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1月号のクイズ
クイズ「自在氏の経験則」
PMP資格試験やPMS資格試験は知識ベースの試験です。通常4択問題といいます。設問に対 し解答が4つあります。その中から正しくないものを選びます

設問1. 「責任転嫁」で下記の回答から最も正しくないものを選びなさい
a.プロジェクトマネジャーはいかなる理由があろうともプロジェクト内の責任を部下に 転嫁してはならない
b.上司は条件を付けて権限を与えたことに対してはその範囲で部下に責任を転嫁させて よい
c.プロジェクトマネジャーは自分か責任を負えない事柄に対し、上司に責任を転嫁す ることが出来る
d.プロジェクトマネジャーはプロジェクトに関する部下の責任も逃れることは出来な いので権限は委譲すべきでない


価値をつくるPM(4)「価値創出の輪(2)

渡辺 貢成:1月号

 前回は企業における価値創出は8つの軸(「価値創出のための俯瞰図」参照)によって構成される話をし、軸T.U.V.まで説明した。今回はW.商品提供力、X.サービス提供力を説明する。

W.商品提供力
 企業は通常商品かサービスの提供によって顧客との関係性を構築している。関係性の構築は顧客が商品やサービスを認め、これを購入することで始まる。その第一歩は商品やサービスのもつ機能を買うことであるが、顧客の求める価値が次第に上昇する傾向がある。その傾向は機能から品質、価格、納期(QCD)へとシフトする。ところが、機能、QCDだけでは他社との競争が激化し、利益確保が困難となるため、新製品開発を進めるが、他方設計思想(アーキテクチャ)、デザイン、ブランドを強化する化へと進むことで競争力を強化する努力をしている。
 日本はモノつくり大国である。商品開発力において未だに世界一である。残念ながら日本では大量生産商品はの需要がへり、大量製品の製造が中国にシフト(含む日本企業が中国で生産している)してしまった。今後どのような形で日本の顧客、或いは海外の顧客との関係性を構築するかが現時点の最大の関心事である。
 そこで現代は「モノつくり」という発想から、お客が喜ぶ「新しい価値」を提供することが大切になる。方向は特殊機能、高級品志向、組み合わせイノベーション商品の提供へとシフトすることになる。モノつくりというと形のある製品を想像するが、大型のパッケージソフトや、金融商品もモノつくりの範疇に入れると必要がある。日本人はきめ細かい対応によって世界に認められている。これが日本文化である。日本企業で成功したパッケージソフトは少し工夫をすれば世界に役立つに相違ない。ただ、IT業界や金融業界にその発想がないだけである。発想がないということは価値創出という発想を持っていないからである。顧客が認める価値であればどのような商品でもかまわない。

 図は日本語で「価値創出のための俯瞰図」

 英語ではP2M VWM(Value Wheel Method)OW(小原・渡辺) Model

X.サービス提供力
 サービス提供力も商品提供と同じで、顧客が買うのはその機能であり、QCDであり、ブランド化に向かって競争力が増すことは同じである。ただ、二つの点でサービスは商品とことなる。その一として商品はモノの提供によってビジネスが成立し、サービスは人間の行為によってビジネスが成立すること。その二として商品は何時までも存在するがサービスは提供すると即座に消滅してしまい、蓄積できない点である。モノの納入は継続して存在するから需要は一時とまるが、逆にサービスは消滅し、在庫がきかないから、ビジネスとしては継続的に存在するという利点がある。

 T.からX.まで説明したが、U.からX.までは企業が「提供する価値」であり、この価値で「T.顧客関係性を構築する」ことになる。
 これまでの説明は「企業が創り出す価値」についてであったが、次回は企業が「提供する価値」をつくり出すために要求される「価値を創出する能力」について話を進める。

以上 


12月号のクイズ

 「三日三年の法則」というのがあります。
この経験則は「部下は3日付き合ったら上司の品定めができるが、上司は部下の本質を知るのに3年かかる」という内容のものです。プロマネの自在氏はこの法則を有効活用しています。あなたならどのように活用しますか考えてください。自在氏の経験則はプロジェクトを運営する上で貴重な経験則です。
 「プロジェクトマネジャー自在氏の経験則」より引用

回答1. 予知管理に活用する
 プロジェクトマネジャーは予知管理できることを望んでいます。予知管理能力強化の話をします。マネジャーの下にはエンジニアリング・マネジャー、調達マネジャー、建設マネジャー等いろいろな関係者がいます。人にはそれぞれ短所・長所があります。彼らの短所がプロジェクトに影響することがあります。それぞれのマネジャーの欠点はその部下が確実に把握しています。そこで各マネジャーの部下に何が起こりそうか、こっそり情報を集めます。工程管理で言えばプロジェクト工程遅れの最大の被害者は建設現場です。そこで建設マネジャーにエンジニアリングで遅れそうなものを指摘してもらいます。彼らは的確に予想していますので、彼らから聞く情報は工程管理に多いに役に立ちます。