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「夢工学(49)」

川勝 良昭 [プロフィール] :11月号

     

悪夢工学

4 非強制性格識別法
 今回は、「非強制性格識別法」について説明したい。なお表技(ワザ)には、この非強制性格識別法の他に、次回以降に説明する「強制性格識別法」がある。しかしこれ以外にも識別法がある。それは、「裏技(ウラワザ)の性格識別法」である。

●裏技(ウラワザ)としての性格識別法
 本連載の読者の中に間違いなくB1タイプの人物が存在すると思う。そのため本紙面で裏技(ウラワザ)の性格識別法まで無制限に公開すると、B1の人物は、それを逆利用し、夢破壊者の本性が見破られない様にするとか、破壊工作を防ぐ行動を無効にする可能性を生む。

 悪夢工学を構築した当初からこの問題に直面した。しかし悪夢工学の存在が世の中に知られれば知られるほどB1の本性が見破られ、破壊工作をやり難くする効果が生まれる。裏技(ワザ)を公表すべきか、読者の意見を是非、聞きたい。その上で'決めたい。
人の本性は、強固に固まり、見抜けない
人の本性は、強固に固まり、見抜けない

●非強制性格識別法とは
 この識別法は、本人が関わった「過去」、関っている「現在」、関わるだろう「未来」の危機状況を在るがままに受け入れ、その危機状況で本人が如何なる意思決定と行動を取ったかを観察し、性格を評価する方法である。この性格識別方法を非強制人格識別法という。それは、過去現在、未来、危機、成功、家族のそれぞれの観点からの識別法がある。

 非強制性格識別法―――緊密な関係構築で本音をソフトに探る法
   過去・非強制識別法―――過去危機―――過去成功―――過去家族
   現在・非強制識別法―――現在危機―――現在成功―――現在家族
   未来・非強制識別法―――未来危機―――未来成功―――未来家族

1)過去・非強制識別法
 これは、過去危機、過去成功、過去家族の3つの性格識別法がある。
(1−1)過去危機・非強制識別法とは
 人を評価する時、通常はその人物がどの様な失敗をしたか、それによる失敗の内容や原因は何かを間題とする。しかしこの性格識別法は、本人の失敗原因より、失敗などの,絶体絶命の危機に直面した時に本人は、自らの利害のみを優先したか、他者の利害を無視したか、他者の利害を考慮したか、他者を救ったかなどどの様な意思決定と行動をとったかを問題視する。これらを調査すれば、本人の性格がどのタイプかの目安が立つ。

(1−2)過去成功・非強制識別法とは
 成功した時の識別法とは意外に思われるかもしれない。何故なら成功は危機ではないからである。しかし「成功の陰に失敗あり」の諺の通り、本人が成功に至るプロセスに於いて、本人が勝つか、他者が勝つかという勝敗のギリギリの場面と時期などがあった筈である。この様な危機的な場面と時期に、本人が自らの利害のみを優先したか、他者を無視したか、卑劣な手段で裏切ったり、騙したり、失敗誘発をしたか、そのことで成功を収めたか、また逆に他者のために勝ちを譲ったり、他者の窮状を助けたりしたかどうかを調べる。また本人に失敗させられた他者がいれば、その人物に面談し、徹底的に危機現場の状況を調べることも有効な方法である。そうすれば本人の性格がどのタイプかが分かる。

(1−3)過去家族・非強制識別法とは
 これは、本人の妻や夫の死亡、子供の怪我や病気、家庭内暴力(Domestic Violence)、家族の非行など家庭内の危機に直面した時、本人はどの様な意思決定とどの様な行動を取ったかなどで調べる方法である。

 家族を愛さない人はこの世にはいない。だからこの様な性格識別法は無意味であると考える人は、相当の世間知らずである。Bタイプは、表では夫、妻、子供、親などを愛する振りをする。しかし裏では自分以外の人物を愛さない。本来家族に冷たい人物なのである。だからこそ家族・非強制識別法が重要なのである。

 またBタイプが家族を持たず、愛人を持っている場合はどう考えればよいのか。答えは簡単である。B1は、世間体の良い美男、美女で格好良い所謂ナイス・バディーの愛人なら自分のステータスを高め、欲望の対象になる。従って自分に都合が良い内は愛人を肉体的に愛し、精神的には愛さない。飽きれば簡単に捨て、次々と新しい愛人を手に入れる。

 悪夢工学式性格識別法を愛人関係などに活用することは本人識別に役立つ。なおこの様な愛人関係を持つBタイプは、所謂ドンファンやプレーガールとは全く異なる。後者の人物は豊かな感性を持ち、芸術などを愛人同志でエンジョイする。しかし前者の人物は、その様なことを全くしないし、出来ない。

2)現在・非強制識別法
 これは、現在危機、現在成功、現在家族の3つの性格識別法がある。
(2−1)現在危機・非強制識別法とは
 これは、本人が現在の危機に直面して、どの様な意思決定をし、どの様な行動を取ろうとしているかを評価する方法である。
 危機が現在進行形のため第三者に知られない様にする場合や帰属組織関係者限りで危機を乗り切る場合などがある。そのため本人がどの様な意思決定をし、どの様な行動に出ようとしているかを第三者が識別しにくいことが欠点である。

(2−2)現在成功・非強制識別法とは
 これは、本人が勝つか、他者が勝つかという成功のために勝敗のギリギリの場面と時期に於いて、他者を卑劣な手段で裏切ろうとしているか、巧妙に騙そうとしているか、失敗誘発を行おうとしているかなどを調べる方法である。
 成功が目前にある時期で且つ本人が負ける可能性が高い場合、本人は焦って裏切り、騙し、失敗誘発などを行う可能性が大きくなる。その結果、本人識別がし易くなる場合がある。

(2−3)現在家族・非強制識別法とは
 これは本人の妻や夫の入院、子供や親の怪我や病気、子供の非行など家庭での危機に直面している現在、本人はどの様な意思決定やどの様な行動を取ろうとしているかなど、本人の性格タイプを識別をする方法である。

3)未来・非強制識別法
 これは、未来危機、未来成功、未来家族の3つ性格識別法がある。
(3−1)未来危機・非強制識別法とは
 これは、予測される危機に対してどの様な意思決定をし、どの様な行動を取るかを予測する識別法である。危機が実際に発生するかどうかは問題ではない。問題は、本人が自分のためだけに危機対応をするか、他者のために危機脱出を計るかが問題なのである。

(3−2)未来成功・非強制識別法とは
 これは、成功を遂げるために自者が勝つか、他者が勝つかが明確に分からない未来の危機状況が予測される場面で、本人が成功のために卑劣な手段で裏切り、巧妙に騙す可能性があるかを予想する法である。

 成功が未来のためもし本人が負ける可能性が高い場合でも本人が焦って裏切り、騙し、失敗誘発などを行う可能性はやや小さい。従って現在成功・非強制識別法より性格識別の精度は落ちる。

(3−3)未来家族・非強制識別法とは
 これは本人の妻や夫の入院、子供や親の怪我や病気、子供の非行など家庭の未来の危機に対して、本人はどの様な意思決定やどの様な行動を取るかを予想する識別法である。家族の問題が絡み、未来予測という難しい作業を伴うのでこの識別はいずれの方法よりも難しい。
(つづく)

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