図書紹介
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「宇宙授業」
(中川人司著、サンクチュアリ出版発行、2006年09月30日、4刷、141ページ、1,400円+税)

デニマルさん:1月号

2005年7月に宇宙飛行士野口聡一さんの人工衛星での船外活動の様子がテレビ等で報道された。日本の最初の宇宙飛行士は毛利衛さんで、1992年に「エンデバー号」で宇宙へ飛び立って10年以上経過した。こうした方々の活躍に刺激を受けた著者は、宇宙に関する勉強をして、その関連の仕事に就いた。そこで著者は多くの人に宇宙を話し、その質問や疑問に答えたものを纏めたものがこの本である。専門的なことを分かり易く書いてあり大人も子供も楽しめる。小さなお子さんには、読み聞かせして上げてもいい本かもしれない。

宇宙授業(1限目)   ―― 歴史(宇宙のはじまり) ――
宇宙という言葉は、中国の古書(淮南子:えなんじ)の「宇」(全ての空間)と「宙」(全ての時間)からきている。宇宙は全ての空間と時間、そこにある全ての物を意味する。だから地球も太陽も人間も動植物の全てが宇宙の一部である。その宇宙がどうやって出来たのか。太陽や地球はどうして誕生したのか。これはビッグバンといわれる宇宙の大爆発(大膨張)が起きたからで、その直前に宇宙は存在していたとも言われる。それから137億年が経過している。これは、1929年に天文学者(エドウイン・ハップル)が計算したものだ。

宇宙授業(2限目)  ―― 生物(宇宙人はいるのか) ――
現時点で宇宙人は、存在しないと書いてある。その根拠は、地球以外にどんな生物(微生物も含めて)も発見されていないからだ。だがこの本に、天文学者で宇宙人を探している人たち(SETI:地球外知的生命探査)を紹介している。彼らは地球上の巨大なパラボラアンテナから宇宙人に向けてメッセージを送り、送られてくる電波を解析しているとある。2004年にNASAは火星探査機の調査結果から、過去に大量の水があったと報告している。水があったなら微生物が存在した可能性もあるが、残念ながら宇宙人は発見されていない。

宇宙授業(3限目)  ―― 物理(無重力について考えてみよう) ――
無重力とは重力の無い状態である。重力と言えばニュートンの万有引力の法則を思い出すが、この重力は「地球とモノが引き合う力」で、上から下に落ちる力である。この力が無くなる状態が無重力だから、空間に人が浮いてしまう宇宙遊泳はその典型的な例である。この宇宙遊泳は、人間が果たせない空を飛ぶ夢を唯一可能にする方法である。他に無重力での液体は、小さな水玉となって飛び散る。ろうそくの炎は、丸い形の電球の様になり、地球上では想像出来ない現象となる。まるで理科の実験室にいるようで夢のある話である。

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