PMプロの知恵コーナー
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「マンション建替プロジエクト奮闘記(その8)」

PMAJ関西支部 岡本 政義:12月号

11;アンケート調査結果と臨時説明集会開催にむけて
8月27日(日)第9回準備委員会を開催しました。この目的は、8月20日提出期限の外部区分所有者を含む71戸全戸のアンケート調査の回答結果をみて、これの対応を講じること、そして、我々委員会の説明が充分でないと思われた場合、あらためて再度臨時説明集会を開催することでした。
 まず、アンケート結果をご紹介します。建替え計画の説明内容の理解については、理解できたが44戸、大体理解できたがわからないところがあるが24戸、未記入者2戸でした。次に、ご意見・要望がありますかの質問ですが、これには18戸の方々から質問がありました。そして最も重要な質問である「T社を事業協力者として進めるか」については58戸が了解、まだわからないが11戸ありました。2戸の未記入者がおられましたが、この方たちは建て替え反対の意向を示している方であります。
しかし、ほとんどの方が建替え賛成、T社を事業協力者として進めることに同意の意向であることが読み取れました。

 次に、ご意見・要望の主なものは次のようなものでした。これの回答文を、あわせてご紹介しておきます。
Q;2,957万円を4,600万円に変更するとのことですが、他社から提案がなかったら低い価格で進んでいたのではないでしょうか
A;まったくその通りであります。我々委員会は、いままで「建替えか修繕か」の議論に終始していて、この2つ以外に、第3の選択肢である転出を希望する方がおられることを見過ごしていた。委員会としましては、前回ご報告通り100%合意形成目指す基本構想の追加とし、「転出を希望される方々に対しても建替え希望と同じ区分所有者として同等の恩恵を受けていただく必要がある」との構想のもと具体的には「還元面積相当の居住空間を評価額(転出価格)とする」とした提案をT社に申し入れT社が同意して頂いたわけであります。
Q;4,600万円まで引き上げて、果たして質の高い建替え建築が保障出来るのか、事業計画への影響について再説明がほしい。
A;転出価格の増額と建替え事業計画においての採算計画とは関係ありません。よって事業計画への影響はないといえます。これは次回説明会で詳細ご説明してもと思います。
Q;もっと評価額を最高に見積もる事業協力者は他にないのですか。他の大手デベロッパーの提案はどのような案であったか委員会の討議はどうなったか報告を求む。
A;基本構想「還元面積は80u、建設期間中の仮住まい費用も無償」について、4社に検討要請した結果、基本構想に対しイエス回答をしたのはT社だけでした。その間の経緯は臨時集会資料通りです。他に大手デベロッパーもありますが、こと建替え事業に注力する企業は、T社であると考えています。
 T社以外のデベロッパー云々に関しては、再度7月2日の臨時説明集会でご説明したT社推薦理由をあらためて伝え、その後、たまたま前回の説明集会で「買取価格」4,250万円を区分所有者経由の提案があった大手デベロッパーD社の建替え提案の顛末をとりあげ、「屋上屋を架す」ことは、建替え時期のタイミングを失することをつたえることに致しました。そしてやはり再度臨時説明集会開催が必要との結論になりました。

 9月3日(日)第10回準備委員会を開催しました。第2回臨時説明集会資料の作成であります。内容としては「アンケート結果発表」「ご意見・要望の集約と回答」「今後のスケジユール」などでありました。その3日後、外部区分所有者も含め、全71戸に事前資料を配布致しました。

12;第2回臨時説明集会開催
 9月16日(土)前回と同様、駅前ホテルの会議室にて第2回臨時説明集会を開催しました。特にとりあげることではありませんが、冒頭議事開始前、アンケートで建替え反対の意向を表明されていたお二人の一人である、K区分所有者が、未だ建替え推進の決議が管理組合規約に沿ってなされていないこと、そして建替え決議がなされても、現在のT社だけの説明会でなくコンペにより決定すべきとの発言がありました。この手の発言には本年から参加した私としては、形式にとらわれて目標を見失なっている発言であること、また理事会から依頼され、区分所有者の代表として、長年無償で頑張っている推進委員に対する配慮のなさが感じられ脱力感を感じたものでした。

 議事としては、特に問題なく進行し24戸の大体理解したが分からない点があると回答を頂いた方々も理解頂けたと感じました。
 私は、建替え事業について、今回の説明会で詳細説明することをお約束した手前、採算計画試算も含めプロジエクターにて説明しました。
この要旨は、土地を買い取り、マンションを建設・販売するD社などの通常のマンション事業と異なり、我々のような等価交換による建替えは、増床戸数の販売による収入で、デベロッパーの経費、仮住まい費用などをふくめた総建設コストを捻出するもので、この採算計画試算の説明を通して、建替え事業の問題点をふくめ理解し納得頂くことがねらいでありました。
 「顧客満足」「収益確保」の相反する2つの課題に挑戦し、「事業協力者」として我々の財産保全のため頑張ってもらうデベロッパーの選択は、建替え成否に関わる問題であります。我々委員会がデベロッパーとしてT社を推薦する幸運をもてたこと、区分所有者全員がそれを理解し、共感してくれこの事業を成功させたい思いであります。

 次回は、いよいよ建替えプロジエクトの第一関門である臨時総会の開催であります。臨時総会資料の全戸事前配布にはじまり、議事として、「建替え検討委員会活動報告」、1号議案「修繕か建替えか」の確認採決、2号議案「計画委員会設置承認」、3号議案「T社を事業協力者として選任」、4号議案「同社との基本協定締結承認」などが考えられます。
総会の結果とその雰囲気をまじえご紹介したいと考えています。ご期待ください。
以上

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