3.価値の輪
前回は「価値の定義」を説明した。定義はそれなりに重要であるが、長々と書いていても問題の核心に到達しないので、今回から問題の核心に迫ることにした。
まず、価値創出のための俯瞰図を提供する。
図は日本語で「価値創出のための俯瞰図」である。
英語ではP2M VWM(Value Wheel Method)OW Modelとした。
命名の由来: |
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経営力とは価値を創り出す能力であることから、価値創出力とした。 |
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経営における価値とは、価値を買ってくれる@顧客、A顧客に提供できる価値、Bその価値をつくり出す企業力から成り立ち、これを俯瞰して価値創出のための俯瞰図と命名した。 |
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俯瞰図は中心部の円(企業の経営力)の周囲に8つの軸でまとめた。 |
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8つの軸は「T.顧客関係性構築力」、「U.マーケット展開力」、「V.販売開発力」、「W.商品提供力」、「X.サービス提供力」、「Y.経営資源蓄積力」、「Z.業務プロセス活性化力」、「[.価値創造機能組織力」とした。 |
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経営力(中心部の円)は価値を創り出す能力である。 これまでは売れる商品やサービスを提供できる能力が経営力の中心である。モノが売れなくなった昨今は、顧客が買ってくれるものを創り出さないと経営を円滑に行うことができない。モノやサービスは未だに重要ではあるが、それだけに限定しないことを重視する。
価値創出には短期的、中期的、長期的視点が必要であり、優良企業は円内の経営理念が優れているという実績がある。 |
T. |
顧客関係性構築力
経営力で最も重要なのが顧客関係性構築力である。経営における価値とは顧客にとっての価値であるから、価値をつくり出す前に顧客を特定しなければならない。
経営の神様であるドラッカー博士は「社長が最初に手がける仕事は顧客との関係性構築である」といっている。
顧客関係性構築力の詳細は次回以降で行い、今回は8つの軸について概説する。 |
U. |
マーケット展開力
顧客との関係性は従来から商品かサービスの提供によって成り立っていた。このことは今後も変わらない。しかし、日常生活に関連する商品が各家庭に一巡すると「買いたいものがなくなった」が現状の問題点である。そこで市場の潜在ニーズを探し、開発するのがマーケット展開力である。新しい価値は顧客を選別して探索する手法がとられている。売り手が感じる価値ではなく、買い手が感じる価値を創出する能力が求められる。市場にマッチすると爆発的に売れる。 |
V. |
販売開発力
販売とは足で稼げといわれた時代が終わったわけではないが、販売の手法が急速に変わっている。一方でトヨタは乗用車販売店でサービスも製造業であると「トヨタ生産方式」を取り込んで、改善に励んでいるが、他方インターネットを利用した販売が猛威を振るっている。アマゾン本体は5年間で8000億円と売り上げを伸ばし、日本アマゾンも5年間で800億円と書籍、日用品の販売で売り上げを伸ばしている。楽天、ライブドアもアマゾンに抜かれてしまった。しかしこれらのインターネットビジネスは益々猛威を振るうに相違ない。人間が店に行く手間と商品を探す手間を省いてくれるからである。 |
今や販売とは新しい手法を開発したところが勝つ。販売手法そのものが価値で、売れる商品より価値を高めている。
次回は商品提供力から説明する。