懸賞つきPMクイズ
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懸賞つきPMクイズ(9) 「トラブル処理の諸法則(3)」

芝 安曇:2月号

1. 前々回からトラブル処理の法則を学んで貰っている。
トラブル処理には3種の法則があると説明した。
(1)教訓的トラブル処理の諸法則
(2)実践的トラブル処理の諸法則
(3)科学的トラブル処理の諸法則
である。
前回は実践的トラブル処理の諸法則の話しをした。今回は科学的トラブル処理の諸法則の話しをすることになるが、科学的トラブル処理は重要ではあるが話が面白くないが我慢していただきたい。

2. 科学的トラブル処理の諸法則
教訓的トラブル処理の諸法則はどちらかというと防衛的である。実践的トラブル処理の諸法則はポジティブな行動で、「災い転じて福となす」という手法と法則の話である。科学的トラブル処理の法則は実質的に頼りになる科学的手法である。

科学的トラブル処理にも事後のトラブル処理と事前のトラブル処理がある。
2.1 事前のトラブル処理は業界別に既に整理され、エンジニアリングとして、設計時点で検討されている。宇宙、航空機、原子力、その他トラブルが社会に大きな影響を与えるものはこの事前の対策がしっかりしており、これが許認可の対象となっている。
(1) トラブルを未然に防ぐ対策
@ リスクマネジメント
将来起こりそうなリスクを想定し、対策を立てておく。本読者は理解しているから詳細は省略する。
A FMEA:故障モードと影響解析(Failure Mode and Effect Analysis)
設計されたシステムや機器がその任務を達成するには、どのコンポーネントのどの部分に、どのような弱点をもっているかを系統的に検討し、致命的な欠陥を有するコンポーネントを識別し、欠陥や弱点を等級別に整理し、必要に応じて部品の変更、回路や機構の改善など、設計を変更して、故障を未然に防止する手法である。航空機のように信頼性に重点をおく設計に採用されている。航空機や宇宙機器類は安全性と重量制限との闘いの中で設計がなされ、地上施設でもちられる予備機等の冗長系を多く採用できない。従ってこれらの設計は信頼性に依存することとなり信頼性の手法が発達した。高速増殖炉の温度計のトラブルは宇宙機器であればFMEA手法で事前に検討され問題を起こさなかったかもしれない。だが部品点数の多いプラント類でこの手法を実施していては金がかかりすぎて競争に負けてしまう難点がある。
B FTA:欠陥樹解析 (Fault Tree Analysis)
 FTAは信頼性や安全性の図式解析手法で、大陸間弾道弾の故障に手を焼いた米国国防省がベル研究所の技術者グループの協力を得て、1961年にミサイル発射制御の安全解析を行うことを目的に開発した。FTAは故障論理の図式解説の一手法で、解析しようという事象(好ましくない事象でこれをトップ事象という)を頂点において、その事象が生ずるための一次要因、二次要因を展開し、それぞれの間を論理記号で結合すると、トップ事象を頂点とした逆トーナメントに似た図ができる。この図がヒマラヤ杉の形に似ているのでFT(Fault Tree)と呼ばれる。具体的な説明がないと理解しにくいが説明に手間がかかるので省略する。また、実行にも手間がかかるので全ての設計に応用されているわけではないが、特殊な目的には貴重な手法である。以下は手法の名称だけで説明は省略する。
C ETA:事象樹解析(Event Tree Analysis)
D HA:ハザード解析 (Hazard Analysis)

(2) トラブルの事後処理
 トラブル処理で重要なことは信頼の回復である。処理案は事情が許す範囲内で時間を掛けても充分に検討したものが求められる。行動は一発勝負であることを既に説明した。
手法としては一般化している「特性要因図」を作成してトラブルの原因追究する手法である。取りあえずの手法でなく全ての要因を考え整理するところにこの手法の価値がある。
 特性要因図の特性とは「結果」を意味し、要因とはその原因を意味する。特性要因図とはある結果(通常は問題点を示す)の背景にある原因(それは単一でなくいろいろな形で複合している)が、どのようにかかわりあっているかを、一覧できるように図式化したものである。図形の形状が魚の骨に似ているところから「魚骨図形」ともいう。この手法で整理すると、ある問題のあらゆる要因と、その因果関係が一目瞭然に眺めることができ問題解決のための重要な要因を発見しやすい。この手法は問題解決のためのQC7つ道具の一つとして有名である。

内容が難しいので今回はクイズなしである。
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