PMプロの知恵コーナー
先号   次号

「夢工学(48)」

川勝 良昭 [プロフィール] :10月号

     

悪夢工学

第7部 夢破壊者を如何に見つけるか

3 夢破壊者を見つける方法はあるのか

1)性格識別法を求めて
 筆者は、長年に亘るプロジェクト成否研究の資料を改めて読み返したり、自分自身の過去の苦い悪夢の体験などを何度も、何度も思い出し、悪夢工学式・性格分析評価法を座右に、人の性格を見分ける(識別する)方法を模索した。この方法は、悪夢工学式・性格分析評価法と同様に、単純で分かり易いものでなければならないと考えた。そのために益々識別法が思い付かず、悩みに悩んだ。

先月号の悪夢工学では、映画「氷の微笑」そして映画「エンド オブ デイズ」をテーマにB1の実相を明らかにした。実はこの映画の中に識別法の鍵が隠されている。筆者は、これらの映画がヒントになって識別法を考案した訳ではない。実際にはこれらの映画が上映されるずっとずっと以前に識別法を思いつく鍵を見付けていた。

 その鍵は、実は映画ではない。日本に以前からある小説、演劇、歌舞伎などが扱った「復讐劇」、中国の「三国士」などの中にその鍵を見いだした。その鍵とは、絶対絶命の危機である。

(1)危機直面時利用法
 人は、通常の環境下ではなく、絶体絶命の危機という異常な状況に直面した時、「悪魔の形相変化」と「恐ろしい本性出現」を引き起こす。危機直面利用法とは、その起った瞬間を利用する識別方法である。

 人は、簡単に本性を現さないと言われている。また少々の危機に直面してもポーカーフェースを保てる凄い人物はこの世に沢山いる。その人物こそB1である。しかしB1といえども、化け物でなく、人間である限り、真の危機に直面すれば、やはり、うろたえ、パニックになり、本性を現す。

(2)危機脱出時利用法
 人は、危機を脱出した時、または危機を回避した時、極度の緊張から開放されため、うっかり 本性を現すものである。その瞬間を捉えるのが危機脱出時利用法である。

2 )性格識別法の誕生
 誰にも分かる簡単で且つ明瞭な「悪夢工学式人格識別法」は、ある人物と四六時中行動を共にすることである。この単純な方法では、その人物の危機直面の瞬間や脱出の瞬間を捉えることは容易であろう。

 しかしこの方法は、夫や妻や愛人など生活を共にする所謂「生活共生型・危機直面時利用法」と「生活共生型・危機脱出時利用法」は、実務的、実用的ではない。そのため生活共生型ではない性格識別識別法を求めてまた悩んだ。そして一時あきらめかけた。

 しかしある時、ある人物と一杯飲んでいた時、TV番組で看板を持った男がトラブルに巻き込まれ困っているタレントにその看板の字を示し、大笑いで終わるシーンを見た。それは、米国のTV番組を真似した日本版「ドッキリ・カメラ」の番組であった。

 そのタレントを騙し、脅すことで、うろたえさせ、パニックする。その瞬間、騙したことを告白するが看板の字である。このパニック・シーンを見たの瞬間、性格識別法が浮かんだ。それに気付けば、何で今まで悩んだが、馬鹿らしくなるほどだった。以下に表ワザの性格識別法を簡単に説明する。

3 )表技(オモテワザ)の悪夢工学式性格識別法
 これには、非強制性格識別法と強制性格識別法の二つがある。

(1)非強制性格識別法―――緊密な関係構築で本音をソフトに探る法
   過去・非強制識別法―――過去危機―――過去成功―――過去家族
   現在・非強制識別法―――現在危機―――現在成功―――現在家族
   未来・非強制識別法―――未来危機―――未来成功―――未来家族

(2)強制性格識別法――――ドッキリ・カメラ式に本音をハードに探る法
   過去・強制識別法―――過去危機―――過去成功―――過去家族
   現在・強制識別法―――現在危機―――現在成功―――現在家族
   未来・強制識別法―――未来危機―――未来成功―――未来家族

 前者は危機を強制的に作らず、当該人物がある危機に直面した時、どの様な意思決定と行動をとったかを本人から悟られず探り、その性格を識別する方法である。すなわち自分のためだけを考え危機を脱しようとしたか、他者のために危機脱出を手助けしたかなどを探ることである。
 後者はある危機を強制的に作って、当該人物がその危機に直面した時、どの様な意思決定と行動をとったかを調べて識別する方法である。すなわちパニックになった本人が自分のためだけ を考えて危機を脱しようとしたか、他者のために危機脱出を手助けしたかなどを探ることである。

 上記の非強制性格識別法と強制性格識別法の詳細説明は、次回以降としたい
つづく