PMAJ関西
先号   次号

「プロジェクトマネジメントの昨日、今日、明日」

PMAJ関西 KP 中江 正雄:2月号

プロジェクト管理(制御)の時代
 私とプロジェクト管理との係わり合いは、彼是20数年近くになります。係わり合いを持ち出した当時は、まだソフトウエアビジネスの萌芽期で、プロジェクト管理どころか、設計技術さえそう確立されたものがない時代にあって、ひざ詰めで進捗を確認し、納期間近になると夜を徹して何とか納期に間に合わせるといった具合で、鉛筆片手の手書きのスケジュール表が始まりでした。それでも、時代の先端技術という自負と、システムエンジニアという心地良い響きに、体力と気力とも充実していたように思います。しかしながら、次第にシステム規模や組織も大所帯になってくると、流石一時の頑張りだけでは追い付かなくなり、何か良い方法がないものかと模索しながら、当時は、設計や管理技術の方法論が華やかかりし頃で、専門誌に掲載された文献を参考に、出始めたパソコンと直径15cm程もあろうかというフロッピーディスクを片手に思考錯誤の毎日でした。その頃作ったツールに、工数集計ツールというのがありますが、これはプロジェクト毎の実績を収集して、スケジュール管理や見積りに使う為のツールですが、当たり外れはあるものの、不備を体力で補いながらも結構役立って、曲がりなりにも何とかやってこられたように思います。

失敗プロジェクトとプロジェクトマネジメント
 思考錯誤でやってきたとは言え、もちろん失敗プロジェクトも多々あります。中でもとりわけ私に多くの影響を与えた忘れ難い失敗プロジェクトがあります。そのプロジェクトは、久々の大規模プロジェクトで少しリスクのあるプロジェクトでしたが、納期間際まで特にこれと言って大きな遅れや悪い報告はなく、何とか計画通りに進むとばかりに安心しきっていたところ、突如納期直前になって、完成していないことが判り、それからが修羅場の始まりでした。以来数ヶ月にわたって24時間電気が消えたことがなく、会議机や応接がベッド代わりで、電車の中では仮眠の毎日、気が付けば、季節が夏に代わっていたのを思い出します。しかしながら、このお陰でと言いますか、これにより管理手法もプロジェクト管理からプロジェクトマネジメントに変わって一段と充実したようにも思いますし、またその勘所を知り得たような気がします。以来、更に大規模なプロジェクトも多くを経験しますが、幸いそう大きな失敗もなく旨く収めることができたように思います。怪我の巧妙といいますか、修羅場は、誉めたものではないですが、能力向上の場であることは確かですし、自ら体験した苦い経験でしたが、今では、良い思い出の1つになっています。

PMAJ関西と私
 こんなプロジェクトマネジメントも知識が堆積し体系化されて、ツールも揃って、おまけに教育体系までもが充実して知識獲得には事欠かなくなってきました。鉛筆片手の時代から思えば、驚くべき進化です。知識は成熟してくると体系化しますが、そろそろ、成熟の域に入ってきたのかも知れません。だからといって失敗プロジェクトが無くなるかと言えば、無くならない。何故なら、プロジェクトは、問題と共に存在し、問題はその時々において常に新鮮だからです。この話をし出しますと長くなりますからさておき、最近は直接にプロジェクトに関わることもなくなった私にとって、長く慣れ親しんだこともあってか、またプロジェクトXの感動にも似た心境よろしく、技術屋の端くれとして、せめてこの分野だけでも、何かまとまったものにしておきたいとの願いもあって、参加したのがPMAJ関西の前のJPMF関西の例会でした。スポット的ではありますが、最新の話題の吸収や、昨年からは例会活動にも快く受け入れて頂き、例会後の懇親会での多くの方々との交わりもあって、今では職場を離れての楽しみなコミュニティーにもなっています。今年は、関西初の「プロジェクトマネジメントフォーラム2007KOBE」が予定されて、久々のプロジェクトへの参画です。こんな例会活動を通して、これまで携わった成果が形となり、またそれが少しでも何らかの役立つものになれば幸いである。
ページトップに戻る