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P2M研究会6月進展報告

山崎 司:7月号

1. 東京P2M研究会活動状況
■ 6月14日(水)東京P2M研究会第3回(参加者14名)18:30〜20:45
場所:ENAA 6階 6C会議室

I.「OWモデル」に関するプレゼンテーション
講師:渡辺貢成氏
1) 本テーマの目的・ゴールは何か
(1) OWモデルはどんな目的で開発されたか:⇒経営全般を俯瞰する手法の創出
プロファイリングマネジメントにおいて「ありのままの姿」、「あるべき姿」を求めるとき、どのような観点で「ありのままの姿」、「あるべき姿」を描き出すかを考える必要がある。技術だけを考えればいいか。商品提供だけを考えればいいか。現状は経営全般を俯瞰してあるべき姿を求める手法が確立されていない。現在あるのはバランススコアカード(BSC)だけである。
経営全般を考える場合、BSCは不十分である。OWモデルは経営全般を俯瞰する手法を創出したものである。
通常の戦略論をみるとSWOT分析、BSC、ポートフォリオなどがあるがOWモデルのように経営すべての面で評価する仕組みはできていない。SWOT分析における「強み」、「弱み」 も、担当者の思いつき程度で処理される可能性がある。OWモデルに示された8つの軸上のどの位置にあるかを認識すると強さ、弱さが比較的定量化される。OWモデルは経営を構成する頭脳的部分と8つの軸で表現し、すべての面で強み、弱みを検討することができる。従って経営改革や、業務改革を比較的定量的に評価できる。
(2) OWモデルの効用:⇒価値創出に効用がある
ものつくりを基調とする日本は価値創出の決め手として、常に技術を中心に考えてきた。しかし事例研究によると、ビジネスモデルは技術以外のところで効果を発揮している場合が多い。特に新しいビジネスモデル構築では8つの軸を有効活用し、組み合わせを武器としたものが多いことが知られている。また8つの軸のうちどの軸で価値を創出してもよい。
(3) OWモデルを俯瞰すると企業競争力が見えてくる
OWモデルは中心円、それを取り囲む8つの軸で構成され、各軸上での位置づけで競争力を比較することができる。OWモデルにより競争力を俯瞰できることはすばらしいことで ある。
1のまとめ:ゴールは企業が競争力を増すにはどのようなところで価値創出を図るか。
自社の強み、弱みを8つ軸の上で理解しよう。

2) OWモデルの説明
(1) OWモデルの説明:中心の円⇒経営力
OWモデルの中心円は経営力で、人間で言えば頭脳、司令塔である。経営力に必要なのは@価値総出力、A経営理念(優良企業は経営理念が正しく、社員に徹底されている)、 Bビジョン、C企業戦略、D統率力、E財務力である。財務力は経営の結果であり、これを定量的に評価することで経営力そのものを定量的に推測できる。
(2) 8つの軸
T.顧客関係性構築力
U.マーケット開発力
V.販売開発力
W.商品提供力
X.サービス提供力
Y.経営資源蓄積力
Z.業務プロセス活性化力
[.価値創出機能組織力
詳細は省略
3) OWモデルの用途
・ プロジェクトメーキング、構想計画策定に活用する
・ 経営改革に活用する
・ 戦略マネジメントに活用する
・ プロファイリングマネジメントに活用する
4) 研究の目的と目標
 本OWモデルはまだ未完成である。完成するためにはいくつかのステップがある。
@ 各軸ごとに多くの事例を集める
事例は二つの意味で価値がある。一つは、事例は価値創出のためのベンチマークと なる。二番目は、2つ以上の事例を組み合わせると、新しいビジネスモデルが誕生する可能性がある。三番目はベストプラクティスを探すことができる
A 各軸ごとのベストプラクティスを見つける
各軸ごとにレベル付けをする。ベストプラクティスをレベル5とし、現状の最低をレベルとすると、競争力の獲得するためのロードマップが描ける。
B 各軸ごとにレベル表示をつける
各軸にレベル表示が出されると、競争力の定量化ができる。

II.質 疑
 @ 岩下殿からOWモデルを使ってPMAJの現状表示をしてみないかという質問があった。

 回答は出していないが、PMAJがよい事例か分からない。現在集めた事例で、説明することになるだろうと思う

 A コミュニケーション関連
 鎌賀殿よりプロファイリングマネジメント運営時のコミュニケーションについていろいろなプロジェクトからアンケート調査で効果的なコミュニケーションにつぃて、調査したいとの発表があった。
 B 村上殿からは自社の業務を対象にP2Mモデルをつくる
 C 国谷殿からプラント系とIT系のPMの比較分析をテーマにしたい旨の表明があった。


III.今後の進め方
 事務局の渡辺殿から本研究会の進め方についてご案内戴いた。
@ 定例会議は、毎月第2水曜日の18:30〜とする。次回は会議室が取れないので7月11日(火)とする。
A 次回の講演はJICA中村さんにお願いする。テーマは「P2M JICAモデル」。
B OWモデルは分科会を開く。会議室を調べて最終決定をするが、予定は6月30日(金)18:30〜20:30とする。
C これまでに発表した資料は近々Webの図書館(デスクネット)に収納する。P2M研究会メンバーリストの登録者は、これから通知するユーザー名とパスワードで登録した資料を入手できる。
2. 名古屋P2M研究会活動状況
■6月20日(火) 名古屋P2M研究会立上げ(参加者9名)18:30〜20:00
場所:名古屋市中村区名駅大一名駅ビル
講演:渡辺 貢成氏
講演会: @ 個別案件のP2Mモデルの説明
            A OWモデルの説明
■ 今後は正式に名古屋P2M研究会が発足。

<筆者雑感>
 目下、ワールドカップドイツ大会が開催され、毎日熱戦が繰広げられています。思い起こせば、前回2002年日韓大会の期間中に、第1回のPMS講習会が開かれていました。金曜日の講義中に日本対チュニジア戦が行われ、試合が気になって気になって、休憩時間のたびに電話で試合経過を確認していました。
 今回、日本代表は大変残念な結果に終わりましたが、4年後の南アフリア大会に向けて、まずは「ありのままの姿」、「あるべき姿」を描き、新生日本代表チームをスタートさせて欲しいと願っています。
以上