グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第35回)
プロジェクトマネジメント魂 その1

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :6月号

 今月は、「プロジェクトマネジメント魂再び」というタイトルでこのコラムを書くことを予告した。前月書きたかったことの前に、PMAJ主催の「プロジェクトマネジメント・フォーム2009京都」(以下京都フォーラム)が5月23日(土)に無事終了し、この大会ではプロジェクトマネジメント魂を揺さぶることが種々起こったので、こちらを先に話題にしたいと思う。
 大会の実際の主催者はPMAJ関西である。PMAJ関西は1997年にJPMFが設立された年の暮に第1回の関西例会を開催したというPMAJ会員活動ユニットの老舗中の老舗であるが、2005年頭には、その年の秋にPMAJとして組織統合が決まったJPMFとPMCC(P2Mクラブ)の各々の関西地区組織が完全統合活動を始めパワーアップを図った。会員活動の質量ともにレベルが大変高くまたのりも良く、筆者もPMAJ関西の活動に参加するたびに元気を貰って帰ってくる。
 京都フォーラムはPMAJ史上稀なる壮絶な戦いであった。
大会開催を決定したのが、2年前で、プロジェクトチームが組まれたのが1年前の08年5月であった。当時は日本経済もまだ好調で、有料入場者300名、大会全体として400名の参加を計画した。
 基調講演も、ものづくりイノベーションで世界的な名声を誇る京都のシンボル的存在である、堀場雅夫堀場製作所最高顧問と、ITを駆使した行政改革で全国的に有名になった猿渡知之京都府副知事(現総務省高度通信網整備課長)にお引き受け戴いた。
 しかし、実際の参加登録が開始された本年3月以降は、ご存じのとおり日本経済は地獄に突入しており、関西地区の経済不況は深刻で、集客が遅遅として伸びなかった。大会のプロジェクトチームも必死であったが筆者もPMAJの総責任者として、かなり焦り、大会までに8回関西地区に足を運び、大会のプレイアップに努めた。
感動の基調講演を戴いた堀場雅夫氏  5月の連休前にはまだとても安心できるレベルになかったが、それから怒涛の追い込みが始まった。プロジェクトチームのリーダー諸氏に筆者が加わって徹底的な一本釣り戦略で会員・P2M資格者、会員企業、後援を戴いた団体の皆様に参加のお願いを行い、ほぼ前回2007年の神戸フォーラムと同数の参加者を確保し、また、来賓・講師と大会プロジェクトチームで総勢290名の大会とすることができた。
 (感動の基調講演を戴いた堀場雅夫氏)
 プロジェクトチームの皆さんの、この大会を成功させなかったら、関西の、日本のPMがだめになる、どうか先を見て本大会にはぜひ参加を、というPM魂への問いかけであった。これに応えて戴いたフォーラム参加の皆様の高い志にはプロジェクトチームも協会も大変感動した。
大会当日のスタッフミーティングで段取り変え伝達
大会当日のスタッフミーティングで段取り変え伝達
 集客が伸びだして力を得たと思ったら次の大きな試練に見舞われた。関西を揺るがした新型インフルエンザの感染拡大である。大会前々日にはとうとう京都府にも感染者が出た。この事態で、感染拡大が報道された時点の開催1週間前にPMAJとして理事長が対策本部長となり、会場での感染防止対策の案画、必要対策品の調達、京都府・京都市の新型インフルエンザ対策情報の収集や京都府営である会場での他のイベントの開催情報の継続的な収集など刻々と情報収集をしながら関係先への、大会開催の決意と対策状況の報告を行い開催へのご理解を得ることに努めた。
 対策本部を設けた日には、マスクが全国の薬局店頭から忽然と姿を消した。沖縄にはあるであろうと電話をしたら、2時間前に売り切れとのこと。そのあと大会をぜひ開催したいと願う関東のリーダー(日本ユニシス熊谷氏)が持てる情報網を駆使して奇跡的に千葉県某所で大会参加者数を優に上回るマスクを調達してくれ、プロジェクトチームは地域を越えたPMAJ会員スピリットに大いに感動した。
 大会ボランティアでは、大会への協力を申し出てくれた大学生の皆さんに、大学が休校となったことから、前日に当日協力への自粛を協会側からお願いし、急遽スタッフの役割分担の変更を行った。筆者の目にもリーダーの皆様の大会前夜の疲労は明らかであったが一夜明けた本番では、一同爽やかな表情で、運営は円滑に行われた。
 PMの大会出席が初めての方々は、有料でこれだけの参加者を得られる大会(関西では無料の大会でもなかなか人が集まらないと)、新型インフルエンザ感染拡大のなかで、整然と大会を開催できるPM協会の力に感心しきりであった。
 基調講演の堀場氏は「ひとと効率のよい機械との違いはなにか。それは感動できるかどうかである。何も感動しないのなら、働くのはロボットの方がまし。」、「ふつうのひとは持てる能力の三分の一程度しか使ってない。一度アクセルを全開にしてみたら」と語られ多くの参加者の賛同を得た。
 PMAJの会員と関係者の皆さんは、PM魂を持っており、感動ができる。♥♥♥

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