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PMRコーナー

小林 正和 個人事業主:8月号

◆プロジェクトマネージャーのコーチング
 企業を退社して、個人事業主になると、実際のプログラムやプロジェクトのマネジャの機会はほとんどない。コンサルテーションや、セミナー講師が圧倒的に多い。そんな折、ある企業で、現役の一人のプロジェクトマネジャをコーチングするという機会に恵まれた。数回にわたって続けきたコーチングをまもなく終えようとしている。プロジェクト会議でのプロジェクトマネジャの言動を、プロジェクトマネジメントのあらゆる角度から観察して、その結果を2人で、検討し、次回以降の改善点を見出し、実施していただき、その効果を観察するということを繰り返す方式で進めている。最近、企業の閉じ篭もりが激しくなっている風潮の中で、この企業の見識の高さは、ひときわ際立っている。そのような企業のれっきとした現役であるから、超一流のプロジェクトマネジャである。ちなみに、筆者が40年近く勤めてきた企業でも、この人物に匹敵するプロジェクトマネジャには、一人だけしか遭遇したことがない。当初は、コーチングが勤まるかどうか、流石に大いに不安であった。幸いなことに、現役時代に非常に近いプロジェクトを経験したことがあるために、自分だったらどのようにマネジメントするだろうかと考えることができるので、それを参考意見として、討議できたのが良かったように思う。このコーチングを通して、考えたことを次に紹介する。

◆プロジェクトメンバー数とマネジメント
 図1 タイプ1のプロジェクトよく知られているように、プロジェクトメンバーの数が異なると、プロジェクトマネジメントの質が変化する。
 メンバーの数が7人〜10程度のプロジェクト(図1 タイプ1)では、プロジェクトマネジャ(図ではP)は、自ら、マネジメント手法に熟達して、メンバー(図ではM)に働きかけ、使命達成をはかってゆく。また、プロジェクトマネジャは、プレイイング・マネジャのような行動も必要と思われる。このマネジャが、タイプ1のマネジャとして、優れた業績をあげ、図2のようなタイプ2のプロジェクトのプロジェクトマネジャ(図ではP)にレベルアップするには、リーダー(図ではL)が、自らが実践して成功してきたタイプ1のプロジェクトマネジャとしての働きができるように、マネジメントできるようにすることが重要である。さらに、タイプ2のプロジェクトマネジャとしては、タイプ1の場合より、より広範で、マクロで、一般的には、より長期の視野でマネジメントを行なう必要がある。したがって使用する技法等も異なってくる。

図2 タイプ2のプロジェクト
図2 タイプ2のプロジェクト(7×7〜10×10人規模のプロジェクト)

更に、タイプ3の、一般的には1,000人規模のプロジェクトになると、リーダー(図ではL)を取りまとめるサブ・プロジェクトマネジャ(図ではS)が、タイプ2のプロジェクトマネジャとして成功させられるようなマネジメントが出来るように、プロジェクトマネジャが(図ではP)は、マネジメントすることが重要になる。当然、タイプ2の場合より、より広範で、マクロで、一般的には、より長期の視野でマネジメントを行なう必要がある。したがって使用する技法等も異なってくる。たとえば、タイプ2では、ややマクロすぎるきらいのある、アーンドバリュマネジメントなどは、タイプ3のプロジェクトマネジャにとっては非常に有用である。
図3 タイプ3のプロジェクト
図3 タイプ3のプロジェクト(7×7×7〜10×10×10人規模のプロジェクト)

ちなみに、今回のコーチングは、現在タイプ2のマネジャがタイプ3へ育って頂くたためのお手伝いである。

◆PMS、PMR、そしてPMA
 こんな事を考えると、PMSは、タイプ1のプロジェクトマネジメントが確実にでき、タイプ2のプロジェクトを任されても、成功させられること。PMRは、タイプ2で実績を上げ、タイプ3のプロジェクトを任されても、成功させられること。PMAは、タイプ3の経験を有し、タイプ4(そのような無謀なプロジェクトが存在するかどうかは別として)のプロジェクトを任されても、なんとか成功させられること。などに相当するのかななどと、妄想に耽りつつ、PMAの試験が行なわれるようになった暁には、挑戦してみようかと思っている今日この頃である。