 色々な人たちがいます。
 皆一人では無力だけれど災害というあまりにも大きな相手とそれでも何とか共存することをしぶとくあきらめない仲間(なかま)たちです。

 ぼくはきっと一人ではここまでたどり着けなかった。そしてこれからも人では歩けない。守りたい大切)な人とのつながりを胸に抱え、大切な仲間とのつながりを手にしたとき初めて災害に向かえると思いました。

 いきつなぎたいと改めて感じました。
 『いきつなぐ』には
 『生き(いき)』とか『息(いき)』とか『活き(いき)』とか『域(いき)』の意味が込められています。
 息は生きている証。

 だからぼくたちは
 『息』を活動の象徴にしました。
 ぼくたちは、市民を中心にした社会に『いきつなぐ』でっかい環を創っていきたいのです。

 まだ始まったばかりです。これからがんばっていきます。
 あなたの守りたい『いき』は?

 ぼくたちと一緒に環をつなげてくださいますか?

第1章 社会全体的な災害対応力を目指して

 2004(平成16)年10月、内閣府中央防災会議より『民間と市場の力を生かした防災戦略の基本的な提言』が発行されました。それはこれまで行政主導であった防災施策に対する大きな方向転嫁でもあり、同時に民間の活力を生かしてこそ、行政主導では対応しきれない様々な災害の多様な対策を持続可能な条件下で実現できる可能性を政府が公式に認め、私企業をはじめとする民間活力の防災への参画を奨励するものでした。このような環境は、民間企業に対して、日本の防災に貢献する活動が自社の利益にもつながる具体的な価値創造の可能性を示したものとも言えるでしょう。
 しかし実際にそれが容易に可能となる環境は、現在整備されているのでしょうか?
 どんな災害が、いつ、どこで、どのようにして発生するのか、極めて不確実性の高い災害に備えるには、日本という国全体の防災対策のプログラムを総合的にマネジメントする視点と全体像の提示が重要であるが、現状ではこれができていません。これからもこの防災プログラムの全体観を示すことすらできないと感じています。
 国家プログラムとしての『防災力の向上』に関するマネジメント能力が備わっていない中、各官庁、学術界、産業界、市民がそれぞれに起こす個々のプロジェクトを適切に俯瞰しそれを全体価値すなわち日本社会全体の価値に高めてゆくことができない中で、それを民間企業が社会構造の中でボトムアップ型でプログラムとして描いていく困難さが、適切な防災力を創造し育成していく事業の本質的な難しさといえるでしょう。

☆ Information ☆

次回(8月号)は、『第2章 防災・減災や危機管理からシュアティ・マネジメントへ』を掲載します。
特定非営利活動法人 シュアティ・マネジメント協会 (略称:シューマ)の活動に関しては、下記のウェブサイトからご覧になれます。
NPO SUMA Website :  こちらから御参照ください
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