図書紹介
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成功の五角形で勝利をつかめ!
(三田紀房著、大和書房発行、2008年06月20日、第2刷、189ページ、1,200円+税)

デニマルさん:8月号

この本の副題は、「ドラゴン桜」流ビジネス突破塾・実践編である。ドラゴン桜については、昨年10月号で紹介した。著者は、ドラゴン桜の連載で一躍有名となり、第29回講談社漫画大賞や、平成17年度文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を受賞している。この連載から受験勉強の秘訣を分かり易く有名予備校の先生の様に幾つかの本も書いている。受験勉強も人生の目的達成のプロセスと位置付けて、幼い頃から自然に楽しく勉強する習慣化を説いている。今回の本は、サラリーマンを対象にしたビジネス書である。それも会社を学校に置き換え、「教師のいない学校」としての発想から仕事にあたる極意を縷々書いている。

成功の五角形とは   ―― ビジネス突破塾(実践編) ――
毎月おびただしい数のビジネス書が発行され、本屋の店頭にうず高く積み上げられている。それだけサラリーマン等に読まれ、勉強していることになる。何故、そんなに勉強するのであろうか。会社の上司や先輩は教師ではない。更に、「仕事のやり方に正解はない」ので自分のことは、自分で学ぶしか方法がない。だからビジネス書や資格取得の本が売れていると著者は解説する。そこで成功の五角形の話が出てくるのだが、この中味は、高等学校までに学んだ、国語、数学、理科、社会、英語の五教科がビジネスの基礎力であるという。

最高のビジネス書  ―― 学校の教科書から学ぶもの ――
著者は、先の五教科の中でも日本人なら「国語」が最も基本であると力説している。数学にしても、理科にしても「国語」力がないとものの理解が出来ない。文章の読解力や作文力は、学生時代に基礎力を付けて置かないと、大人になってからでは遅い。会社に入ってからも社内文書や契約書やメールに至るまで、全て日本語である。特に、教科書に書かれた内容は「全て良質な文章で、コンパクトにまとめられている」ので、普段から教科書を読みつけていると、自然に国語力が身に付いていく。国語力は仕事力の原点であるという。

教科書はビジネスマンの基本  ―― 基礎力と応用力の育成 ――
五教科の国語は、読解力とコミュニケーション力。数学は論理思考力。理科は仮説力と検証能力。社会はネットワーク力。英語はクソ度胸であると書いている。最後の英語の件だけ補足すると、現在はグローバル時代だが、英語は仕事の本質ではない。出来ないより出来た方が便利である程度に割り切って、国語・数学から基礎力を学び、理科・社会・英語から応用力を身に付けるべきであると強調する。最後に、教科書で学んだ能力は、仕事上の「文章」や「構想」としてアウトプットされて、初めて実力評価されると結んでいる。

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