P2M研究会
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東京P2M研究会2008、9年研究テーマ
「人材活用と組織能力向上」

代表 渡辺 貢成:5月号

今月は研究テーマとして「ホンネの組織」の話しをします。
1. アメリカではの守
 4月16日(木)JUAS(日本情報システムユーザー協会)主催の「イノベーション経営を支える人材育成」というシンポジウムに参加した。ここで伊丹敬之東京理科大教授の講演で「アメリカではの守」という話があった。アメリカではXXだ、といって、米国での発想を押し付ける。これが必ずしも成功しない事例が増えている。結論は日本もそろそろ、日本型経営に戻ったらどうだろうかという話であった。これはアメリカで成功しているという「タテマエ」を「ホンネ」で考え、「タテマエ」のよいところを参照しながら、工夫をして日本型を創りあげようではないかという提案である。

2. ホンネのPMOの構想
国際P2M学会では数ある研究の中二で「経営のITの融合」というテーマがある。実は発注者の最も弱いところが、「経営とIT化のマッチング」である。2番目が「問題と課題」という問題解決ができていない。東京P2M研究会は「組織能力の向上」に取り組んでいる。ITプロジェクトを調べてみると、成功率が依然として低い。これには種々な要因があるが、基本的にITプロジェクトの困難さは、プラントや他のプロジェクトと相違して、人間の思惑が随所に入り込んで、整理できないところにある。そして失敗原因もピックアッピされているが、その問題を課題化(具体的なアクションプランにする)していない。難しいという認識のまま、同じ失敗を繰り返している。その中で大きな問題は@発注者の要件定義能力、プロジェクト統括能力不足の問題、A受注者の要員不足などがある。近年発注者側はこの問題に真剣に取り組んでいるが、その解消は容易ではない。受注者側の体制にも問題がある。プロジェクト管理の元締めであるPMOがタテマエ上の役割しか果たしていない。人手不足で遅れ気味のプロジェクトに対し、タテマエ上の管理資料を要求し、仕事の邪魔をしている。PMOがプロジェクトをサポートできなければ、そんなものは無い方がいいのではないか。現状から見て、役に立つPMOを考え、これを提案し、この提案を成功させるには何をするべきかというテーマを考えた。

@ ITプロジェクトは必ずトラブルを起こす。(成功プロジェクトでもトラブル処理で四苦八苦している)。
A PMOは奇麗事抜きに、困ったプロジェクトを助けるのが使命である。これが社員の幸せであり、会社の業績向上に直結する。
B PMOには消火活動専門チ−ムを設置する
一つのプロジェクトを受注する変わりに、その要員を待機させる。これは定年後のベテラン社員で構成される。
C 消火活動チームは何をするか。消火活動の最初は火事を出さないことである。防火活動をする。
D プロジェクトガバナンスという概念
プロジェクト受注時にプロジェクトの難易度を鑑定し、受注の可否を決定する資料を答申する。難易度の高いプロジェクトでは要員の選定をする。プロジェクトライフサイクルの構想計画から関与し、プロジェクトを成功に導く、手段を講じる。
E プロジェクトの進捗過程から、サポートを強めるか、放任するか管理する
F 小火が発生した段階で速やかに消火活動をする。早めに消火できれば、赤字幅が減少する
G ITプロジェクトはプラント系に比して多くの点で困難なところがあるので、ドラスティックに対策を講じることで赤字幅を防ぐことが、収益の増加に直接的な影響を与えることができる。
H 究極の狙いは消火活動チームによるナレッジマネジメント活動の展開を目指す

共同研究に参加する研究ボランティアを探している。このような実践的な研究は何組できてもよく、競い合うことが望ましいと思っている。
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