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もったいない (MOTTAINAI)
(プラネット・リンク編、マガジンハウス発行、2005年06月27日、2刷、49ページ、952円+税)

デニマルさん(D棟):4月号

 「もったいない」この言葉は、日本の経済成長と共に使われなくなった。お金で何でも買える使い捨ての消費生活が日本人の物を大切にする文化を変えてしまった。しかし、経済成長の停滞に伴って、過去の反省から自然環境保全や物質万能の生活見直しを余儀なくされた。2005年2月京都議定書の議決もその一つである。その議定書発効の記念行事にワンガリ・マータイさんが招待された。マータイさんはケニアの環境副大臣で、植林など環境保全活動に貢献されノーベル平和賞を受賞している。そのマータイさんが、日本語の「もったいない」の意味を知って世界への環境メッセージとして広める大切な言葉だと感じられた。それを纏めたものがこの本だ。編集者のプラネット・リンクとは、マータイさんの考えと行動に共感した有志(吉野信吾:POPYEの元編集者他)の集まりであると書いてある。

もったいない精神の原点  ―― 3つのR ――
 「3つのR」とは、リデュース(節約)、リユース(再使用)、リサイクル(再活用)である。地球上のあらゆる資源は、有限である。だから使われた自然資源(食べ物やエネルギー等)は無くなると同時に、再加工された資源はゴミとなり有害なモノとしても残る。我々が浪費してきた地球資源は、結果として自然環境を破壊し深刻な資源不足をきたしている。次の世代に自然な地球環境を残すには「もったいない精神」で3R実践が不可欠なのである。

もったいない精神の実践   ―― 昔の知恵 ――
 この本には、現在我々が生活している中での資源の無駄使いの例が数字をもって紹介されている。その中に日本で昔から使われている3Rのことも書いてある。「風呂敷」がその一例である。どこの家庭にも2枚や3枚ある布切れで、魔法のように色々な使い道がある。色々な形状の物を包んだり、バックになったり、繋いで紐になったり、肩に掛ければスカーフにもなる。紙袋やポリ袋を必要としない「リデュース」「リユース」の代表選手である。

もったいない精神の継続  ―― エコロジー ――
 「もったいない精神」で3Rを実践・継続すると地球上の資源が無駄使いされないだけなく、自然環境の保護と我々の健康維持に繋がる。昔から「腹八分目に医者いらず」と言われた。好きなものを腹一杯食べるとその時は、満足感と幸福感に満たされる、しかし、肥満と栄養の偏りで身体の健康を害してしまう。その上、食料の無駄使いで余分な資源も浪費している。「もったいない」は、普段の生活の中から誰にでも出来るエコロジーのことである。