PMBOK®ガイドの読み方(第17回) ―PMの育成:Jr PMの教育―
研修第2部会 村松 亨:7月号
1. はじめに
PM育成については、どの会社においても、強い関心を抱いていられると思います。弊社においても同様で、さまざまなビジネス要求に応えて行くためにPMの育成は最重要課題と成っております。IT業界におけるキャリア採用でそのような人材を確保するのが難しい昨今、弊社においては将来プロジェクト・マネージメントができる素質を持った人材を新卒で確保し、教育していくプロセスの導入を始めております。しかしながら実状として、部分的な教育に留まっており、体系的な育成にはいたっておりません。それでは10年以上のプロジェクト・マネージメント経験者と同等の知識や能力を、入社数年の社員が実現するためには、どのような教育をしていけばよいのでしょうか。
今回は筆者のミッションでもあるJr PM( PMにアサインされて1〜2年程度の経験者)の育成・教育についてまだ発展途上の段階では御座いますが一部を紹介させていただきます。
2.教育プロセスの紹介
IT企業でアウトソーシング業務をしております筆者が実施している、Jr PMの教育プロセスについて下記に示します。
@ 知識エリアの習得
一つはPMP取得の為の社内外研修受講。もう一つはPMBOKの9つの知識エリアの中から特に業務と直結している5つのエリアにフォーカスし、具体的なテンプレートや事例を紹介しながら成果物の作成ができるようなプロジェクト・マネージメント教育を実施
A 実践の場で経験
@で得た知識を、Jr PM自身が従事しているプロジェクトにおいて適応していく。
B シニアPMからのコーチング
シニアPMより定期的にJr PMが従事しているプロジェクトの成果物や現状のレビューを行い、フィードバックをしていく。
C PMコミュニティへの参加
Jr PMがより自己成長を望めるような、PMコミュニティ(例:PMAJ)や外部研修会に参加を推進する。
※具体的には半年に1回これらの4つのサイクルを回す事で、体系的な教育プロセスを実施しております。
3.Jr PM教育研修プラン
2.で紹介したプロセスに沿ってJr PMの評価マトリックスを下記に示します。具体的にはシニアPM(PMにアサインされてから最低4年以上、且10人以上のスタッフのマネージメント経験者)やマネージメント層の評価により、各項6段階以上のレベルにまで達することを目標としています(PMPの取得も含みます)。トレーニング前後においてJr PMの評価を行うことで、現状と目標値とのギャップを認識し、弱点を発見しそれを改善できるような効果的なトレーニング(例:弱点補強)を実施いたします。
4.PMのキャリアプランについて
3.で説明しました教育プランについて各項目6段階以上に達したPMに対する弊社のキャリアプランを下記に示します。
5.最後に
PMの教育は一長一短にはいかず、今後も試行錯誤をしていくことになりますが、教育プランの策定・実施を通じてPMの育成について最も重要な要素は以下の3つの項目においてバランスよく学習、習得することであるとの結論に達しました。
皆さんはいかが御考えでしょうか。
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