トピックス(活動報告)
先号  次号

「製造業向けP2M活用ガイド」完成にあたり
リレー随想第2回

北村 保成:5月号

北村保成  製造業向けP2M活用ガイド作成の委員長を努めさせていただきました北村でございます。委員各位のご努力と田中理事長様はじめPMAJ様の絶大なるご支援、そして清水先生のポイントをついたご助言により、完成に到りましたことを心より感謝申し上げます。
 一言に「製造業」と申しますが、非常に幅の広い業種・業界で構成されており、かつ奥の深い技術や組織文化を長い歴史の中で育んできたことを考えますと、とても当ガイドが製造業の全てを網羅しているとは思いません。
 そうした前提で、今回注力しましたのはP2Mの特徴である「プログラムマネジメント」の活用にフォーカスして、前工程である戦略と後工程であるプロジェクトの関連性を併せて可視化することでした。
 当ガイドでは、製造業のプログラムを「事業モデル」と(仮)定義づけしています。「事業」には顧客がおり、お届けする商品・サービスがあり、どんなやり方でというサプライチェーンのパッケージで構成されます。そしてその評価を含めて全体を統括するガバナンスの体制と合わせて4軸の適合状況で事業の成否を見ていこうというコンセプトです。
 グローバルレベルでスピーディな経営が展開される製造業においては、短期間に「事業」の陳腐化が発生してしまうことを恐れなくてはなりません。環境変化と上記の4軸が適合状況にあるかどうかを常に検証して対策を打ち続けることが要求されます。また、世の中がハイスピードであるからこそ、長期的な視点に立って組織能力そのものを鍛え、独自のコア技術や商品、ビジネスモデルを提供し続けることの重要性にも言及したつもりです。
 今回、複数の業種・業界の方々が委員として参画いただきました。皆様のご意見や検証を頂いて、業種・業界に共通的に適用できるいくつかの「モデル」も提示いたしました。各業種をこのモデルで可視化してみることによって、グローバルな座標軸における位置づけや事業遂行の特徴などが読み取れるツールになりうると考えています。
 今後、当ガイドを大いにご活用いただき、足らざる分を補強していただくことによって、日本の製造業が当面する難局打開の一助となれば大変嬉しく思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
ページトップに戻る