PMプロの知恵コーナー
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−プロマネの表業、裏業合わせて一本−
「個人の成功(出世)への裏業とプロジェクトの成功への表業」

芝 安曇:5月号

人間誰しも成功したい願望はある。多くの人が望んでいるから出世に関する本が多く出版される。
芝 安曇は歴史が好きである。歴史の多くは政治力学と人間力学で成り立っているからである。「科学」は日進月歩であるが「政治力学も人間力学」は4,000年来変わっていない。社会は変わるものと普遍的で変わらないもので成り立っているところが面白い。芝 安曇はプロジェクトマネジャーの経験を歴史的普遍則と融合させ、これを経験則とし、自己の経験をあたかも科学であるかの錯覚を与える手法を開発した。これがプロジェクトマネジャー自在氏の経験則である。お陰で自在氏はKKD(経験・勘・度胸)のPMと馬鹿にされずに今日に至っている。

今回のテーマは成功の経験則である。裏業から入る。「会社における出世の法則である」。これは役に立つ。御用とお急ぎのある方も必読のエッセイである。
本屋には出世に関する本がある。最近は手っ取り早いことが受ける。2分間成功法等々である。中身は正しいことが書いてある。正論である。
@ 上司に認められる方法
A 上手なプレゼンテーションの手法
まだまだ沢山あるがこの程度にしておく。しかし本屋で「ヨイショの法則」などという本を見かけない。これが裏業である。

芝 安曇は「プロジェクトマネジャー自在氏の経験則」を業界誌に書き続けた。11年前の出版物だが、この経験則は未だに新鮮である。自己宣伝はこれほどにして裏業から入る。
質問 1: あなたは四六時中仕事のことを考えています。では昨日仕事を外れて部下のことを何分間か考えましたか?
回答: 30分程度です
この人はうそつきだ。考えないが普通である。恥じ入ることではない。そんな暇がないのが正解である。真剣に仕事に取り組んでいるからである。
質問 2: 部下のことを考えてくれていない上司に認めてもらうにはどうしたらいいと思いますか?
回答: 正月に上司を訪問したりします
これでは成功しない。皆と同じことをしたって戦略にならないことが表の人間はわからない。
裏業師なら何を考える。出版した経験則から抜粋して話を進める。

出世の第一原理「戦略的出世の原理」
第一条「会社とは誰かの原理」
 表の人間は「会社というものを漠然としか考えてない」。しかし裏業師は違う。「会社とは上司」と答える。「多くの人は漠然と会社のために奉仕しているが、上司に奉仕しないと評価してくれない。上司が評価してくれないと出世ができないよね」である。
第二条「上司も人の子の原理」
 第一則「上司は部下が考えているほど、部下のことを真剣に考えていない」
 第二則「上司は孤独感に悩まされている」
 第三則「上司も人に評価されたがっている」
この法則は自明の理で解説不要である。

では戦略家の裏技は何か
  • 「あなたは上司に認められることを考えるな。その代わり上司を認めることを考えよう」
  • では何をするか。上司が今何を真剣に考えているかを観察する。上司の考えていることと行動の素晴らしさを発見し、折を見て賛意を表すること、その問題について教えを請うこと、お手伝いできないかと頼むこと。
  • 上司はあなたに好意を持つ、次に何かを依頼し、次第に俺の後継者は彼だと思うようになる。
ここまでは個人の成功(出世)への裏業である。但し、結果はあなたに実力があっての話ということになる。

では表業のプロジェクトを成功させる話はどうなるか。簡単である。裏業師の手法を部下に適用することである。
  • あなたはプロジェクトマネジャーである。評価されたがっている部下が何を望んでいる理解し、評価することである。
  • 彼の行動を観察し、ほめることである。
  • 最初に彼を理解することで、あなたは部下から理解され、あなたの期待することを部下が理解し、プロジェクトはスムーズに成功に向かって動き始める。
  • そして多くの人に伝わるようにプロジェクトの成功は部下たちのこの努力のお陰と評価することを忘れてはならない。これでプロジェクトは成功する。あなたは楽をしてプロジェクトの成果をもぎ取ることができる。
  • 但しこの成功を自慢すると成功の果実は地に落ちてしまうからご用心である。
以上

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