先号   次号

「高校野球」

酒井 直二:7月号

 少々前の話ですが、今年の春は高校野球で盛り上がっていました。
 母校が甲子園初出場!同じ市内には甲子園常連の古豪あり、県内では最近全国区になった強豪をおさえての出場でした。
 卒業生の気持ちは、一様に“自分の生きているうちは甲子園で校歌を聞くことはないだろう"創立100年を超え、元女学校でのんびりした校風。まあ、そういう先輩たちの気質が校風をいちばん物語っていますが・・・
で、甲子園で楽しませてもらいました。

 私は、小・中と野球少年でしたが、高校では別の部活へ、今は特に贔屓のプロ野球チームも無く(消滅してしまいました)、高校野球も特に興味はなくなっていました。そこへ突然の吉報!母校の関西OB会での幹事としても関係していることもあり、試合の日が近づくにつれ周りも自分も盛り上がってきました。
 幸い職場が大阪ですから、午前中仕事して昼から甲子園で応援することができました。
 1回戦、先制するも逆転され、あ〜これで終わりか〜っといった空気が漂いだした後半逆転、最終回に1点差まで追いつかれたのですが、得点追加で逃げ切り勝利!アルプスは大騒ぎです。甲子園で校歌を歌えるのは最高に気持ち良かったです。
 2回戦、相手に先制されたのですが9回に同点に追いつき延長戦へ。これも相手のエラーなんですが、勝負は最後までわからない。ここらあたり、仕事にも共通するものがあるなあと感じた次第です。最後は残念ながら、さよならヒットで負けてしまい春は終わってしまいました。

 試合前、激励会で監督と校長を招待し、話を伺うことができました。監督は隣の古豪高校の選手出身、他校を甲子園へも出場させた経験がある方です。
 その監督が着任早々選手たちにお前たちの目標はなんだ?と聞いたところ、「県大会ベスト4」との答えが返ってきた。おどろいて、おいおいそれはちがうだろう。おまえ達の実力で目指すのは、あくまで甲子園出場だ。目標がそれだったらそれ以上は達成できないぞ!と説いてはみたが、選手たちが甲子園は遠い世界の他人事のように思っており、この意欲の無い選手たちの目標を高くあげ、意識を変えること、それが一番大変だったとのことです。
 未熟な高校生であり、負ければ終わりの勝負で運不運が左右することも確かで、実力、素質があるメンバーが集まることも前提ですが、やはり一番は意識であり自分たちの目標をどこに持っていくかということです。途方もない目標と思われても、指導者が達成のための過程を実施していくことで次第に現実化してくる。そして選手はさらに努力し、個人の実力が向上し、さらにチーム全体の実力が向上していった結果の目標達成です。

 久しぶりの郷土に対する自分の入れ込みようと、それ以上に郷土から出てきて何十年も経っている大先輩達のものすごいパワーに驚かされました。それと、最後まであきらめない自分の子供と同年代の後輩達。
 たった2試合の短い間でしたが、いっぱい教訓をもらいました。
 最後に、応援団で感じたことを。
 1回戦では、急ごしらえの応援団でもあり、大観衆とアルプススタンドの大きさに尻込みしている田舎者丸出しで、なんともぎこちなく、我々まわりのOBたちの好き勝手な応援に応援されての応援でした。が、3日後の2回戦はたいしたもので、結構サマになっていたと思ったら、応援団賞優秀賞を受賞したとのこと。何事も経験、失敗して成長することを実感し、素早く柔軟に順応することに感心しました。
 などなど、本当に元気をもらった春の甲子園。夏にも出場してもらいたいなあと心密かに期待しています。

PMAJ関西 酒井直二