PMプロの知恵コーナー
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プロマネの表業、裏業 (11) 「無邪気な脳」

芝 安曇:2月号

プロマネの裏業ではないが、プロマネの資質に関し、下図に示す評価マトリックスがある。

@有能・野心 A有能・無欲
C平凡・野心 B平凡・無欲

プロマネに最適な資質はどれか?という質問に対し、80%の人はA有能・無欲を選択する。では2番目は誰かという質問では@とBが選ばれるが、条件付きである。
難しいプロジェクトは@、比較的容易なプロジェクトはBが適しているという解答である。
プロマネにAの有能・無欲が選ばれたのは、無欲な人は自分の出世や自分に有利なことを求めず、プロジェクトの成功を一途に考え、多くの関係者の話をよく聞きながらプロジェクトを進めるから、成功の確率が高いといえる。Bの平凡・無欲は類似のプロジェクトを任せると多くの関係者に助けられて、プロジェクトを遂行することができる。
@の有能・野心家は独裁的に成りやすいという心配があるが、困難なプロジェクトは有能でないとできない。多くのプロジェクト経験者は本能的に、これらのことを理解している。

ここからはジョークである。では会社役員はどのような人物が選ばれているかというと@とCである。野心のない人物が出世することは難しい(ジョークですよ)。@の野心家は仕事ができるから派閥をつる。従って野心家が大勢いると、社内の統制が取れない。そこで20%80%の法則が成立する。@が20%、Cが80%これで派閥は二つか、三つぐらいですむ。@の野心家は有能であるが故に脇が甘く、Cの野心家に脇の甘さにつけ込まれ失脚するとも多く、途中脱落が多いため、20%になってしまう。

このジョークはさておき、困難な時期のプロジェクトマネジャーはAの有能・無欲より、無邪気な脳の持ち主がよいということが最近わかった。

最近出版された「無邪気な脳で仕事する」という本がある。感性リサーチ黒川伊保子社長とマーサージャパン古森社長の会話形式で書かれた本である。
黒川: 私は40歳代の人を中心に、「もう一度、無邪気になろう」と言いたい。「無邪気」というのは、純粋な好奇心に溢れ、萎えない気持ちを持ち、そして穏やかな達成感を感じやすい脳の状態のこと。この脳の持ち主は、どこまでも行ける。無邪気さが人としての強さであり、想像力と創造性の源なのです。
早寝、早起き、朝ご飯は、脳力を上げる生活習慣です。この習慣で二つの脳内ホルモンのメラトニンとセロトニンの分泌がよくなり、先に述べた3条件を兼ね備えた、無邪気な脳に育ちます。
天才はどのような才能の持ち主か調べたところ、古今東西の天才の伝記や資料、彼らの論文や語録を読みあさると、彼らはひたすら無邪気で、湧きいずる好奇心、萎えない意欲、ちょっとしたことにしみじみする感動力・・・これらの資質が、人を「天才」と呼ばれる業績に導くことを再認識しました。

この本はまだまだ、素晴らしいことが書かれているから、読まれることをお勧めする。今、多くのプロマネは困難に直面している。困難に直面しているからこそ覚悟をもって、仕事に臨まねばならない。
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