税金を使うプロジェクトから考えること
税金を使わせていただく仕事をしておりますが、年度末になるとやはり公共事業が気になります。ひと昔前なら、年度末になると道路を掘り返す姿を見て、テレビなどが税金の無駄遣いなどと騒がれたものです。最近は税金の執行状況についてはオンブズマン等が厳しくチェックしているので、国会での予算審議の段階のニュースが目立つように思います。
私は国の補助金を使う開発プロジェクトの取り纏めなので、プロジェクトの必要性や目標、金額の妥当性など、説明責任を果たす必要があると感じております。一方で、私も納税者の立場でもあるので、テレビの前に座って自分が画面に向こうにいる自分に向かって厳しく突っ込んでいる自分を想像してしまいます。
さて、私は一体誰のために仕事をしているのでしょう?雇用主である会社のため?当然そうです。だけど、それだけのために税金を使ったら怒られてしまいます。私たちのパートナー企業とともに全力で開発を進め、日本の技術力を高めてこそ、意義があります。技術力こそ日本の強みであり、世界で生き残る根源だと自負しております。
私の仕事は開発プロジェクトなので、成果物を国に納めません。では誰のために税金を使うのでしょう?開発の結果、新しくよりよい製品が生まれます。製品を買う顧客は、国ではありません。まだ、成果が税金まで戻っておりません。新しい製品を買って頂いた顧客は、製品(設備)を使って、さらにサービスを生み出します。これだけでは、まだ納税者に還元されません。
顧客はよりよい製品を使い、より多くの利益を生み出します。利益を生み出せば、税金も増え、国に還元されます。だけどそれだけでは満足できません。特定企業への利益供与になってしまいます。サービスは、まわりまわって国民に届きます。国民がサービスを安く手に入れることができれば、納税者の国民に還元されます。やっと、税金を使った甲斐があるとかんじられました。だけど、サービスを安く手に入れると消費税が減りますので、国の金回りが悪くなります。なにやら、ややこしくなってきました。だけど、その分は別の消費に回れば、結果として税金が増えます。
まだ、それだけで終わりません。我々が生み出した新しい製品は、使う資源を削減できます。資源小国日本としては、国家の存亡に関わることです。大げさなようですが、本当です。さらに、新しい製品は、地球温暖化ガスの排出削減にこれまで以上に貢献できます。国民だけでなく、生命全体に関わることです。これぞ税金の使い道です。
公共工事というと、あまり良いイメージがないのが一般的ではないでしょうか。しかし、あらためて振り返ると、公共事業に係る自らのプロジェクトの位置付け、重要性を再認識することができました。
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