東京P2M研究会2008年度研究テーマ 2008年度の研究テーマ「人材活用と組織能力向上」
代表 渡辺 貢成:4月号
東京P2M研究会は2008年度研究で「激動する世界情勢の中で、競争に勝つために」何をするべきかを考えてみました。
ものづくり、技術、戦略、人材育成と毎回ステレオ的に新聞や、雑誌は取り上げていますが、何かもっと大切なことがあるのではないかというテーマに取り組みました。
1. |
人材育成
人材育成を叫びますが、人材は活用されているのかという疑問です。
例えば、MBAです。日本企業ではMBA資格者を活用することができず、彼らは外資へ転職し、昇給し、活躍しています。 |
2. |
組織とその能力
人材を活用できることが、組織の能力ではないかと考えると、日米の組織のあり方の違いが見えてきます。例えばIT産業では、人材活用より、人材消費(クレームがつくかもしれませんが)の感があります。
日本の組織のあり方について、再考する必要があるという結論になりました。 |
3. |
日米組織論
「企業は人なり」の日本組織、「企業は組織なり」と組織の俗人性を排した米国組織。
産業が成熟期に入ると、細部にまで配慮が行き渡る日本組織が勝利するようです。製造業でいえば米国の品質はある閾値を超えれば合格という概念で組織運営がなされています。これも間違いではありません。しかし判定は誰が決めるかというと、消費者です。米国の消費者がGM車より、トヨタ、ホンダを選んだ事実があります。
では、変化の速いIT産業はどうでしょうか。日本企業の現実を見ますと、組織形態はタテマエとしては米国と同じですが、組織の発展に伴う組織的人材の育成が追従できないという問題を抱えています。変化が早い社会ではトップダウンで組織能力を構成し、人材を社会全体から採用する組織が素早い変化を可能にします。組織が米国式に構成されても、年功序列制を簡単に変えられない日本組織では適所適材が整いません。したがって適所に適材をはめ込むことができず、適材に仕事が集中し、困難な仕事の展開をする状況が続きます。例えば米国に習い、PMOを設置します。このPMOは米国式組織に適したPMOですが、タテマエと違いホンネは組織能力が不十分な状況に、タテマエ上のPMOを設置しても機能しないのが当たり前ですが、ホンネ(「ありのままの姿」を理解しないと、PMOは役に立たないことに気がつきます。
研究の主眼は「タテマエの組織」をやめて「ホンネの組織」をつくってみたらどうかという点を考えています。 |
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