PMAJ関西
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「時間軸」

大久保 和彦:12月号

全国150校以上の公私立高校で必修科目である日本史あるいは世界史の履修漏れがあったということが話題になっています。 大学受験準備に時間を割くためにどちらかの科目がスキップされたということです。 このままでは高校を卒業できずひては大学にも入れないと緊急対応策が打ち出されました。 センター試験終了から高校卒業までの間に、50時間をかけてスキップされたどちらかの科目を履修させようというものです。
始めがあって終わりがあり、達成目標が決まっているとあっては、これはまさにプロジェクトというべきです。 各校のプロジェクトマネジャーたる校長先生、早まって責任とやらをとるまえにPimbokePM氏の助言を入れて対応策を立てていただきたいわけです。
日本史と世界史は歴史という時間軸を共有していることに着眼してこのピンチを大学受験を目指す生徒達のチャンスに変えていただきたいのです。 日本史の後で世界史あるいは世界史の後で日本史ではなく、日本史と世界史を同時にこなしてはという方策です。 プロジェクトマネジメント的にいえばFSの依存関係ではなくSSあるいはFFの依存関係を持ち込んでリスク無しのFast Trackingで解決しようと言うわけです。
日本史しか履修しなかった生徒には、日本史の時間軸に合わせて世界史を教えるのです。
すなわち大化の改新のころ世界では何が起こっていたか、元寇の前後にヨーロッパでは何が起こっていたか、関が原合戦のころアジア大陸では何をしていたかです。
世界史しか履修しなかった生徒には、世界史の時間軸で日本史を教えるのです。
すなわち東ローマ帝国成立のころ日本はどうなっていたか、オスマン帝国誕生のころ日本では何をしていたか、はたまたヨーロッパのルネサンスのころ日本の文化はどうなっていたかです。
日本史の先生と世界史の先生が協働してそれぞれの教科で50時間分のシラバスを作ればよいわけです。 プロジェクトマネジメントにおける計画プロセスですが過去の事実を時間軸に沿ってワークブレイクダウンするわけですからまたとない楽しい仕事ではないでしょうか。
日本史を履修した生徒にとっては日本史の復習をしながら世界史が学べることになり、 世界史を履修した生徒にとっては世界史の復習をしながら日本史を学べるというわけです。
予備校にも無い新しい方法で受験直前ギリギリの復習が出来ます、しかも無料です。
グローバル化時代といわれる今日、このようにして学んだ歴史観は生徒の一生を通じて役立つこと、PimbokePM氏が保証します。
ついでにお願いですが、上記のプロジェクトで使用されるあろう世界地図は、世界史用であれ、日本史用であれ、太平洋が真中を占め日本がその上部に位置し、右にアメリカ大陸、左にアジア・ヨーロッパ大陸を配した従来の物ではなく、左にアメリカ大陸右にヨーロッパ・アジア大陸を配し日本が右上にぶら下がっているタイプの物を使用してほしいものです。 歴史感と同時に世界観も変えることが出来るからです。

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