「仕事を楽しくする発想の妙薬」
オンライン編集長 渡辺 貢成:10月号
私は卒業以来、一貫してプロジェクト業務遂行の人生でした。幸いなことに種々のプロジェクトを経験する機会に恵まれました。苦しかったこともありましたが、正直言って多くの楽しいプロジェクトを経験しました。しかし、最も満足したのは「仕事を如何に楽しくするか」ということを考えることでした。
「仕事を楽しくする秘訣」などというものではありませんが、どのプロジェクトでも、プロジェクトのミッションとは別にプロジェクトごとに何らかの課題を設定しました。命令された仕事は面白味も今一ですが、自分できめた目標を達成するのは楽しいものです。部下は閉口したようですが、この問題をはずして考えます。
お教えしたい妙薬とは何だと思いますか。ミッション以外の目標を立てるから仕事が増えて大変だろうと思われますが、そこが違うのです。妙薬とは発想法です。ミッション外の課題は「どうしたら仕事を減らすことができるか(ホンネはあまり残業したくなかったのかもしれません)」を考えることでした。正しく表現するならば一回目で仕事を整理すると2度目以降は知的業務の仕事量は半分以下になるという発想です。
最初の仕事は見習いですから、分からないことは聞きまくって、メモして整理しました。配管会社のベテラン現場監督と仲良しになりました。現場では先生がいないので、監督に弟子入りしていろいろなことを学び、整理しておきました。当然のことながら、発注者が受注者の監督に弟子入りするのですからなめられるのは覚悟です。やはりいささかなめられ、手抜き部分が出てきました。すかさず、「あなたは言っていることと実行することは違うのか」とからかうと、「教えなければよかったと文句たらたら」とはいいながらすべて要求を聞いてくれました。ここでの整理は役にたちました。1回目のプロジェクトは学びを主体としました。
2回目プロジェクト以降はどうすれば仕事が減るか、楽ができるかと一生懸命考えました。仕事を減らすには仕事の本質が分からないとできませんから、本質的な仕事とムダの差が理解できるようになりました。この無駄が課題となります。課題が決まると読書や、仕組みを研究することで、本人の知識レベルは向上し、その結果モノの本質を見る目がこえてきました。これで企画力がつきます。企画し、実行することが楽しくなります。本人ご満足ですが、問題がないわけではありません。「何故、あいつは余分なことをするのか」という周囲の声です。それらの声を聞き、面白いことを発見しました。これを経験則と名づけて整理しました。
経験則1.1:「人は教えてくれた人より、教えを求めてきた人に好意を持つ」
経験則1.2:「大学出は習慣から外れると、拒否反応を示す」
理由は簡単です。自分が学んだものと違うからです。
経験則1.3:「人は多く学べば学ぶほど、益々頭を使わなくなる」
皆さん方はにたっと笑って、同意されますか?
次回は具体的な問題をお話します。
−つづく−
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