図書紹介
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「友達力」で決まる!
(親野智可等著、光文社発行、2007年03月20日、初版、205ページ、952円+税)

デニマルさん:5月号

今、書店には何々力と題する本が多数ある。鈍感力、そうじ力、洗脳力、決断力、現場力、変身力等々。10年前に「老人力」(赤瀬川源平著)の本がベストセラーとなって、その言葉が流行ったことを思い出した。この何々力という言葉は、ある単語に付加されると別な意味を持つようになる。それは物理の「力学」から、物事を変化させる作用(運動が伴う)としての力が意識されているからであろうか。今回の本は、以前紹介した「親力で決まる」(2005年12月号)の著者で、4年前まで小学校の先生だった。その関係で、生徒や親御さんを現場でよく見てきた経験から、多くの本を書かれている。更に、インターネットの教育系の人気メルマガ「親力で決まる子供の将来」の主宰者でもある。

友達力とは(1)?   ―― 思いやりのある子どもは友達に好かれる ――
友達力とは、友達との人間関係をうまく調整する能力であると書いている。その基本は、友達を思いやる気持ちである。その気持ちが周りの友達に伝わって、グループ全体の人間関係を作り、お互いが思いやり仲良くする環境が芽生えてくる。だから思いやりのある人は、多くの友達から好かれ、そこに集まるグループの友達関係は自然に良くなっていく。思いやりは、人との関わりであり、相手に感心を持つことである。その感心が気配りとなり、優しさや思いやりとなる。愛の対語は、憎しみでも憎悪でもない。『無関心』である。

友達力とは(2)??  ―― 豊かな友達体験がイジメを防止する ――
著者の経験から、豊かな友達体験が、「イジメ」を防止するという。そのためには、学校や先生方の創意と工夫が必要である。この本では、クラス編成や席替えや遊び時間の工夫を提唱している。その交わり方は、偏らず、排除せず、差別しない。自分だけでなく友達との関係を理解して、どうすればうまく調整できるか学んで育っていく。この環境整備は、大人の責任である。「イジメ」防止は、子供の問題でもあるが、学校、家庭の問題でもある。

友達力とは(3)???  ―― 「友達といる力」と「一人でいる力」のバランス ――
友達力が育成されるベースに個人の生活がある。家に戻れは、両親や兄弟との時間であると同時に、一人の時間でもある。一人でいる時は、テレビを見たりゲームをしたり好きなことが出来るが、勉強もしなければならない。友達と遊んでいる時は、楽しくてすぐ時間がなくなる。だが、友達と一緒に居る時間は限られている。この友達といる時と一人でいる時をうまくバランスさせる力も大切な友達力である。一方に偏ると、一方が不足する。問題は、自分が今どちらを優先すべきか判断できる力(意思)を養うことが必要である。

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