P2M研究会
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P2M研究会2月活動報告

山崎 司:3月号

東京P2M研究会活動状況
■ 2007/2/14(水)P2M研究会 第13回(参加者10名)18:30〜20:45
場所:ENAA 6階 6C会議室

<議事内容>
I 建設業における企業価値創出のプロファイリングマネジメント
  講演者:虎谷殿
  配布資料にもとづき、表題のテーマをご説明戴いた。

1. 説明内容
  • 2005年3月に公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)が制定され、発注先の業者選定について「総合評価方式」が導入された。
  • 立法目的は、公共工事の品質確保(低予算落札による不良工事の排除)および発注プロセスの透明性促進(談合体質の変革)の二点である。
  • 「総合評価方式」が導入されたことによって、公共工事の受注にあたっては、これまでの価格だけの評価だけではなく、価格プラス建設会社の技術提案力も評価対象となった。
  • 具体的には、入札時に「現地の特性に対処した実効性のある工事計画」の作成・提出が求められるのである。
  • この制度変更によって、これまで入札対応については、「蚊帳の外」の存在であった建設会社の内勤技術系部門が、工事案件の受注を左右する「技術提案」の重責を担うことになった。
  • いかに競争に打ち勝つかは、「プロポーザル力強化による企業価値創出」が急務とされる。本件の実現のためには、以下の8つの要素の充実が必須となっている。
    @ 提案の妥当性
    A 技術の確実性
    B 提案の独創性
    C 社会ニーズへの配慮
    D 組織力
    E 業務プロセス活性化力
    F 必要技術の開発統合力
    G 適性価格の形成力
  • 8つの要素によって、企業のありのままの姿を把握し、あるべき姿とのギャップを認識した結果、取り組むべき課題として、4つのプロジェクト群が導き出された。
2.関連意見
  • 工法についての規格化・モジュール化を中心に技術力を高めれば、コスト・納期・品質面で他社に対し差別化が図れるのでは。
  • 技術そのものや業務プロセスといった事象は他企業に模倣されやすい。組織力は真似されにくい。
  • 組織力の向上は、ナレッジマネジメントも有効であるが、組織構成員の力量をアップさせることが根幹となる。とくにPJマネージャーの「プロポーザル活動の舵取り」に関する能力向上が求められる。

II.ナレッジマネジメントのためのP2M
  講演者:内田殿
  配布資料にもとづき、表題のテーマをご説明戴いた。

1. 説明内容
  • 知識創造のプロセスをP2Mのプロファイリングマネジメントのプロセスで判りやすく説明し、P2Mが知識創造の分野において有利なツールであることを検証する。
  • ナレッジマネジメントにおける暗黙知を形式知化し組織的に共有するプロセスは、SECIモデルと称される。これは、各プロセス:共同化(Socialization)→表出化(Externalization)→連結化(Combination)→内面化(Internalization)の頭文字を並べたものである。
  • プロファイリングマネジメントの要素について、各プロセスを当てはめることが可能である。
  • インクス事例にみるナレッジマネジメントプロセスをプロファイリングマネジメントの要素に当てはめ、同社が行ったイノベーション(金型開発における劇的な工程短縮)に関するKSF(キーサクセスファクター)を抽出した。
  • もうひとつのテーマ「OWモデルと各軸を構成する諸要素」については、時間の関係から説明を省略する。
2.関連意見
  • OWモデルについては、渡辺殿と別途打ち合わせを行い、内容に関する擦り合わせを行う。

III プロファイリングMGT:ソフトウエア品質向上に関する一考察
  講演者:内田殿
  配布資料にもとづき、表題のテーマをご説明戴いた。

1.説明内容
  • 昨今、社会のインフラとも呼べる大規模なミッションクリティカルなシステムにおいてシステム障害が頻繁に発生し、経済活動に大きな影響を及ぼしている。
  • プロファイリングマネジメント手法をマスターする一方策として、この手法を使ったソフトウエアの品質向上に関する考察を行った。
  • ソフトウエアの品質に関する定義は、インターネット上に公開されている“ISO/IEC 9126 Software Engineering Product Quality”の内容を引用する。
  • 外部環境の収集と分析を、以下4つのPのフレームワークを用いて試行した。
        @目的軸(Purpose)
        A立場軸(Position)
        B時間軸(Period)
        C空間軸(Perspective)
  • インドでは、CMMIレベル5を達成しているソフトウエアハウスが多いが、その理由はソフトウエアエンジニアリングを正しく学んで現場へ導入しているからであるという説がある。
  • 日本においても、多くの大学や研究機関にてソフトウエアエンジニアリングが研究され、多くの成果が蓄積されている。
  • 先人や先駆者が研究し蓄積してきたソフトウエアエンジニアリングの成果を、ソフトウエア開発の現場に導入し、活用しながら改善してゆく。そのようなプロセスを確立することが高い品質のソフトウエアを開発する一番の近道ではないかと考える。
  • そこで、顧客・ITベンダー・協力会社がパートナーシップを確立し、ソフトウエアエンジニアリングの研究成果を蓄積している大学や研究機関と連携し、産学一体連携によるシステム開発プロセスの確立と改善を進める仕組みをつくることを提案したい。

2. 関連意見
  • まずは、不具合に対するトレーサビリティの確立から始めることが必要と考える。
  • また、経験を積んだり、専門化や先人に学ぶことによって、リスクを予見する能力を向上させることも肝要であろう。
  • リスクへの対応度合いは、当該システムに求められている信頼性・安全性のレベルに応じて異なっているのではないか。
  • 拡張性、セキュリティー面、カットオーバー時期、組織への柔軟な対応面などに関するプライオリティについて、構想・企画段階にてステークホルダー間で合意しておく必要がある。
  • 納期、品質、コストはトレードオフの関係にある。したがって、発注者がどこで折り合いをつけるかの判断が重要である。
  • ユーザ要求の具体性のレベルがまちまちであることが、システム品質管理について大きな阻害要件になっている。例:「対岸への橋を架けたい」のか、「対岸に渡る手段が欲しい」のかユーザの意図を汲み取るのが困難な場合が多い。
  • グレードとクオリティは異なるが、それすらも混同しているユーザが見受けられる。
  • 結局、システム品質は開発に関わる要員の個人の力に依存する側面が大きい。
IV 第二回合宿の件
・日程:3月10日(土)10:00〜19:00
・場所:日揮(株) 横浜本社 615会議室
 横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA棟
・目的:報告書の最終調整
以上
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