PMプロの知恵コーナー
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「夢工学(47)」

川勝 良昭 [プロフィール] :9月号

     

悪夢工学

第7部 夢破壊者を如何に見つけるか

1 米国映画「氷の微笑」

1)新しい性格識別法を求めて
 「彼は人を見る目がない」「彼女は人を見る目がある」など、よく噂される話題である。そして人の性格を見分けるために様々な「性格識別質問法」、「性格識別インタビュー法」、「ハイテク性格識別法(ウソ発見器など)」などさまざまな方法が古今東西、数多く存在する。また様々な心理学は、人間の精神と行動の本質が何かを追求し、人間の性格を如何に見抜くか、その性格が如何に形成され、如何に変容するかなどを研究している。

  筆者は、長年にわたってプロジェクト成否研究を行った。その過程でプロジェクトに係わる人物の「性格」に関して得た結論は、次の通りである。それは、通常の環境下(異常な環境下ではないという意味)でその人物の本性としての性格を識別するクリーンカット(切れ味の良い)で簡単な方法は存在しない様だということであった。性格識別方法を求めて努力したことが残念な結論になった。

 その結果、「自分は人を見る目がある」と公言して憚らない人物に接するといつもあることを感じる様になった。それは、その人が随分と自惚れ屋か世間知らずの人物か、B1の存在を知らない人物か、B1によって酷い目に遭わされたことがない人物ではないかと思う様になったことである。

 民間のTV番組で多くの芸能人や有名人を相手に「運勢判断」する有名な女性占い師がいる。彼女は、「性格評価」どころか、「人格評価」まで堂々とやってのける。しかも日本の社会批判、政治批判、教育批判まで臆することなくやってのける。当該TV番組で彼女に性格や人格をズバリ言い当てられた本人は驚きの表情を見せる。その場面を見た視聴者は、更に驚くということである。筆者の見るところ、判断され、評価される芸能人や有名人に関して彼女は事前の徹底した個人調査を行っているのではないか。彼女の事務所は神楽坂にある。彼女を信じる多くの人々が彼女に助けを求めていると聞く。

2 B1とは米国映画「氷の微笑」の女主人公
 以上の結論を基にすると、夢破壊者であるB1は、「通常の環境下」で識別することは恐らく不可能ということになる。B1は、ハイテクを駆使した「ウソ発見器」などを使っても本心が見破られる様な人物ではない。

  このことを分かり易い例で示そう。B1は、マイケル・ダグラスとシャロン・ストーンが共演した米国映画「氷の微笑(Basic Instinct)」でシャローン・ストーンが演じた女主人公である。余談であるが、絶世の美女の彼女は、警察の取り調べ室の椅子に座っている時、実際にパンティーをはかず、足を組み直して取り調べの刑事達を挑発した。この本当のノーパン演技で彼女は、一躍、世界中の耳目を集め、超有名人になったのである。

  更に余談だが、筆者は、数年前、ハリウッドの某会場で、某氏の紹介で彼女に会ったことがある。その時の彼女は、映画の中の彼女より遥かに若々しく、優雅で、美しかった。彼女の大フアンである筆者としては、B1の例に彼女を使いたくなかった。しかしB1の人物像を劇的に且つ分かり易く表現するため、敢えて引用した。

  B1は、自己認識(意識)があり、その優れた能力をフルに活用するため日頃から努力に努力を重ねている。その努力とは、本心を見破られない様に細心の注意を払うことである。しかし本心が見破られることを恥と思っている訳ではない。見破られると自分の目的が達成し難くなると思うからである。


2 米国映画「エンド・オブ・デイズ」
1)B1をねらい打ち
 「通常の環境下」ではクリーンカットな識別方法がない。ならばどうすればよいのか。筆者は、常々「優れた理論は、本来、単純で分かり易くなければならない」という妙な考え方を持っている。「妙な考え」とは、その考えを支持する確固たる科学的根拠がないことである。

  「悪夢工学式性格評価法」に対応して、ある人物がどの性格タイプに該当するかを識別する所謂「悪夢工学式性格識別法」は、単純で誰にも分かり易いものでなければならないと考えた。そして実用的な識別法を求めて悩みに悩んだ。

  と同時にB1を狙い打ちにした識別法がないかも探し求めた。何故なら、働き蜂の様な夢破壊者に追従するC1の人物を識別するより、女王蜂の様なB1の夢破壊者を識別する方が迅速且つ効果的に破壊工作を排除できるからである。

2)般若の形相と本性は、いつ現れるか
 絶世の美女が窮地に追い詰められ、絶体絶命の危機に直面した。その瞬間、その美しい顔が般若の形相に変化し、恐ろしい本性を現した。これは映画や小説のお決まりシーンである。この種の映画や小説は、昔も今も、日本にも外国にも、数兄きれないほど存在する。。

 しからば何故、これほど数多く存在するのか。答えは簡単である。第一は、面白いからである。第二に、古今東西、極めて多くの人々が「悪魔の形相変化」と「恐ろしい本性の発現」に直面し、辛い体験したからである。この実体験が興味深い多くのフィクション小説や映画などを数多く生んだのである。

 上記の例に倣って、醜い姿と本性を現すことを扱った映画を紹介しよう。カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツネガー氏の主演作品で150億円の巨額を投じた米国映画「エンド・オブ・デイズ」は、この種の映画である。シュワルツネガー氏が演ずる刑事役の主人公は、21世紀への変わり目に、ある運命に翻弄された一人の女性のために命を懸けて悪魔と戦う。そして追い詰められた悪魔は、某教会でその醜い姿と本性を現す。主人公の彼は、その悪魔と最後の決戦に挑むというSF映画である。
つづく