PMAJ関西
先号   次号

「××システムのベストプラクティス」

PMAJ関西ホームページ幹事
データプロセス株式会社 東 秀和:10月号

☆標準化活動において
数年前、「品質」と言う曖昧な目標を立て、標準化メンバー全員の目標が定まらないまま、活動していた時期がありました。
その時の目標である「品質」の定義は、「誰がやってもプロジェクトがうまくいく」「どのプロジェクトでもうまくいく(コスト削減等)」であり、全ての設計書のフォーマットを合わせる所から始めていました。
当然うまくいくはずもなく、自然消滅しました。

しかし最近、社内にて標準化推進を行うことになり、今回は社外にいる私も参画することになりました。
今、特に問題になっている要因のひとつにお客様の情報がうまく整理できずに、迷惑を掛け始めている(すでに迷惑を掛けている)ことがあげられました。
ただ、以前と同じように、「フォーマットの統一から始める」言うメンバーがいたので、「フォーマットを合わせる前に、やるべきことのプロセスを定義する」というテーマで話し合い、時間はかかりましたが、なんとかメンバーのベクトルを同じ方向に持って行くこと出来ました。

☆××システムとは
以前からプロジェクトマネジメントを社内研修で行っていて、標準化推進メンバーもPMBOKを学習しているので、PMBOKに沿ったマネジメントの導入に対する提案を行いました。

その中で、お客様との情報交換(いわゆるコミュニケーション)に漏れが無いようにする為の何か探していましたら、PMBOKのツール&テクニックの中に以下のような記述があることを思い出しました。
  1. お客様からの情報を管理する「プロジェクトマネジメント情報システム」(統合マネジメント)
  2. 不具合、仕様変更などを管理する「-変更管理システム」(スコープマネジメント)
  3. それらの情報を管理する「情報収集検索システム」(コミュニケーションマネジメント)
標準化推進メンバーは、「システム」と名前がついているだけに、システム開発する(もしくはそういった製品を購入する)と勘違いし、拒絶反応を起こしましたが、「情報管理するためのルール、仕組み作りだ」と言うことを説明し、何とか理解してもらう事もできました。
またP2Mで言う所では「情報マネジメント-PMIS」「目標マネジメントの××システム」であり、それらのついても関係があるものとして考えました。

☆ベストプラクティスの利用
ただ、ルールを作るとなると、大変時間がかかるし、それが優れているのかわからない、逆に二度手間になるのではないか?など、不安要素もありました。
そこで、業界は違うがそういった情報の管理、変更の管理などのベストプラクティスである「ITIL」を使うことで対応できるのではないかと思い、ドラフト版を作成しました。
中にはITIL(Information Technology Infrastructure Libraryはイギリス政府が策定した、コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン)は「ITサービスマネジメントはサービスサポートや運用業務でやることだから関係ない」という人もいましたが・・・

以前からITILとPMBOKと関係性を考えていましたが、ITILの「サービスサポート」がそのままに近い形で利用できました。
  • サービスデスク・・・お客様からの単一窓口
  • インシデント管理・・・お客様からの質問票、照会票の管理
  • 問題管理・・・開発中/運用中のバグ票、不具合票の管理
  • 変更管理・・・お客様からの仕様変更票、開発者からの設計変更票の管理
  • リリース管理・・・アプリケーション開放の管理
  • 構成管理・・・履歴管理、バージョン管理、ドキュメントやソース、実行モジュールなどの関連管理
実際の業務では、上記以外に管理しているものも有りましたが、ITILを理解していくことで、特に必要ないことがわかりました。
ただ、他にもあるかも知れないので、継続して考えていくことにしています。

☆今後の作業
現在はドラフト版のレビューをかねたITILの勉強会を行いながら、標準化作業を奮闘中です。
しかし、ドラフト版が作成されたところでそれを運用してもらえなければ意味がありません。
運用するための仕組み、運用しなければならない仕組みを作って、出来る限りお客様の質問、依頼などの情報を漏れなく対応し、良好な関係を構築していきたいです。

この当たりの具体的な内容は、近いうちにPMAJ関西の例会などで実践事例としてお話させていただくことが出来たらと思っております。