PMプロの知恵コーナー
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「マンション建替プロジエクト奮闘記(その4)」

PMAJ関西支部 岡本 政義:8月号

6; 臨時説明集会開催にむけて
 管理組合定期集会での中間報告の2週間後、前回会合時に各委員の要望があったT社説明会が、理事長ならびに準備委員会委員の出席のもと委員長宅にて行われました。

  T社退出後、理事長を含めた委員全員により今後の方針について、私が用意した「建替えプロジエクト今後の方針」により、打ち合わせました。

  その一つとして、なぜ建替えが現実のものになったのかを、区分所有者の皆様にご理解を頂き、納得ずくで建替え合意を頂くための「わかりやすい資料」を作成することをきめました。
 それを配布、各階担当委員が責任をもって個別訪問し理解をうる。そして時期をみて、管理組合臨時集会を開催し説明を行うことにしました。あくまで100%合意をめざし、充分な理解のもと建替え採決に臨んで頂きたい為であります。

  資料内容は、@建替えか、修繕か A等価交換についての解説 Bニユータウンの現状 Cなぜ建替えが可能になったか? これまでの経緯、基本構想とその検証、デベロッパー4社への検討依頼とその結果、T社の建替え計画概要 D今後のデベロッパー決定についての区分所有者のご意見、などとしました。
原稿は私が作成し、事前配布のうえ、第5回準備委員会で調整、完成することになりました。

 次の問題は、デベロッパーの決定方法であります。私はT社を推薦していますが、はたして理事長/準備委員会,ならびに全区分所有者の了解がとれるだろうか?ということであります。

  常識的な方法としては、@臨時総会を開催し事前配布資料による説明、質疑応答後、「基本構想実現を条件」とした「条件付き建替え合意」をとる。次いでコンペ実施にむけ、区分所有者の希望もふくめたデベロッパー選定を行う A準備委員会内にデベロッパー審査部会設置 B管理組合/準備委員会によるデベロッパー引き合い、C回答受領、ヒヤリング、評価表作成、総会で説明願うデベロッパー数社決定 D臨時総会開催により、審査部会推薦デベロッパー数社による計画説明、質疑応答、部会に選考一任とりつけ E部会によるデベロッパー決定 F臨時総会によるデベロッパー決定報告などなどが考えられます。

  この方法は、基本構想実現可能の回答を頂いたT社の立場がどうなるのかも含め、デベロッパー決定に時間を要することになります。どうしたものか?が実感でありました。つぎのステップに移る妙案がありませんでした。

 これに対する天の啓示として、私の耳に入ってきたのは理事長の「4社に依頼検討したのだからT社でいいのじゃないの?」の一言でありました。実は、この理事長は、先だっての管理組合定期集会で改選された新理事長であります。その集会での中間報告では、常識的なコンペ実施が当然と発言していた方が我々の準備委員会のT社説明会に参加した上での発言であったとしたら、他の区分所有者にも了解願えるのでないかとの期待が芽生えました。

  早速、出席の理事長および準備委員会委員にコンペ実施を取り下げ、T社推薦でゆくことを提案しました。結果は、スムーズにT社推薦で進めようということになりました。区分所有者に配布する資料には、T社推薦文をいれることにしました。

 6月3日(土)第5回準備委員会が委員長宅で開催されました。私が事前配布した原稿をもとに打ち合わせが行われ、基本的にはスムーズに了解が得られました。

 T社を推薦する理由としては、@デベロッパー4社検討依頼のうち、イエスの回答をしてくれたのはT社のみであったこと。A日頃、情報検索に利用しているインターネットの「グーグル」からT社に注目した。大手デベロッパーで建替え事業を前面に押し出し、PRしていたのは、T社以外見当たらなかった。他の3社は周辺事情に詳しく我々の建替えに興味をもち協力願えるとみたデベロッパーを選んだ。B建替え事業の特徴は、顧客の要求に対しイエスの回答が出せるか、そして基本設計(仕様を含む)が満足できるものであるかの2点がポイント。C基本設計の面から見て、全戸平面駐車場採用がスペース面と金額面からみて可能かが、唯一の懸案事項として残っている。DT社に感謝し、信頼の念をもったことは、計画スタート時に、我々提示の敷地面積は、5,783.63でなく、5,392.32uであると登記簿謄本及び地籍測量図調査のうえ指摘してくれたこと、また隣接土地も、489.1でなく391.31uであるが、この土地は本計画外としてはどうかなど建替えにおいての貴重なアイデアを提供してくれたこと。E基本設計(仕様を含む)が、他社と遜色ないと判断できれば、コンペ実施は「屋上屋を架す」ことであり、建替え時期のタイミングを失うことになる。F今回自信をもって居住者の皆様に建替え提案ができるのは、この難題に熱意をもって解決してくれたT社のお陰である。
など、少々冗長なきらいがありますが、推薦文と致しました。
 なお、T社から指摘をうけた敷地面積は、私が初代管理組合長のとき作成した「管理組合規約」第4条記載の数値は、T社通りであり、なぜ違った数値が今まで一人歩きしていたのか良くわかりません。

  つぎに、次回の管理組合臨時集会の目的は、建替え合意決議が目的でなく、配布資料説明ならびにこれに対する質問と要望に変更し、7月2日(日)駅前のホテルにて行うことにしました。当然、理事会/委員会推薦のT社も参加することになりました。当日は、プロジエクターを用意し、説明要旨が徹底する配慮をT社にも要望しました。

  このような経緯をへて、管理組合臨時集会開催通知が、「建替え100%の合意形成をめざして」、とT社建替え計画書(事業計画に関する提案書)の2部添付のうえ、準備委員会書記のM氏のご尽力を得て、印刷、編集のうえ区分所有者全戸に配布されました。

 また委員手持ちの資料として、@事業を進める上での障害となる関係権利(借地権、担保権、相続など)やその他思わぬ事項の処理 A全体スケジユールについての理解、などT社から情報入手し作成、手持ち資料としました。

 次回は、7月2日(日)の臨時説明会の模様と、転出価格をめぐる区分所有者の発言により、基本構想の見直しを迫られる事態などをご披露したいと思っています。ご期待ください。
以上