図書紹介
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トップ5%社員の読書術  (AI分析でわかった)
(越川 慎司著、(株)ディスカバー・トゥエンティワン、2025年3月22日発行、第1刷、
206ページ、1,700円+税)

デニマルさん : 7月号

今回紹介の本は、Web(ビジネスブックマラソン:、2025年3月21日付、No.6683)で紹介された情報から取り上げさせて貰いました。このWeb情報の詳細に関しては、筆者の書籍情報入手の色々として過去にご紹介したので割愛します。しかし、このWeb主宰者の土井英司氏とは少なからずご縁があるので、筆者との関係をチョット触れさせて下さい。この話題の本の連載を書くキッカケとなったのが、土井氏の『成功読書術』(2005年4月10日発行、ゴマブック(株))の本だったのです。この経緯を書くと長くなるので、本題に入りましょう。本書の内容に入る前に著者の経歴からご紹介して「AI分析でわかった」シリーズの全体を俯瞰してみましょう。著者は、1971年生れで山梨県出身。1996年にNTTに入社し外資系企業を経て、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。のちに業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者。働き過ぎて2度鬱病になった経験を元にして2017 年に(株)クロスリバーを設立。現在、(株)クロスリバー代表取締役CEO。これまで800 社以上(従業員数は延べ17万人以上)の働き方改革を支援して「働きがい改革」、「"忙しい”から解放するタイムマネジメント」や「社内会議ダイエット」、「効率と効果を高める資料作成術」などのオンライン講座を年間400件以上提供。著書に『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』シリーズの全5作、『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング刊)など、累計31冊がある。他に、現在の会社で全メンバー週休3日、複業(専業禁止)、リモートワークの実践と、過去の健康管理の面から7時間睡眠を6年以上実践している。特に、「働き方改革」の支援と『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』シリーズ本では、20万部を超すベストセラーとなっている。今回紹介の本はシリーズ本の中で読書術編として纏められたものである。少し概要をご紹介すると、トップ5%社員が年に何冊本を読んでいるのか、どこでどんな読み方をしているのか、精読にどう対処しているのか、どう選書して知識を豊かにしているのか、どうアウトプットしているのか等々をファクトベースで纏められており、読書に関する以外でも参考になる点が多々あります。中でも読書術に関して注目したい点は以下の項目でしょうか。
  • トップ5%社員の75%は忙しい時こそ本を読む
  • トップ5%社員の67%は幼少期に図鑑が好きだった
  • トップ5%社員の68%が「選読」して全部読み切らない
  • トップ5%社員は一般の80倍“耳読書”を経験していた
  • トップ5%社員の読書は購入直後の興奮状態で10ページ読む
  • トップ5%社員の読書はマルチ・リーディングする
  • トップ5%社員の読後は10分以内にアウトプットする
やはり、トップ5%社員は、読書やアウトプットへの向き合い方が全く違います。筆者も一部は実行していますが、取り入れていないノウハウが書かれてあります。非常に勉強になります。特にオーディオブックに関する内容等々は大いに参考になりお勧めしたい本です。

5%社員の読書術(その1)          読書は「準備」で決まる
本書では、読書を始める前から多面的な「準備」を心掛ける必要がある点を指摘している。その準備には【環境面】と【心の面】と【物的な面】の3つがあるという。詳細は本書をお読み頂きたいが、其々の代表事例だけを取り上げてみましょう。【環境面】では、読書に集中できる場所と時間を予め決めて置く必要があるといいます。一例では近所の喫茶店を上げています。【心の面】では、「2分のアフォーメーション(Affirmation、肯定的な自己啓発)」とあります。読書で自己成長出来るイメージの心構えが必要といいます。【物的な面】では、「小さな付箋を用意する」とあります。読書中に付箋を貼るということですね。全部で11の事例が紹介されています。本を入手して読むだけなく、事前準備が重要なのです。

5%社員の読書術(その2)          ユニークな「本選び」から
一般的に読書をする際に本を選ぶ場合、新聞や情報誌やアマゾン等々で探すのでしょうか。或いは書店や図書館に行く場合もあるでしょう。又は、友人や先輩等に勧められて購入することもあるでしょう。筆者は、先に書いたWebの書籍情報や出版社からの情報やアマゾンや大型書店等の売れ筋情報等々を参考に「本選び」をしています。本書で書かれたケースは、ユニークな「本選び」が幾つか紹介されている。その中の「セレンディピティ5対2の法則」というのがあります。セレンディピティ(英語:serendipity)とは、偶然をきっかけに予想外のものを見つけて価値を見出という意味から、5対2の割合で本を選ぶのが好い方法であると紹介している。具体的に自分の求める専門分野や課題の本を5冊、加えて気が付いた本や気になる本を2冊選ぶ方法です。このシンプルな法則で選ばれた本を読書すると、自分の知的世界が大きく広がり可能性がより高まるという。新たな書籍との出会いは、「学びのセレンディピティ」に繋がるチャンスとなる。他にも「本選び」の方法が書かれてあるが、著者は本選びから、“成長+偶然”を可能にさせる絶好のチャンスであると結んでいる。

5%社員の読書術(その3)          「読書法」にも色々ある
最後にこの本の「読書法」について少し書いて置きましょう。本書では14もの事例が紹介されてある。筆者も読書を趣味として長年慣れ親しんできた「本好き」であるが、こんな方法もあるのかと驚いた。一般的には、多読、精読、熟読、速読、選読、複読があるのでしょうが、他に未だ色々な読書法を紹介している。是非、本書から新たな方法も探って頂きたい。筆者が実行している複読(本書では、マルチ・リーディング)をお勧めしたいです。ジャンルの異なる本を3,4冊同時並行的に読む方法を長年やっています。適度な緊張感と記憶力補強(ボケ防止?)と読書の面白さが倍化していると勝手に思って読書を楽しんでいます。

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