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PMRコーナー 「PMRのみなさんへ」

PMAJ 鮫島 千尋:2月号

 抱負も新たに良き「子」年を迎えられたこと思います。ネズミは、全世界で1000種類いるといわれ、リスやヤマアラシとも仲間で齧(げっ)歯目に属し、これらを含めると6000種類以上もいるといわれ、全哺乳類の内の半分近くを占めると云われています。
 「子」は、十二支の一番目の位置にあり、時間では午前0時を、方位では北を示し、多くの基準となっています。白い鼠は富と福をもたらす大黒天のお使いと云われて福碌をもたらします。この「子」の年が、「新版P2Mガイドブック」によって、P2M飛躍の「元年」となることを祈念いたします。
 このコーナーでは、PMRの方々からPMR資格取得の切掛けや、その後のご活躍振りが披露され、大変興味深く読ませて頂いております。
 国家資格を始めとして、一般的な資格における下位・上位関係は、その科目(資格)の知識・技術(実地・実技)の難易度や高低であったり、実務経験年数が元になっていたり、基本(基礎)と応用であったり、関連科目の多寡によって決められているケースが多いようです。たとえば、皆さんがお持ちの自動車の免許では、法律は全科目において共通で、技術的な種類や大きさ(クレーン・トレーラー、大型・小型、エンジンの排気量の大・小など)と経験と応用技術(一種、二種)により限定するものとなっています。医者の場合、一般的には、医学部に進学し、国家試験に合格した後、二年以上インターン制度で臨床研修医として実務経験を積み、医師となります。司法試験の場合は、二次までの学科、面接試験に合格すると、その後に最高裁判所に司法修習生として採用され準国家公務員として司法修習(研修、実習を含む)を積み、その後職種(裁判官、検察官(検事)、弁護士)を選択することになりますが特に上・下の関係はありません。技術士の場合は、科学技術の分門別の専門的応用能力試験で、第一次試験合格者で登録を済ませた人を技術士補とし、第二次試験合格者で登録を終えた人を技術士としています。技術士補は、技術士になるために技術士の補助をして技能を修得することになっています。
 P2Mの資格体系では、PMCとPMSともに知識体系の試験で、PMCはPMSのサブセットですので、その試験範囲の広狭が異は異なっていますが、同じ試験域では、難易度などは同じです。PMSは、P2M全体の知識体系をマスターしている人です。PMRは、P2M知識体系に対する実践能力を持っている人、つまりP2M実務家ということになります。言い換えれば、PMRはP2Mの実地試験合格者ということにもなります。
 そのPMRの役目は、皆様から実績が報告されている通り、(1) どんな時、どんな場面でも他の人、他の部署、他の企業よりもひと際「高い視点」、「広い視野」を以って構想のデザイン、調査・分析、企画・設計、実施、運用、保守、そして最終ユーザーへの観点と最終ユーザーからの観点、更にはリサイクルや環境、セイフティなどへの配慮の意識を常に持って、プロジェクト & プログラムマネジメントの運営・業務に当たること。(2) 実施の過程では、常に「新しい角度」から絶妙な「タイミング」で「決断と決行」することで要求に対処・解決すること。(3) P2Mタワーの棚から引き出され活用される知識等と皆様の持ち味であり、又、意識的に軽重、深浅をつけながら発揮される体系化されたタクソノミーで裏打ちされた実践力としてのコンピテンシーによって冷静・沈着・慎重、且つ先見性を持った行動で、事をこなしていくこと。そして、(4) 後輩であるPMSの人やPMCの人たち、潜在P2M要員をリードし、一段高い位置へ育成していくこと等々にあるといえます。
 P2Mの知識体系は、PMC、PMS、PMRのどの方達にとっても共通な知識です。とは言え、他のPMには見当たらない特徴的な点は、イノベーション(新機軸を設けること、革新すること)、価値創造、戦略、ファイナンス、経営等々を終始一貫して意識した実用性の高い体系となっていて、プロジェクト & プログラムマネジャとして扱う体系の範囲が大変幅広いこと、この知識体系に対する実践力を重視していることなどにあります。これは、プロジェクト & プログラム実施上で係わるあらゆることに細心の注意を払い、「私には関係ない」ということを極力無くすことによって、失敗やトラブル(問題)の切掛けを事前に払拭し、又、芽があったとしても見逃すことなく洞察力をもって局所で抑制すと共に、早期に発見し、自ら直接的に素早く対処(決断力と行動力=決断と決行)できることが期待されています。これこそが経営者にとって一番ありがたく、欲しいPMのパフォーマンスで、企業貢献として評価はしにくい事柄ではありますが、ムダ無く、ムラ無く、無理なく、漏れ無く、重複無く、スキ無くマネジメントすることは、企業パフォーマンスと信頼性確保にとって最も効果が大きいといえます。
 マネジメントとしてなすべきことの要素には、「管理」や「コントロール(制御)」することがありますが、一番負荷も大きく、知識力や経験、その応用力、知恵と工夫などを総合力として求められるのは、「問題の発見とその解決」で、更に真の力として問われることは、「課題(テーマ、割当てられた任務)を設定して、その課題にチャレンジ、到達(達成)する」ことです。「管理やコントロール」は、全体の2割程度で、「問題への気づきと解決、課題の設定と達成」が8割であるような行動が執れれば、価値創造やイノベーションにも多くのことが繋がっていき、ステークホルダーに望まれるP2M資格者であると云えるのではないでしょうか。
 プロジェクト & プログラム実施上でマネジメント力が試されるのが、組織形成とその組織力を発揮できるチームビルディングで、チームビルディングの効率化は、「情報」授受の伝達力、コミュニケーション力が重要な要素で、メンバーの意識合わせと士気に大きく影響します。「情報」について大切なことは、その「情報」の微(極々僅かな)変化を読取り、更に次へ変化していくであろう微変化を先読みすることです。そして、その微変化の部分をチームで共有できることです。共有を正確に行い役割分担が果たせるかは、共通の土俵(インフラ、プラットフォーム、コミュニティ)が必要で、組織力につながります。如何に共通の言葉・知識・技術・手法などを自分のものとして、または、チームのものとして多く持つか、それを時と場合に応じて自由自在に使いこなせるかに掛かってきます。そこで「知識体系のP2Mタワー」がモノを言うのです。PMC、PMS、PMRが共通知識体系を持つ強みです。又、プロジェクトの新規性、規模、業務の熟達度、範囲、複雑度、役割などに応じてPMC、PMS、PMRがチームの中で連携して役割と責任を分担する企業内「P2M人材の組織によるP2Mタワー」が出来ればその強さは一層強化されます。昨今の企業グループやプロジェクトの組織形成でも、それぞれの役割や業務・作業内容に応じて、PMC、PMS、PMRの資格者を必要なだけ保有しプロジェクトに臨むことで、企業協力や組織による「企業間の運営隊形によるP2Mタワー」として強靭な隊形を構築できます。P2M資格の特徴を活かして、こうした位置付けをすることでプロジェクト & プログラムのマネジメントをすることができるのも強みといえます。PMRの方々が中核となって、P2Mの知識体系と資格体系を活用してプロジェクト & プログラムマネジメントの主力エンジンとして「ミッション」が達成されていくことを期待いたします。
 自他共に認められた3,500名を越えるP2M資格者たち同士が、プロジェクトやプログラム実施上では勿論のこと、P2M研究会や例会などを通じて、よりネットワーキングを強め、個人的にも、チーム、組織、企業活動等々とでも一丸となって新しいうねりを作り、同業他社の壁を越え、異業種の則を越え、プロジェクト & プログラムマネジメントが推進され、自信を持って新版P2Mガイドブック(の知識体系)を新たな盾と鎧として、また、洗練されたタクソノミーによる体系化された実践力を武器として、果敢に夫々を守りと攻めに使いましょう。P2Mをバックボーンにすれば、KKD(勘と経験と度胸)も良いとし、KKK(勘と経験とコツ)も良いとし、KDD(勘と度胸とどんぶり勘定)も良いとするも、GNP(グラウンドデザイン、ネットワーキング、プロジェクト & プログラム・プロセスイノベーション)をも成就することができるでしょう。マネジメント実施過程で、一瞬でも迷いが生じた時には、知識・技術・実践などの基本型が集約されているP2Mを機軸として立ち戻ることで切り抜けることが出来ることでしょう。今年も巧妙なリーダシップとP2Mチームプレーで良き年としてなりますことを祈ります。

 PMAJは、P2Mタワーを大切にして、P2M資格者と個人会員、法人・団体会員と一つ岩になって発展していきたいと思います。今後ともご支援ご協力をお願い申し上げる次第です。

P2Mタワー
(企業内)P2M人材の組織によるP2Mタワー
企業間の運営隊形によるP2Mタワー

実践力発揮の10の基本要素(タクソノミー)
I. 全体思考様式: ミッション追求型基準(Mission pursuit)
    問題発見、問題克服、解決への道筋思考ができる
II. 戦略思考様式: 成功要素認識基準 (Strategic key perception)
    戦略要素を知る、優先順位をつける、障害に手を打てる
III. 統合思考様式: 価値追求型基準(Value pursuit)
    変化を知る、価値を維持する、オプションを適用する
IV. リーダシップ様式:リーダシップ型基準(Leadership for innovation)
    改革に挑む、意思決定ができる、状況打破ができる
V. 計画行動様式: 計画行動型基準(Management in planning)
    目標と資源を計画する、組織をつくる、ルールを決める
VI. 実行行動様式: 実行行動型基準 (Management in execution)
    契約を理解する、システム思考ができる、指揮できる
VII. 調整行動様式: 調整行動型基準(Management in coordination)
    進捗予測ができる、進捗障害を知る、解決できる
VIII. 人間関係様式: コミュニケーション型基準(Human communication)
    チームを維持する、メンバーを動機づける、場をつくる
IX. 成果追求様式: 成果追求の姿勢(Attitude of achievement)
    成果を追求するマインド、エネルギー、共感形成力、責任感
    対外組織説得力、価値を考える、結果をフィードバックする
X. 生活様式  : 個人姿勢型基準 (Attitude of self control)
    自己規律がある、倫理を守る、責任を持てる、前向きの姿勢がある

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