図書紹介
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子どもが輝く 「魔法の掃除」  ―― 「自問掃除」のヒミツ ――
(平田治著、三五館発行、2005年06月02日、初版、254ページ、1,400円+税)

デニマルさん:8月号

 この本の著者は、学校の先生で30年以上の経歴がある。10年前に「自問掃除」と出会って、感動的に変わっていく生徒に触れて先生自身も大きく変わった。以来この「自問掃除」を続けているという。誰もが小・中学校の頃、掃除当番(現在も当番制?)の経験があったと思う。何故自分達が掃除しなければならないのか、疑問に思ってやっていた。だから楽しくなく、出来れば手抜きをしたい気持ちであった。しかし、大掃除や運動会後の掃除が終って、整理整頓された部屋や運動場を見ると爽快な気分となった記憶がある。人間は元来キレイ好きなのかもしれない。幼い頃からこうした掃除をする訓練を続けると、「心が磨かれる」=子供が輝くと紹介している。その根本的なことを、教育の場で実践されている。

「自問掃除」とは?      ――― 自問による「心磨き」 ―――
「自問掃除」とは、文字通り自問しながら掃除をすることである。その掃除の仕方には、ルールがある。先ず、先生や人から言われて「掃除」をするのではなく、自分から率先して掃除をする。これは『言うは易しく行いは難し』と思うが、ここから「自問掃除」が始まる。次は、掃除中にお喋りをしないで一人で黙々と掃除をする。この過程で自分の心が磨かれる。そして他人の掃除をみて、必要な手助けをする。結果、「心が磨かれる」という。

魔法の種とは??     ――― 人間の三つの玉 ―――
「自問掃除」のベースは、信じて相手を待つ。だから人から言われなくても「掃除」をする。この掃除=磨く=脳(大脳の前頭葉を鍛える)を意味しているという。これは「人間の三つの玉」を磨くので、普通の掃除とは全く違う。磨かれる玉とは、@がまん玉(意志力)、Aみつけ玉(創造力)、Bしんせつ玉(情操力)を意味している。これらは自分自身を磨くので、「自問」しながら掃除を続ける。その過程で、「魔法の種」は芽を出してくる。この種にも、「魔法の水」(前頭葉を刺激する話)をやり、芽を育てるフォローが必要である。

自発性の芽???     ――― 指示・命令・注意をしない ―――
「自問掃除」は自発性を養うので、人の指示・命令・注意を受けない。その結果も「ほめない、叱らない、比べない」、自分自身で判断する。しかし人間だから他人からどう思われるか気になる。だが自信を持って行動すれば気にならないと書いてある。但し、「休んでもよい」というルールがある。これは他人に対しても同じように「休んでもよい」ことを認める。以上、「ほめようとしないで感動を伝える」「叱らないけど譲らない」「比べないけど学びあう」ことが『自問掃除』(自問学習)である。これは人間形成の原点かもしれない。