今月のひとこと
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 プロジェクトで決断すること 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :2月号

 この冬は大雪のニュースが続きます。こんな時期に選挙をしようと決断された方も大雪のニュースを見ていたはずですが、選挙日程の検討にお天気の要素を組み込まなかったのでしょうか。物事の決断には、あらゆる要件を収集し検討しなければなりませんが全てを満たすことはできないので全体最適の解を見つけることが重要です。検討されたうえでの決断だったと推測します。雪のために投票できない人が大勢いたとか、投票所の行き帰りに事故に出会ったとかといったことが起こらなければ、この決断が最適解だったかどうかを検証されることはないのかもしれません。何事も起こらないことを祈りつつも、どなたかが検証してくれればいいなと思っています。

 プロジェクトマネジャーもプロジェクトの様々な局面で決断をしなければなりません。決断をするということは責任を負うことになるので、それを嫌ってマネジャーになりたくないという人が多いといわれてます。ある調査では、会社員の8割が管理職にはなりたくないと思っているそうです。プロジェクトマネジャーも管理職に属すると考えている人が多いでしょうから、プロジェクト関係者も同じような割合だと思われます。
 しかしながら、実態はともかくとしてプロジェクト型組織におけるマネジャーの役割を考えてみると、それほど嫌わなくてもいいのではないかという気もするのです。

 プロジェクトを運営するにはプロジェクトマネジメント(PM)が必要です。これは、マネジャーだけではなく、全メンバー・ステークフォルダーにも求められます。プロジェクトマネジャーにはさらにリーダーシップが求められ、メンバーにはフォロワーシップが求められます。PMとリーダーシップ(&フォロワーシップ)の両方が充実することによって、強固なプロジェクト型組織が生まれます。プロジェクトにおける決断は、リーダー単独で行われるものではなく、メンバー全員によって行われることになります。プロジェクト型ではない組織においてもリーダーシップ・フォロワーシップがありますが、組織運営に関する情報を全員が共有する訳ではないので、リーダー(管理者)が一人で重要な情報を抱え込んで決断するといった事態が発生することになるのです。
 また、プロジェクトにおけるリスクは全てリスクマネジメント上でオープンにされます。リスクマネジメントに瑕疵がなければ、プロジェクトが頓挫したとしても公正な原因分析が行われることになります。
 社会の現状を見渡すと、プロジェクトに関わる人に必要なPMが全員に周知されていない組織が多いのではないかと思います。決して、全員にP2M資格を取れということではありませんが、基本的なPM知識は必要です。プロジェクトを立ち上げるのであれば、その前に基本的なPM教育を関係者全員に施さねばなりません。プロジェクト初心者への教育がプロジェクトマネジャーの所管となっているようでしたら、見直すべきだと思います。リーダーが全てを抱え込んで単独で決断するといったやり方は、プロジェクト型組織では許されないことを組織の全員に周知しなければなりません。
 現在の日本では、あらゆる産業でイノベーションが必要だと言われています。イノベーションを牽引するために、理系の研究者をより多く育成しようという掛け声が聞こえます。それと同様に、イノベーションを実現させるプロジェクトマネジャーの育成が重要です。日本中では多くのプロジェクトが動いています。イノベーションプロジェクトでなくてもいいですから、その環境を整備することによって、従事する人々からプロジェクトマネジャーを育成することが可能になります。
以上

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