PMAJ関西
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「PM普及への一考察」

海藏 三郎:3月号

 PM研修事業に携わってきた経験をもとに、今後のPM普及への提言という雑感を述べてみたい。一つはPM資格者の実践能力の向上である。二つ目はPM資格者の有効活用、そして三つ目がPM資格者とPMAJ会員の普及拡大である。
 まずPM資格者の実践能力の向上である。『毎年、定期的に社員にPM研修を受講させ、PM資格者は増えたが、会社全体としてPM遂行能力は向上していない』等の話を客先の経営幹部の方から伺うことがある。知識・考え方レベルを学んでも実践には役に立たないとの意見であろう。確かに現場ですぐ活用できる技法・ツールを教える研修ではないし、そのような技法やツール類は個々の企業が自社にフィットする最適なものを創り出していくものである。しかしながら、やはり実践向けの事例研修も充実していく必要があると思っている。昔は一流のプロジェクトリーダーになるには10年かかったが、PM研修をしっかり学べば3年で一流になるというノウハウ伝授のような実践向けの研修が重要である。尤も、現状では難しい課題ではある。
 二つ目のPM資格者の有効活用である。昨今の官から民への流れ、たとえば「PFI」や「市場化テスト」についてはプロジェクト的な業務が多い。そこで入札時には入札条件としてPM資格者が必須とか、あるいは入札者のプロジェクトマネジメント力を審査する業務等への進出は、PM資格者の有効活用になる。もちろん上述したように個々人のPM実践能力を高めることが必須条件になる。ただこの点に関しては、かなり政治的なアプローチが必要になり時代に逆行とのお叱りを受けるかもしれない。
 三つ目については、上述した二つのことを満たせば自動的に資格者や会員数は増加してくる。企業の人材育成責任者にとって、PM有資格者が増えることによって組織全体のプロジェクト遂行能力が向上し、組織成熟度が向上することを認知できれば必然的に「PM研修」が人材育成体系の中に組み込まれ、受験者が急増することになる。
 最後は少し安直で飛躍した感は否めないが、PM普及について真摯に対峙する者の提言として、ご理解賜れば幸甚である。
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