グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第191回)
民間交流

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :12月号

 10月中旬、フランスの大学院時代の研究科長(つまり雇用主)であった元教授が、ご主人の東京出張に同行して来日した。3度目の日本である。ご夫妻とは家族ぐるみの付き合いがあり、以前横浜のビジネススクールの筆者のプログラムでゲスト講義をしてもらったり、京都に両家族ででかけたりした。今回も当方の妻共々、先生を横浜の名所に案内し、両家族で和食レストランで夕食を楽しんだ。フランス人は、味覚が鋭く、食に偏見がないので、日本人がおいしいと思う食べものはすべて舌に合う。この交流はフランス人と日本人が馬が合っている一つの例である。

 先生は、南フランスのニース地区に住んでいて、最後はモナコのビジネススクール(経営大学院)で教授をしていたが、60歳できっぱり引退し、シニアライフを楽しんでいる。教員の人達は一刻でも長く影響力を保ちたいと考えるのが普通であるが、潔い。

 先月号で、旅行代理店を介さない自前の海外旅行のノウハウを紹介したが、フランス人はアフリカやカリブ海のリゾート行きのパッケージツアーは別として、旅行はすべて自分で計画を立てて自分の足で実施する。このご夫妻も広島、福岡、長崎、大阪、箱根と廻って帰国した。

 高市首相の国会答弁で日中の外交関係に緊張が高まっている。ビジネス、特に国際ビジネスでは曖昧なビジネスコミュニケーションは、とかくトラブルの元となるが、政治や外交では、明快な答弁がトラブルとなり得るとは、難しい。言いたい放題の大国の国家元首が数名おり、放言が問題にならない事例があるのに、外交は微妙で難しいものだ。

 各国の政治・外交と民間の交流は別であると考えた方がよいと思う。そもそも、外交でも、表向き国のスタンスのぶつかり合いがあっても、事務方同志は決して交渉のルートを断ち切らない。数年先状況がどのように変わるか分からないからルートは維持して、コミュニケーションを続ける。

 外交関係がギクシャクしていても、民間では政治ニュートラルな交流ルートがあるのが望ましい。筆者も、協会関係では旧GPMF - Global Project Management Forum (PMI、IPMA、PMAJ、IPMA参加の有力協会)の第三代会長をやっていたし、研究者の時代があったので、日本と友好関係にある国だけではなく、ロシア、中国、イランの研究者とのコミュニケーション・ルートをいまでも持っている。

 11月に今年最後の研修を終えたが、来年1月から3月には4つの研修案件があり、極端な機会では、2月の第1週に3つの別の案件の研修が2つの協会であり、4日連続で終日教えることになった。このような詰め込みは人生初めての経験であり、体力配分と案件間のモードの切り替えをどのように行うか思案中である。 ♥ ♥ ♥

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