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「人をほめると福が来る」

オンライン編集長 渡辺 貢成:3月号

 PMAJには多くの研究会があります。通常SIGと呼んでいます。今活発に活動しているSIGはIT関連SIGです。この中にPS-WG(Partner Satisfaction-Working Group)があります。CS(Customer Satisfaction)はよく使われますが、協力会社(パートナー)の人々の満足も考えましょうというグループです。
 パートナーの社員の中には離職、自殺という問題を抱えており、そこまで行かなくともメンタルケアの必要な人々が多いという問題があります。
 このグループはプロジェクトマネジャーの仕事のやり方でどれだけ大勢の人が元気になるかという研究をしています。リーダーはオンラインに記事の連載をされている松尾谷さんです。今仕事が忙しくエッセイは半年休業です。

 このグループにはメンタルケアのプロの資格を持った産業カウンセラーの女性軍が頑張っており、理にかなった「人のほめ方」の研究をしています。研究の成果を国際会議で発表し、大きな評価を得ています。
 「人をほめる」ということは大切なことです。今「ヒトのほめ方」の研修講座を開いています。これはチームビルディング講座の中の1セッションで、ほめることでチーム内の良好な関係を構築しようというものです。この講座によると「日本人はヒトをほめることが得意ではない。しかし、ヒトの欠点を見つける能力は優れている」そうです。講座では初対面のヒト同士が4分間自己紹介をした後、相手に向かってほめ言葉を3個以上言わせます。しかし3個でもほめ言葉が思いつかないようです。ほめる習慣がないから仕方がありません。

 そこで読者の皆さんにも「ほめ方の訓練」をしていただこうと思いつきました。これは役に立ちます。
図「ほめるとき注意する。叱るときのDoとDon't(MEHモデル)」

1. 図の説明
・ ヒト自身がもつリソースは3層に分かれている
・ 1層:生まれつきのもの(人格・性格/体質/遺伝的なもの)
・ 2層:蓄積されるもの(知識/経験/スキル)
・ 3層:外に現れるもの(行動/発言/成果)

2. ほめる時:
・ いい仕事したね(3層をほめる)。
・ いい仕事したね。やはりキミの豊かな経験が生かされているね(2層)
・ いい仕事したね。キミの知識の深さもあるが、やはり資質が優れているよね(1層)

3. 叱るとき:
叱るときは3層にとどめ、仕事の結果のみを注意すること。1層までさかのぼると本人のダメージが大きい。
 しかり方でも「おまえチョンボしたな」より「チョンボして残念だったね」の方が効果的ですよね。
 このモデルは産業カウンセラーを含む研究会主力メンバー3名の女性(森本・榎田・原田)各氏の共同作品です。

4. ほめることは大変難しい行為
 欠点を探すことは容易です。ほめることは本人を観察し、本人が自慢したいところを捉えほめないと効果がありません。ほめることを心がける人は部下に対しても、上司に対しても常に観察する必要があります。人は必ず長所があります。学ぶべき何かを持っています。長所を認めると、人に対し常に敬虔な気持ちを持つことが出来ます。常に観察することで、人の心遣いに気がつき、感謝の気持ちが湧いてきます。この気持ちがあれば熟年離婚はありませんよね。考えてください。感謝することはお金が掛かるわけではありません。しかしその見返りは大きいとは思いませんか。
 研究会でも女性軍団の活躍は目覚しく、研究会が膨れ上がっています。定年過ぎのおじさまにも人気があります。「人をほめると福が来る」を地で行く研究会をご紹介しました。参考にhttp://www.ps-tb.jp/を覗いてください。

以上