今月のひとこと
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「日本を再生する人材活用のPM」 (3)

オンライン編集長 渡辺 貢成:8月号

先月号で組織IQということに触れました。
組織IQ
6月19日の日経「経済教室」で組織IQの話が出ていました。簡単に説明しますと、企業は人材育成をすることは結構なことですが、組織のIQ度を高めないと、企業能力は高くならないという内容です。図をご覧下さい。Y軸が組織成員の資質です。X軸が組織IQです。企業の能力はX,Y軸が成長して大きくなると説明しています。

組織IQとは図中に示してありますが、@外部情報感度、A内部情報流通、B効果的な意思決定機構、C組織フォーカス(決定方針に組織全体が経営資源として努力を集中するレベル)、D継続的革新とあります。いわば組織の感度を高めなさいというものです。問題の解決への取り組みと解決の早さが企業能力を高めるとしており、日米ともども組織IQ度の高い企業の財務結果がいいようです。

早速アマゾンからヘイム・メンデルソン、ヨハネス・ジーグラー著「スマート・カンパニー」を中古で購入し読みましたら、IQクイック・スキャン用のチェックリストがありました。役に立ちそうです。

ダイアモンド社のハーバード・ビジネス・レビュー8月号には「学習する組織の成熟度診断法」という記事が出ていました。先月号でデミング博士の業績についてお話しましたが、彼の弟子でMITのセンゲ教授が「ラーニング・オルガニゼーション(学習する組織)」邦題―最強組織の法則―を1990年に出版しています。これも組織能力をどのようにして高めるかという内容です。ハーバード・ビジネス・レビュー8月号では、1990年に出版された「最強組織の法則」の重要性は理解されたが、概念は総論的でマネジャー向けに落とし込まれたものではないので、真に普及するために、組織学習の深さを診断するツールを開発したとして、あなたの会社の「学習する組織」としての成熟度診断法を披露したものでした。

最近の傾向は個人の育成から組織の育成が大きなテーマとなっていることです。日本ではMBAを取得しても、活躍できる現場が見当たらないという理由で、優秀な人々が外資へ、外資へと流れていきます。最近Tとつく大学卒の流れが役所から外資へと変わっているという傾向も見られます。日本の企業は人材を育成するという従来の発想に止まらず、人材を正しく活用することを考えないと、このままでは優秀な人間は日本企業ばなれするという予兆が現れています。

来月は日本の現場力復活をテーマにします。
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