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  「グローバルPMへの窓」第3回
PM Guru に祭り上げられた凡人のはなし (その1)
GPMF会長  田中 弘

 11月9日、インドのニューデリーで開催されるInternational Project Management Association - IPMA 第19回世界大会に出席のためタイ国際航空でデリーにやってきた。
今回の大会はIPMA史上初めて発祥の地ヨーロッパから離れてアジアで開催される世界大会であるが、筆者はホスト団体のインドPM協会(PMA)とは世界のだれよりも深いお付き合いがある。1997年に初めて同協会長Adesh Jain氏(今年から上部機構のIPMAの会長でもある)の度重なる要請に応じてGlobal PM Symposium New Delhiに参加したが、これが深みにはまるきっかけで、続いて2000年から2003年までニューデリー詣でが続いた。行けば基調講演、招待講演、議長となんでもやらせてくれて、しかも大会の途中で平気でプログラムを変え、これに現場合わせで追随するという大会プロジェクトの面白さに筆者もはまり、インド側のJain 会長やインド政府あるいは産業界の人達も、日本人でもなく、ヨーロッパ人でもないユニークな話をする筆者(Japindianと称されることもある)に大きな興味を示したらしい。毎年夏を過ぎると今年も来てほしいというコールがかかり、12月第1週はニューデリーで過ごすというスケジュールができた。
そのように愛するインドPM協会が主催するIPMA国際大会であるから、筆者も否が応でもボルテージが上がり、主催者への種々の協力やら自分の講演のための準備を行って当地に乗り込んできた。何せ、今回筆者に振られた役割は半端なものではない。筆者が会長を務めるGlobal Project Management Forum の一日世界大会の議長を務め、あるいは何回かプレゼンテーションを行うこと、この大会前後にGPMFの理事会を開くこと、本大会になって、基調講演・トラック基調講演・基調パネルのスピーカーを務めること、トラック議長を務めること、などである。これは取り敢えずの予定で、あと何が加わるかそのときになってみないと分からない。
ということで、先行のGPMFの大会が、PMIとIPMAの綱引き的な場面がでてきて多少の緊張を含みならも無事終わり、本大会に突入したところで、出ましたサプライズが。

インドのPM関係権威者7名(政府・PM協会・産業界)が選考委員となって、PMのグローバル普及に卓越した功績を残したPMリーダー(グールー)1名に授与するインドIPMA世界大会記念PM Guru - Global Project Management Leadership Award受賞者になんと筆者が指名され、インドを代表してOscar Fernandes国家計画・プログラム大臣から表彰盾をいただいてしまったのである。
それは国際PM界でのキャリアは長いけれど、所詮は日本人には少し珍しい元気な普通のおじさんに過ぎない筆者がGuruになってしまってはまずいのである。かなり躊躇したが、ありがたくいただくことにした。
受賞の事由は、20数年に亘り世界PM界に在りPM振興に地道な貢献をしていること、世界の三大PM協会すべてに高い評価を得ておりGPMF会長を任されていること、並びに世界の各所で、そして産業のPMとプロフェショナルのPMをバランスするユニークなPM論を展開していること、ということであった。面映いこと甚だしいが、あとで聞いてみると選考委員全員一致で推薦いただいたとのことである。多分、受賞事由の半分は筆者のインドPM界への貢献を評価してのことであろう。受賞の後、インドはもとより、ヨーロッパの各国協会長や、PMI幹部、オーストラリアPM協会幹部が続々お祝いを言いにきてくれたが、Well deserved, well done との彼らのお祝いの言葉に、Thank you, I guess partially thanks to nepotism. (いやあ、コネもありまして)と返すとみんな大笑いしていた。
PMAJの門出にあってすばらしい勲章を下さったインドの関係者の皆様大変有難うございました。
この受賞から、どのようなことがPM界で評価を受けるかを考えてみると、次のようになろうか。
世界のPM界に認められるには最低10年は世界の舞台で頑張らないとだめである。
世界のPM舞台では、ある人のコメントの価値、言動の首尾一貫性などを皆がよく見ている。
PMの権威として書籍などの成果物で勝負しても評価してくれるのは一部の人だけである(コンペティターは山ほどいる)。
逆に世界のPM界の仕組み作りに貢献することは高く評価される。
世界のリーダー達と種々のアライアンスを組むこと。これには自分から与えるものがないと仲間に入れてくれない。仲間がお互いに引き立ててくれる。
自分が活躍できるターフを3つぐらい持つこと(筆者の場合は、米国、インド、シンガポール、フランス、オーストラリアなど)。
フランスのリール大学院大学に、教授を含めて皆からGuru と呼ばれているインド人青年の助教授がいる。優秀であるが礼儀正しい好青年であり、だれからも好かれている。Guruの本場(元々はヒンズー教の導師)出身の彼は、Guruとは自然流で率先垂範して人に尽くすことであると教えてくれている。そうであれば、PMAJにはGuruと呼べる人は多数いるはずである。

【次回に続く】