懸賞つきPMクイズ
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懸賞つきPMクイズ(9) 「トラブル処理の諸法則(4)」

芝 安曇:3月号

1. 前々回からトラブル処理の法則を学んで貰っている。
トラブル処理には3種の法則があると説明した。
(1)教訓的トラブル処理の諸法則
(2)実践的トラブル処理の諸法則
(3)科学的トラブル処理の諸法則
である。
前回は科学的トラブル処理の諸法則の話した。今回は「トラブル処理プラス思考の手法」を伝授する。

2. 「トラブル処理プラス思考の諸手法」
 ここでトラブル処理をプラスにする考え方をまとめてみる。
第一条「体に残る学び方の訓練」
 皆さんも経験していることと思うが、自分にとってよほど興味のあるものでないと本を読んでも、またセミナーなど金を出して受講してもすぐ頭の中から消えた無くなってしまう。言うなれば学ぶ姿勢に真剣さが足りないからである。人間四六時中緊張していては体がもたないから当然の結果といえる。だが、トラブル処理となると話しは別である。せっぱ詰まった状態で、トラブルの原因を調査するには対象物を徹底的に勉強しないと問題解決にならない。ここで学んだことは頭に焼き付いてしっかり残る。タービンのトラブル処理をするとタービンのケーシングの外から中が見えるようになるという。音や振動を感じることで体が答を出してくれる。普段では学べないことを体で学べるからトラブル処理の実践をお勧めする。
第二条「頭の回転をよくする訓練」
 常識や制約条件を捨てると、心が自由となり、いろいろなアイデアが出る。人間をこの状態にすることが大切で直感力が増大する。
 客先で怒られると突然頭の回転がよくなる。今まで考えてもまとまらなかったアイデアが突然沸き上がり客先に対し答えがだせることをしばしば経験する。人間危機に直面すると頭の回転がよくなるようである。
第三条「客先や部下に信頼される訓練」
 トラブル処理は人生の経験の中で厳しい体験に属する。自在氏は長年多くの人材を眺めている。頭のよい人、気配りのよい人、知識の豊富な人と評判のよい人が沢山いるが、意外と修羅場をくぐってきた人間が少ない。危機に立たされたとき腹が座って、的確にことを運ぶことができない人間が多い。体で体験していると、とっさの判断ができ自然と腹も座ってくる。腹の座った人間は客先にも部下にも信頼される。また、トラブル処理は客先と親しくなれるチャンスでもある。客先との深いパイプは社内で大きな力を発揮しうる。
第三条「チャンスをものにする訓練」
 人間は目の前にあるチャンスを捕まえることに無頓着な人々が多い。
第一則「リーダになれるチャンス」
 日本の社会は厳しい。少し目立つ人間がでると大勢の普通人は彼の頭を叩く。出る杭を打つというやつである。ある本に面白いことが書いてあった。「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」と。トラブル処理は人が避けて通るから活躍しても、誰も彼の頭を叩かない。トラブル処理に成功すれば、頭を叩かれずにリーダになれる。そして実績をつけ、頭を出しすぎてしまうともはや誰も頭を叩かなくなる。
第二則「リスク・マネジメントの訓練」
 トラブル処理ではトラブル処理費の値踏みが必要となる。何回もトラブル処理を経験するとリスクを金に換算する手法を学ぶ。目の前のリスクを金に換算できたら「リスクはもはやリスク」でなくなる。

チャンスとは今がチャンスだよと声を掛けてはくれない。気が付く人間と、無関心な人の差が人生の大きな開きとなってくる。俗説で言えば、気が付かない人ほど欲張りである。
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