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「もったいない」の実践事例(オンラインジャーナル11月号)を読んで

石原 信男:12月号

 「赤福」のやったことには改善すべきことが多々あるものの、私は賞味期限とか消費期限というもののあり方に、かねてから疑問をいだいていました。
 我が家では賞味期限・消費期限は、いわゆる目安として参考にしています。そして、 食品の味の劣化とか傷みは自分の味覚と嗅覚で見極めをつけています。成人の私たちには、生きるために自分を守る本能とそれを活かす知恵と経験に裏付けられた判断力が、かならず備わっていると信じているからです。

 今、私たちは、「与えられた情報」に依存する生活にひたりきっています。賞味期限にしても消費期限にしてもすべてが日付というデジタル情報で仕切られており、このような他から与えられた情報をただ鵜呑みにするだけで食品の安全性に対処しています。
 賞味期限・消費期限の日付は単なる判断基準の一つにすぎないのではないでしょうか。この日付を境にして「過ぎても食すか」あるいは「過ぎたら捨てるか」の選択は、私たちが自分の判断に基づいて決めるものだと私は思っています。
 もちろん、かくいう私も、賞味期限・消費期限が不要だと言っているわけではありません。かかる日付がシロかクロかの絶対的な判定基準なのかということです。

 渡辺さんもおっしゃっているように、「赤福」を買って帰宅後にすぐ冷凍するというのは、好きな食品を美味しく長く楽しむための一つの知恵です。このような知恵が活かせるだけの生活環境はすでの充分に整っているはずです。冷凍冷蔵庫しかり、電子レンジしかりです。冷凍しておいてチンすればすむこと。私は「御座候」を同様な処理で楽しんでいます。

 今回の不祥事では「赤福」には充分な反省と改善をうながしたいものです。それと「赤福」にもプロジェクトの何んたるか、プロジェクトのマネジメントはどうあるべきか、このあたりを勉強してほしいと思います。生ものの商品の特性から考えて、いくら味に自信があるからといって、あれだけ販売量とエリアを拡大してしまったらムリが生ずるのは当然です。プロジェクトの基本構想に不備があったとしか言いようがありません。
以上

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