PMP試験部会
先号   次号

「プロフェッショナルとは」
〜確固たる信念・倫理観を持ち、ぶれない軸がある〜

研修第2部会 小林 守:PMP、技術士(情報工学):6月号

1. はじめに
 以前から「プロフェッショナル」になりたいと思い、技術士の資格を取得し業務に役立てきた。そして更なる研鑽としてPMPの資格を取得した。今回オンラインジャーナルに投稿する機会を与えていただき、先輩の記事を拝読させていただいた。そしたらWebオンラインジャーナル(5月号)に「PMBOK®ガイドの読み方(第16回)―「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル」という」タイトルで、「プロフェッショナル」についての掲載があり非常に興味深かった。特に著者峯本展夫氏の力作に対し、加藤了氏が「PMI®の思想」を知ることが大切であると書いておられ感銘した。今回私も「プロフェッショナル」については、他の分野でも定義されている。ここに紹介します。

2.プロフェッショナルの由来
 著者 峯本展夫氏の「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル」を読んでいただければ良いが、他の分野と比較するために、もう一度「プロフェッショナル」の由来を調べて見ると、Webサイトに掲載されておりましたので参照させていただきました。

**************************************
 プロフェッショナルの語源は、“profess(宣誓する)”という言葉からきており、
「神に誓いを立てなければならないほど厳しい職業である」という意味がある。
特にプロフェッショナル第1号は、紀元前5世紀に古代ギリシアで活躍した、医学の父、
ヒポクラテスを指す。
**************************************

3.プロフェッショナルの意識とは
 プロフェッショナルの定義は、神に誓いを立てなければならないほど厳しい職業、すなわち修道士、医師、弁護士等の職業であるという。これらの厳しい職業は独立して自分を律することができることを指す、さらに自分を律することができるのは意識の高貴さが常に望まれるものである。この概念をプロジェクトマネジメントに適用したのが米国PMI®である。

4.他の分野でのプロフェッショナルとは
 日本では、「プロフェッショナル」と言える職業には、国家資格である医師、弁護士、司法書士、税理士、技術士がある。特に技術士の資格については、下記の責務を遂行する義務がある。
@ 信用失墜行為の禁止(第四十四条)
A 技術士等の秘密保持義務(第四十五条)
B 技術士等の公益確保の責務(第四十五条の二)
C 技術士の名称表示の場合の義務(第四十六条)
D 技術士の資質向上の責務(第四十七条の二)

 上記の、B公益確保の責務はPMPの利害関係者間の調整に繋がる。またD資質の向上はPMPの個人の能力(コンピタンス)の増進に繋がる。またC技術士の名称を表示する場合、技術部門を必ず明記する必要がある。特に技術士の場合では20部門あり、その部門の高度な専門能力を有することを示している。

5.継続的な教育の必要性(PMPの60PDU、技術士の150CPD)
 自己研鑽が重要な役割を果たす米国PMI®のPMPでは、資格を維持するために「個人の能力(コンピタンス)の増進を図る」があり、3年間で60PDU(Professional Development Unit)を満足して更新する必要がある。そしてPMI®からPMPの資格は継続することが許される。一方技術士は、(社)日本技術士会が3年間で150CPD(Continued Professional Development)を実施したことを監査しCPDを認定する制度がある。CPDの認定者は継続的に自己研鑽し高度な専門能力を有していることを示す。 但PMPのPDU数と技術士のCPD数は、それぞれ研鑽内容が異なるために比較はできない。

6.求められるプロフェッショナルとは
 プロフェッショナルには、継続的な自己研鑽にて個人の能力(コンピタンス)の増進を図り、利害関係者間の調整する能力と同時に倫理観があることが重要となる。
しかしプロジェクトでも技術士の仕事でも、多くの人と一緒に仕事を行う必要がある。その仕事の上で確固たる信念・倫理観を持ちながら、物事の考えがぶれない軸を持ち、他人と容易にコミュニケーションが取れることで求められるプロフェッショナルになる。

7.最後に
 PMOBOKを武器に活躍するPMPも、高度な技術の応用能力を求められる技術士もプロフェッショナルとしては職務に責任を持ち社会に貢献することは同じである。またプロ意識という意味では、企業の社員でも独立者であっても同じように存在する。だが近年の情報飽和な時代にあっては、周囲の情報に振り回されないように確固たる信念と倫理観を持って、信念がぶれない軸を保ちながら、その軸をさらに太くする努力も重要となる。
以上
ページトップに戻る