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『第311回月例講演会』報告
木村 勝 : 3月号
【データ】
| 開催日: |
2026年1月30日(金) |
| テーマ: |
「 ビジネス×システム融合のプロジェクト規模別アジャイルアプローチ 」 |
| 講師: |
尾形 順一( おがた じゅんいち )氏
Ridgelinez株式会社 Technology Group Director
本間 翔 ( ほんま しょう )氏
Ridgelinez株式会社 Technology Group Consultant |
◆ はじめに
私(筆者)自身、多くのプロジェクトに携わらせてもらってきましたが、その要求や、要件、メンバーの多様性などによって、複雑性が増し、限られた時間とお金の中で、成功裏に収めることが難しくなってきていると感じています。
その規模、特性などに合わせアプローチを変えていくことが必要不可欠だと考えます。
そこで、今回の月例講演会では、Ridgelinez株式会社 Technology Groupのプロジェクトマネジメント及びアジャイルDevOpsの専門家である尾形順一氏、同社でIT戦略立案から保守運用まで幅広く経験された本間翔氏を講師にお招きし、「ビジネス×システム融合のプロジェクト規模別アジャイルアプローチ」と題し、体験談や事例などを交えながらご説明いただきました。
以下、要点を抜粋してご紹介します。
◆ 講演内容
1. 社会環境の変化
市場環境は、常に変化しており、先行きが不透明で、将来予測が困難である。
市場環境の変化への対応の難しさ
- Society3.0(工業社会)、Society4.0(情報社会)を経て、Society5.0へ
- 社会・経済・政治・技術は、常時変化し、事前予測が困難、最適解はない
顧客ニーズ変化への対応の難しさ
- 市場・顧客ニーズは加速度的かつ連続的変化
- 俊敏かつ柔軟に対応ができず、競争優位性を失う原因
競合との差別化・競争優位の難しさ
- サービスと製品の開発競争激化
- 自社のサービス・製品はすぐに模倣されてしまう
自社リソースでの変化への対応の難しさ
- 従来型(ウォーターフォール)の限界
- ビジネスとシステムの一体性欠如
- 内製化人材(スキルと経験、ナレッジ)不足
2. アジャイルの基礎
アジャイルは、俊敏性・柔軟性・即応性を持ち、システム開発だけでなく、業務変革や仕事術など幅広い範囲で適用可能。
プロジェクト方法論の変化
| ウォーターフォール型 |
: 要件定義 → 外部設計 → 内部設計 → ユニットテスト → 統合テスト |
| アジャイル型 |
: まず小さく素早く「動くもの」システムを作り、ユーザーの意見を取り入れながら段階的に成長させていく |
世界のプロジェクトマネジメント動向(アジャイル導入率)
| 海外企業 : |
導入できていない 13% / 全社/一部で導入 87% |
| 日本企業 : |
導入できていない 78% / 全社/一部で導入 22% |
アジャイルの特徴
| 俊敏性 : |
小さく素早く「動くソフトウェア」を継続的にデリバリー |
| 柔軟性 : |
仕様変更はいつでも可能 |
| 即応性 : |
不確実で混乱した状況において、即座に環境適応する |
| その他 : |
予算と期間を固定させ、スコープを可変とし、要件や機能に優先順位を付けて調整する |
3. ビジネス×システムの融合
ウォーターフォールでもアジャイルでも「ビジネス×システム」融合のアプローチが不可欠。アジャイルは、単なるシステム開発手法ではなく、ビジネス&システムの両面で、競争優位となるアジリティ実現を目指すもの。
主要要素
- ビジネス(業務部門・事業部門・ユーザー部門)とシステム(IT部門・情報システム部門・ベンダー)の連携
- OneTeam:プロダクトオーナー(PO) / スクラムマスター(SM) / 開発者
- リリースゴール、プロダクトバックログ、スプリント計画、スプリントバックログ、スプリントレビュー、レトロスペクティブ、バックログリファインメント等
4. プロジェクトの特徴や規模を考慮せず失敗を招くケース
アジャイルに取り組むものの、海外でさえ半分以上が成功していない=失敗している。
陥りがちな罠
- PMのプロジェクト方法論、開発方法論(WF or Agile)の理解不足携
- 開発方法論の選択の誤り(WF or Agile)
- 初期スケールの誤り(大きく始めすぎる)
- チーム間がバラバラに動き、ガバナンス欠如
- 大規模化での非自律チームの無限増殖
5. プロジェクト規模別のアジャイルアプローチ(小規模 or 大規模)
小規模
- スクラム中心、1チームで短いスプリント、クイックウィン獲得
大規模
- スケーリング手法(SAFe、LeSS、スクラムオブスクラム等)
- CoE(Center of Excellence)によるガバナンス・標準化・教育
- 共通アーキテクチャ、CI/CD、テスト自動化、チーム間連携の仕組み化
事例
- 小規模事例(カメラメーカー):5-10名規模、1.5ヶ月で初回リリース、7ヶ月で5回リリース、3ヶ月で内製化
- 大規模事例(自動車メーカー):100名規模、PO60名、4チーム開発者40名、同時並行、CoE による共通化と支援
6. まとめ
困難はあるが、失敗を恐れずに、チャレンジを楽しむ。
- 市場環境は常に変化するため、PM/アジャイルの知識をアップデートし続ける必要がある
- ウォーターフォールもアジャイルも「知る・分かる・できる・教える」レベルを目指す
◆ 講演を聴き終えて
今回の講演では、講師の尾形順一氏、本間翔氏の体験談、実践事例をもとにした貴重なヒントをいただけました。
チャレンジを楽しむ姿勢や、常に知識をアップデートする必要性、その時々でアプローチを考えることが大事だと感じました。
月例講演会を通じて、貴重なお話しをしていただけたことに、心より感謝を申し上げます。
当日参加された皆さま、何かヒントになることはありましたか。
月例講演会では、今後も皆さまにとって有益な情報を提供してまいります。
引き続きご期待ください。
尚、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集していますので、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
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