図書紹介
先号   次号

ホスピタルクラウン  ―― 病院に笑いを届ける道化師 ――
(大棟耕介著、サンクチュアリ出版発行、2007年03月01日、初版203ページ、1,400円+税)

デニマルさん:4月号

ある民放のニュース番組で紹介されていた「話題の人」の本である。副題にもあるとおり「病院に笑いを届ける道化師」である著者が書いている。その生い立ちや道化師になった経緯や道化師に関する紹介をしている。その中にボランティアで病院を訪れ子供たちに笑いと希望をもたらす地道な活動がある。子供たちは正直だから、相手を本当に受け入れなければ、笑いも握手(拍手ではない)もない。ボランティアといえども、毎回真剣に子供たちに接している。この本に子供たちの写真と著者の詩があるが、どれも心和むものである。子供たちの笑いは、看病しているお母さんの心からの笑いでもあると書いている。

クラウンって何ですか?   ―― ピエロ<道化師<クラウンの関係 ――
ピエロといえば、サーカスでいつもおどけてお客を笑わせている。日本語ではピエロを道化師と言っているが、厳密には違うようである。ピエロは顔に白のメイクをして、ただ黙々とパントマイムを演じる役者である。道化師は、おどけて明るく、曲芸やマジックも演じ、お客を喜ばせる役者である。クラウン(Clown)は、日本語で「道化師」でおどけ者という意味がある。チャップリンやミスタービーンや、加藤茶や志村けんがこの類に入るという。難しい言葉の定義ではなく、この本では子供たちを心から喜ばせるのがクラウンである。

ホスピタルクラウンって何ですか??  ―― ホスピタル+クラウン ――
ホスピタルは病院である。だから病院の道化師となる。ここでは病院を訪ねて、闘病中の子供たちを元気づける道化師である。著者は自己紹介で、身長180センチ、体重96キロの道化師会社の代表(38歳)とある。幼い時から「人を笑わせる」ことに憧れていたが、どうして道化師になったのかは「ハッキリしない」と書いている。しかし「人を笑わせる」ことで、子供たちが「病気に立ち向かうキッカケとなった」と医師や廻りから言われ、自分も励まされ勇気を貰っている。ホスピタルクラウンは、病院の子供たちの憧れのアイドルである。

パッチ・アダムスって何ですか???  ―― 医師+ホスピタルクラウン ――
パッチ・アダムスとは、アメリカのある病院での実話を元にした映画の題名である。医師の名もパッチ・アダムス、病院では医師の活動と道化師としても子供たちに接する物語である。この本では、著者がそのパッチ・アダムスと一緒にロシアで道化師として活動した。目の見えない子供にパフォーマンスをする話が紹介されているが、プロとして真価を問われるものだ。著者はパッチ・アダムスとも交流を深めているプロのクラウンである。

ページトップに戻る