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PMRコーナー 「PMは楽しい」

(株)CSKシステムズ 流通サービス第一グループ 第三開発部 河戸 保 PMR:11月号

P2Mとの出会い

 私はCSK(現 CSKシステムズ)に入社し20年になります。この間、大半をシステム開発プロジェクトに携わってきました。幸いなことに私は早くからプロジェクト・リーダーを担当させていただく機会に恵まれました。当時、開発方法論は社内で整備されておりましたが、プロジェクト管理論は整備されていませんでした。このため自己流のプロジェクト・マネージメントが行われていました。私が現代的プロジェクト管理を知ったのは1999年でした。PMBOKの研修に参加したのがきっかけです。今まで部分的な管理手法しか知らなかった自分にとって体系的に整理されているPMBOKを見て感動したことを覚えています。私はPMBOKベースでプロジェクト管理力を向上させたいと思い、早速実務に取り入れました。しかし、PMBOKのことを理解してくると何か物足りないように感じてきました。私の解釈が間違っているのかも知れませんが、PMBOKはプロジェクトを請け負った業者側の視点で整理されており、プロジェクトを発足させた委託者側視点が足りないのではないかと感じ始めました。このような思いを社内のPMが集まる会合で話をしたら、「河戸の行っていることはP2Mの発想だよ。」とP2Mのことを教えていただきました。これがきっかけになり、PMSの対策講座に参加させていただき、PMS、PMRの資格を取得しました。

P2M発想と業務

 CSKでは「第3者レビュー制度」というものがあります。これは社内の有識者が他部門のプロジェクトを様々な場面でレビューをする制度です。私もこの制度のレビューアに登録されています。レビューアになると年に数回から10回以上他部門プロジェクトのレビューを実施します。レビューは事務局と数名のレビューアにより実施しますが、基本的には2時間ぐらいを目安に実施します。2時間という制約の中でいかに正確に状況を把握(ありのままの姿)し、「あるべき姿」を共有し、そのために実施しなければいけない対策・課題を共有できるか。これに役立つのが「プロファイリング・マネジメント」です。ミッション、関係性、シナリオを整理し、あるべき姿と現状とのGAPを明確にします。また、提案時であれば、「プログラム戦略マネジメント」エリアにて本当の問題解決とは何か、「アーキテクチャマネジメント」エリアでロードマップやスキームモデルについて、「プログラムライフサイクルマネジメント」エリアにて全体の価値最大化について話し合います。つまり、プログラム統合マネジメントを最大限活用しています。活用しているといっても体系化しているわけではないので、今後は「プログラム統合マネジメント」の思想を形骸化しない程度に整理し標準化しないといけないと感じています。

PMは楽しい

 PMはプロジェクト(プログラム)について自分のプロジェクトであるという意気込みが必要です。この意気込みを明確にするのが「ミッションステートメント」だと思います。  弊社のようにIT系の事業者は他社のプロジェクトに対し、システムとして解決すべき部分を請け負うケースが多く、本当の問題は何だったのか見失ってしまうことがあると思います。このようなことを避けるためにも「ミッションステートメント」は非常に重要だと考えております。このミッションステートメントを自ら書けるPMはなんて幸せなのだろうと自分は思います。本来はミッションですからプロジェクトオーナーやステークホルダーからの希望・期待・制約などですが、それを自分のものとして納得してから実行に移せるPMは幸せだと思います。

P2M、PMRへの期待

 P2Mの良いところは「戦略思考でプロジェクト(プログラム)のことを本当に考える」ところだと思います。本当に考える=「倫理観をもって、最善の方向に導く」ことだと思います。過去にPMRの資格を取得した方、これからPMRの資格を取得しようとしている方、全ての人が倫理観を持ち自らの経験と知識を活かしプロジェクト(プログラム)を最善の方向に導いて欲しいと思います。
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