会員の広場
先号   次号

PMRコーナー 「P2MとPFI」

富士電機システムズ株式会社 清水 一志:3月号

◆P2Mとの出会い
清水 一志  私は、現在、電機メーカーの中で、上下水道 PFI(Private Finance Initiative)事業の推進に携わっております。それまでは、一担当営業として、地方自治体に対して上下水道用の監視制御設備乃至は情報システムの提案を行っておりました。その中で、国内で初めての上水排水処理PFI事業へ応札したことが、P2Mとの出会いとなりました。御存知の通り、PFIは、公共事業において民間の経営ノウハウや資金を活用する新たな契約手法として、近年国内においても急速に広まっているものです。従来の仕様発注による請負工事として担うのではなく、性能発注によって、従来の建設に加え、設計・維持管理を併せて民間事業者が事業を実施することとなります。この案件では、電機メーカーとして単独で事業を提案するのではなく、機械メーカー、ゼネコン、商社等との連携によって事業提案を行わなければなりませんでした。それまで、電機工事を一定の粗利を確保した上で何とか受注することのみを考えておりましたが、工事受注から事業への投資へとマインドの変更を迫られることになりました。異業種の方々の名刺に印刷されているPMS,PMPとは何だろう? ここからそれまで漠然と言葉では聞いていたプロジェクトマネジメントP2Mを勉強することとなりました。幸いなことに、PMに関する社内PMOから、助言・指導を受けることが出来、PMRに挑戦することが出来ました。

◆P2MとPFI
 PFI事業の基本原則は単に設備を提供するのではなく、価値の高いサービスを提供することにあります。従来、お客様とは直接の発注部署である水道局の事業企画担当官殿だと思っておりましたが、水道を使うのは当然市民の方々であり、給水サービスを受ける市民の視点がプロジェクトに必要であるという当り前のことに気づきました。PFI事業において、プロジェクトの目標マネジメント、関係性マネジメントには、この行政評価的な視点が必要となり、設計・建設・維持管理運営とライフサイクル全般にわたるマネジメントが必須となります。事業へ投資を行うという観点からは、プロジェクトファイナンスによる投資適格性の判断、金融機関との交渉、そしてその根幹にはリスクの定量化が必須です。各ステークホルダー間の利害調整には、きめ細かいコミュニケーションマネジメントがなければ成立しません。コンソーシアムの中にあってもスポンサーとベンダーとの利害相反、更にスポンサーの中においても、ベンダーを兼ねるスポンサーなのか或いは、純粋に投資家として振る舞うのかでリスクの取り方が変わって参ります。これらプロジェクトマネジメントの全体にP2Mの体系によるチェックが必要になり、P2Mの体系は、正にPFIプロジェクトの推進に、必須なものといえます。

◆PMR取得とその後
 PMRの受験では、様々な業種の方との討論から、非常に新鮮且つ、大きな刺激を受けることができました。プロジェクト単独では洗練されたPMBOKの体系も参考にしつつ、プログラムの視点にも留意し、P2Mの知識体系を実際のPFIプロジェクトに活用して参りたいと思います。    以上
ページトップに戻る