PMプロの知恵コーナー
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まい ぷろじぇくと (19) 「健康マネジメントの指針」

石原 信男:10月号

 前号では、私たちの「からだの仕組み」と「生命活動の成り立ち」について、その要点を私なりの思いをもとに概述しました。ほんの一部分にすぎませんが、これを知るのと知らないのとでは自分の健康維持に対するマネジメントの方向や進め方がちがってくるからです。そして読まれた何人かの方から参考になった旨のコメントを頂戴しました。
 今回は、前回のそれをふまえて、良い健康マネジメントを進めるにあたっての具体的な指針のいくつかについて私なりの考えを披露させていただきます。

 1.基準とするものを定めましょう
 地球上のすべての生物は自然界のきまりに順応することで進化を遂げ、順応できないものは自然淘汰されてきました。私たちの祖先となる現世人類も15万年前?に地球上に現れて、地球の公転・自転、潮の満ち干といった自然界のリズムに合わせて進化し、いまの私たちがあるといわれています。
 ◆ 日の出とともに目覚め、日没とともに眠り
 ◆ 自然界の食物を摂取し(食べることと消化)、同化し(吸収と利用)、排泄し(体内の老廃物と食物カスの排出)
 ◆ 植物に含まれる水分からからだに必要な水を摂り入れる
これが生命を維持するもとになっていました。
 したがって、このような遺伝子をもつ現代の私たちの健康は、生命に必要なもの(健康づくりのための条件:例えば、からだにふさわしい食物、きれいな水や空気、日光、十分な睡眠、運動、良い人間関係等)、または生命をおびやかすもの(不自然な外的条件:例えば、クスリ、アルコール、タバコ、カフェイン、ジャンクフード、加工食品、多量の動物性食品等)と深いかかわりをもちます。前者が得られればからだは本来の正常なバランスを保てますが、後者の影響を受けるとバランスが崩れていろいろな障害があらわれます。
 そこで自然界のきまりをもとにして、次のような指針を挙げてみました。現代では実行するのはむずかしそうですが、私たちが健康に生きるための原点でもあるのです。

 a) 地球の自転に合わせた生活行動のパターンを心がけましょう
 ヒトは日中に活動し夜間は睡眠することを基本パターンとした生きものです。現代はヒトの活動に昼夜の区別がなくなる傾向にあります。その結果、ヒトに備わっている体内時計に乱れが生ずるようになりました。昼夜24時間における私たちの行動のパターンと体内時計の時の刻みとが合わなくなってしまったのです。ヒトの遺伝子は自然界の法則やリズムをもとにして設計されていることから、このズレは私たちの心身に好ましくない影響をおとぼすことになります(時差ボケはその一例)。これが重なると交感神経と副交感神経のはたらきに乱れが生じて自律神経失調に陥ります。自律神経失調はからだをマネジメントする重要な機能に乱れが生ずることですから体調不良になるのは避けられません。

 b) 植物性食品を主体にした食生活、それも旬のものをナマで摂りましょう
 人工栽培技術の進歩・発展により、野菜や果物の生育・熟成が季節の移り変わりに依存しなくなりました。旬(しゅん)という語が消えかけています。旬とは自然が与えてくれる「食物がもっともおいしく、栄養価も高くなる時期」のことです。市場には季節を問わず同じ野菜や果物がならんでいます。このような食材に旬を期待することはできません。
 1950年の3訂日本食品標準成分表と1982年の4訂日本食品成分表との表示では、栄養価に大きな差の見られるものが多々あります。32年間に成分表示値が3分の1とか2分の1程度にまで低下したものもあります。
 私たちは生命をもった地球上のいろいろな動植物を摂ることで、ヒトとしての生命を維持存続させてもらっています。他から与えられた生命エネルギーをヒトの生命エネルギーに変換するに際してのもっとも効率の良い方法は、できるだけナマの状態で食するということです。ナマで食べるということは、それらの生命維持の源である酵素を生きたまま私たちが摂るということです。ちなみに温度が48℃を超えると酵素の機能は失われてしまいます。私たちは他の生命の恩恵を受けて生きています。ムダにしてはならないのです。

 c) 要らないものは排出しましょう
 成分の低下もさることながら、いま私たちが身近で入手できる食材の多くに農薬や化学肥料の残留の心配があります。果物のポストハーベスト処理は当たり前になり、防カビ剤や防腐剤の残留が認められることもあります。何日経っても黒くならない皮のバナナや防カビ処理後にワックス処理した艶々のリンゴなど、からだには必要のない化学物質にまで私たちはお金を払っていることになります。
 近頃デトックスト(detox)いう言葉によく接します。デトックスとは身体の中の毒素を抜く体内浄化を意味します。本来人間の体には免疫機能と代謝機能が備わっており便や汗などによって毒素をきちんと排出して浄化出来るようになっています。しかし私たちは、日常生活において、生活環境や食品に含まれる添加物などから知らず知らずのうちに体内に有害物質を取り込んでいます。これまでの私たちの健康法は、体に良いものや足りないものを取り入れるための栄養の摂取を目的とした“足し算の健康法”が主流でした。
 しかし、体内に毒素がたまっているとこれが栄養の吸収を阻んでしまいます。効率よく栄養を吸収させるには、まず体内にたまっている老廃物(毒素)を積極的に出すことが先決ということです。つまり“引き算の健康法”も併せて大切なのです。

 d) 歩きましょう
 交通手段の発達で私たちは歩く機会が大巾に減りました。 太古の昔から一昔前までは、陸上では「歩く」ことが主な移動手段でした。太古の人たちは食物をもとめて、それも旬の食物をさがして歩き回ったことでしょう。私たちはその遺伝子をいまに受け継いでいるわけですが、現代はクルマという文明の利器があるために、どうしてもこれに依存してしまいます。それを補うためにスポーツクラブでエクササイズに励んだりすることになりますが、スポーツクラブへの往復の道のりを十分に歩き込めば、ジムでマシーンを使ったりプールの中をわざわざ歩いたりする必要はないでしょう。

 e) 骨格を整えましょう
 頚椎(7本)、胸椎(12本)、腰椎(5本)からなる脊柱を正常に整えておくことは、生命力を維持するうえで欠かせないことです。人間に必要なエネルギーの3分の2は脳に供給され、そこで消費されるそうです。残りの3分の1は首から下の部分で消費されます。首から下の部分は脳に供給するエネルギーの貯蔵庫のような位置づけにあります。
 中枢神経や主な血管は脊柱で支えられてエネルギーを支障なく脳に供給できるようになっています。脊柱がゆがむと神経が捩れたり絞られたりして神経系統の機能低下にもつながり、また血流も悪くなります。これは結果として脳への十分なエネルギー供給を阻害することになってしまいます。脊柱(バックボーン)をしっかりと整えておきましょう。

 f) クスリに頼りすぎない、自然治癒力が基本
 医療機関にかかるとディジタルな検査とクスリの服用を前提とした医療が施されます。医師は病名が決まらないとクスリの処方ができないので、病名が決まるまで検査を続けることになります。検査をすると患者に体力とカネの負担が重くのしかかってきます。これを避けようとするならば現代医療の枠外に出る以外に方法がありません。
 しかし、自分の判断に基づく選択とはいえ、現代医療の外に身を置くことにはかなりの 不安がつきまといます。それほどに私たちは検査やクスリに慣らされてしまっています。
 現代医療に用いられるクスリは生薬を主原料とします。生薬は自然の植物や動物に由来するものです。でも生薬だけでは特許がとれないので人工の化学成分を加えて今までにない新薬を創りだすことになります。ヒトの遺伝子の設計図は人工のものをためらいなく受け容れるようにはなっていないことから、クスリにふくまれる人工化学成分の副作用を受ける場合が多々あります。クスリの裏返しはリスクでもあるのです。

 2.めざすは「足りないものは補給し要らないものは排出しよう」
 私たちは健康維持のために十分に吟味した食物を摂取したとしても、栄養成分の低下を考えると食べる量を増やしてそれを補うか、たとえお金がたくさんかかっても原産地直送のとれとれの食材を購入することで栄養の不足分を補わなくてはなりません。
 このような背景もあって多くの国でサプリメントブームが起こっています。しかし、何を、どれだけ、どのような組合せで摂取すべきかというヒトのからだの仕組みにふさわしいマネジメントプロセスがわかりにくいことから、期待するほど健康維持に役立っているとはいえないのが現状です。サプリメントはあくまでも補足にすぎません。
 また、生活環境や食品に含まれる添加物からやむを得ず摂ってしまう物質、例えば食品に残留した農薬とか化学肥料あるいは着色や保存のための添加物は、からだにとっては要らない物質です。だからといってまったく体内に摂り入れないようにしたら、いまの時代ほとんど食べる物がなくなってしまいます。
 それならば、やむなく体内に摂り入れてしまった不要な物質はすみやかに排出する、これ以外に適当な対応策は見当たりません。
 したがって食生活のあり方として「足りないものは補給し要らないものは排出する」これが健康によいマネジメントをおこなうにあたっての原点になります。

 私は2年ほど前から、一種類で「足りないものを補給し要らないものは排出する」の双方に有効なものを見つけて食生活に取り入れています。単一ながら140種類ほどの人間に有効な成分を含んだナマのジュースです。健康維持のための私のノーハウ、また宣伝になってしまう、ということから商品名は示しませんが、太陽光線エネルギーと清浄な水や空気それに地中の自然な化学成分とに育まれた熱帯・亜熱帯に自生する植物です。3〜4千年前のインドや2千年ほど前のポリネシア諸島ですでにその存在が認めら、そして今にまで伝承された自然の恵です。「神からの贈り物」とあがめる地域もあるとか。
 失敗つづきで疲れ切ったプロジェクト関係者には試しに飲ませてあげたい気も・・・、でも失敗しないためのプロジェクトマネジメントの道筋を見出すのが先ですか。
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 次回も身近な まい ぷろじぇくと について考えます。ご期待ください。