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「ITベンチマーキングSIGの活動のご紹介」

ITベンチマーキングSIG代表 富士通株式会社 久保野 邦子:1月号

 このコーナーは、ITベンチマーキングSIGの活動を皆さんにシリーズでご紹介しているコーナーです。
 ITベンチマーキングSIGは、2002年秋に発足しました。活動は今年で7年目を迎えます。
 『企業・組織を超えてIT業界共通のPMの問題を解決していこう!』という発起人一同の思いは、新たに加わったメンバーと活動に脈々と受け継がれて、実務に根ざした幅広いテーマで研究活動が行われています。研究成果の普及フェーズに入っている活動もあります。まさに「継続は力なり」です。
 PMAJはIT分野だけではなく、エンジニアリングや製造など多業種の会員からなるPMコミュニティです。ITベンチマーキングSIGの活動では、職業、経験、年齢の異なるメンバーが、異業種の知見、ノウハウも結集して、実質的な研究活動ができるのが強みです。2009年の新春にあたり、SIGの趣旨、目的、価値観を心新たに再認識して、PMAJの強みを活かしながら、活動を発展させていきたいと思っています。
 2009年のスタートとなる今号では、SIGの主な活動と成果を網羅的にご紹介いたします。
 次号からはまた、具体的なSIGの研究活動の内容について、個別テーマのWGごとに、リーダーとメンバーが記事を執筆していきます。

☆ 主な活動と成果のご紹介
  研究活動のテーマは、コアメンバーが起案し議論して決めています。プロジェクトの失敗を防ぐこと、プロジェクトのパーフォーマンスを向上させること、コミュニケーションやモチベーションなどが大きな関心事となっています。
 PMの仕組み、PM技術、PM人材育成・活用のジャンルに分類される9つのテーマについて、WGで研究してきました。IT業界の重要な課題となっている人材育成に更に取り組みを深めるために、昨年末に「PM育成WG」が発足しました。現在は7テーマのWGが活動中です。

  テーマ/WG リーダー 内容
PMの仕組み RFPベンチマーク
 完了
梅村 良 RFPの質改善のために、RFPのベンチマークを行い、具体的なガイドラインとなる評価シートと提言を『RFPベンチマーク報告書』として刊行。
PM技術 PMナレッジ
 完了
山本 哲也 失敗プロジェクト事例の分析をして、そこから得た教訓をまとめて発表。
ヒューマン・コミュニケーションプロトコル 板倉 稔 オフショアでの問題を分析し、プロトコル要素発見表など異文化コミュニケーション向上策を研究。研究成果を冊子『SEのためのヒューマン・コミュニケーション技術とコミュニケーション・プロトコル』として刊行。セミナー『PM技術とヒューマンコミュニケーション』を実施。
リスクマネジメント 浅田 誠 現場で役立つリスクマネジメントのノウハウ集『ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック』を刊行。セミナー『SIプロジェクトの実践リスクマネジメント』を実施。
プロジェクトマネジャーの成功条件 佐藤 義男 日本におけるITプロジェクトマネジャーの成功条件をヒューマンスキル、技術などの視点から研究。
PM人材育成・活用 PSと人材活用 松尾谷 徹 プロジェクトメンバーの満足度を高めてプロジェクトパーフォーマンスを向上させるアプローチを研究。
メンバーを元気にするPM行動、ダメにする PM行動  松田 浩一 プロジェクトの活性化をメンバーの意欲の視点で捉えPMとして効果的な行動を研究。研究成果をもとにワークショップをPMシンポジウムで実施。
TPSに学ぶPM 小原 由紀夫 トヨタ生産方式(TPS)の"カイゼン"のような行動をメンバーがとれるようになるとプロジェクトの成功確率は向上するのでないかという仮説を検証。研究成果をもとにセミナーをPMシンポジウムで実施。
PM育成
 NEW!!
木野 高史 SI系PM育成について、育成プロセス、短期育成、実践力(実戦力)育成、研修効果・育成効果の測定手法をベンチマークして、取り組み事例をもとに、ベストプラクティスをまとめ、その横展開手法を研究。

 WGの研究活動の成果は、PMの問題解決の理論化、知恵、ノウハウなどさまざまです。研究成果を関係者が広く活用できるように、冊子や報告書としてまとめています。主な著書として『RFPベンチマーク報告書』、『SEのためのヒューマン・コミュニケーション技術とコミュニケーション・プロトコル』、『ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック』が刊行されています。
 研究成果はまた、月例会やPMシンポジウムで発表して、世の中に普及しています。ヒューマン・コミュニケーションプロトコルWGやリスクマネジメントWGでは、『PM技術とヒューマンコミュニケーション』、 『SIプロジェクトの実践リスクマネジメント』のテーマでセミナーを開催して継続的な普及活動に入っています。PSと人材活用WG、メンバーを元気にするPM行動・ダメにするPM行動WGでは、PS研究会主催でPSシンポジウムも開催しています。
 国際的な活動にも参画しています。PMAJ主催の国際プロジェクト・プログラムマネジメントシンポジウムが、昨年、東京で開催されました。世界20数カ国からIT、エンジニアリング、建設、製造、大学・教育関係など各分野のPM関係者が参加する大きな大会でした。ここで、IT-SIGの代表として、ヒューマン・コミュニケーションプロトコルWGが研究成果を発表し、世界のPM関係者と技術交流を図りました。

☆ テーマと人の輪を広げ、深める
 この6年間で、活動の広がり、テーマの広がり、成果の普及が着実になされてきました。人の輪も広がってきました。しかしIT業界のPMは、まだまだ課題山積の状況にあり、やるべきことがたくさんあるのが実態です。また研究内容も、より現場で活用できるものにするために深めていくことが必要です。幸いPMの実務経験と見識・知見のある方々がコアメンバーとしてSIGを引っ張ってきてくださっています。この素晴らしさを継続しながら、さらに研究活動のテーマの立案とWGのリーダーを担う方々を広げていく工夫が必要と感じています。
 コミュニケーション能力がますます要求されるようになってきています。基本は自分とは違う価値観をもっている他者を認めることから始まります。ITベンチマーキングSIGは、いろいろな経験、立場の人がいます。メンバーの輪(和)を大事にしながら、高い質をめざして切磋琢磨できる、他流試合ができる絶好の場です。
 今年は、PMAJの他の研究会とのコラボレーションや外部組織との連携にも積極的に取り組んで、研究活動のテーマと人の輪をもっと広げ、さらに研究内容を深めていきたいと考えています。
 PMに役立つ新たなテーマを立ち上げて世の中に貢献し続けることができるように、SIG設立の趣旨をかみしめて、メンバーの方々と力を合わせて活動を発展させていく所存です。

  IT-SIG,内容にご意見ある方、参加申し込みされたい方は こちらまでメールください。歓迎します。

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