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「日本人がグローバリゼーションを勝ち抜く方法とは?」

P2M研究会 芝 安曇 : 3月号

  1. A.この本を読んで感じたこと
     1995年米国は突如インターネットという国境を持たない通信網を全世界に張り巡らせた。米国はこの行動により、世界制覇を宣言した。
    ・ 「金融政策から財務政策にかわる方向に向かう」(軽部健介著:アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのか)
     一方これに対する日本の戦略はアベノミクスであったが、アベノミクスの規模のおおきさに、財務省は反対し、日本銀行も国債を発行しないと反論し、アベノミクス遂行を阻止した。
     これに対する安倍総理は現状から見て、安倍総理提案内容が金融政策から、財政政策に移り、努力の結果400兆円ほどを確保したかに見られている。
     しかしながら若者が10年間昇給なしで過ごしてきた課題は解決していないが、財務省の仕方は昇給ではなく、無昇給ということのようだ。

  2. B. 私がオンラインジャーナルを使って日本人の皆さんに知ってもらいたい発想があります。それは日本が1990年に製造業世界一と言われるようになった功績と一致します。しかしその時期の日本は1997年に山一証券が自己破産で、バブルが起こり、財務省は公共投資並びにオリンピック予算合わせて、6兆円を準備したが、それ以外の国債は発行しないという白川日本銀行総裁発言があった。これに困って本件は後任の黒田氏を日銀総裁に据え、その交代で、国債の発効は許された。
     しかし反対はこれだけでなく、財務省は成果を出しても10年間の若者の昇給を認めないと云う形をとっている。(財務省からの返答なし。)この件はこれからの検討課題となっているが、結果は霞が関村の金持ち住人の懐に金を配布しながら、霞が関の住人の懐にしかはいっていない。

     一方、経済政策派は財政に比重が移り、当初のアベノミクスの看板となった「デフレは貨幣的な現象なのだから金融緩和で克服できる」というリフレ派の主張は、「消費税を引き上げたのでデフレ脱却の勢いがずれた」と変化を標榜したが、日本国の若者の給料を上げず、世界的に見ても日本の若者の報酬をあげなかった。今は「財政出動でもデフレを解消できる」という現代貨幣理論MMTの隆盛に乗って積極財政を主張しているが、日本国とすると、金がなくなったのではなく霞が関族幹部級の懐をうるおしているはずである。しかし日本の若者の昇給なしは、日本人の若者の報酬が伸びず、貧乏大国になっただけである。しかし私は考えます。うれしいことに令和の若者は現在の環境にめげず、スポーツで成果をあげています。残念なのは東大の受験問題は金持ちに有利にできており、有名高校に有利であり、東大入学生からは世界のエリートに勝つ能力がないようである。世界で有名な学者が生まれてこない。そのため東大生の米国有名校への入学者も減っているようである。そこで私が気ついたことがある。米国社会では単にハーバード留学ではなく、何をすれば成功するかという取り組みがないと、成功しないということだ。この消費の在り方で勝たないと成功できない。試験に合格する能力は高くなっていても、欧米人的能力競争に勝てるか疑問である。

  3. C.米国ではどのようにしてライバル企業と戦っているのか。

第4章 デル・コンピユター【 レジタル・イノベーション①】
    ◎価値連鎖の逆転という戦術

▼6―1)『ライバル企業との差別化』
  1. オンラインでコンピュータを販売している企業はデルだけではない。
     チョイスボートの使用など、デルのデジタル・イノベーションは競争企業によつて模倣されている。それでも、使いやすさ、明朗さで、速度、費用、個別化といった点でどの企業もまだデルに及ばない。
     本件で日本の調査員A氏が、そこでまず、テクノロジーの関連する製品について専門家の助言を確認した。デルのコンフィギュレータを使うと、求めているものが簡単に選べた。価格は2,000ドルを切り、送料と税を含めても2、175ドル位である。顧客が注文してから、出荷できるまでに、僅か6時間ということもわかった。そこでA氏はデル、コンパックを訪問した後、最後に東芝を訪問したが、現場はとても見ずらく、しかも東芝は二社と同様の試験を実施していると思っていたが、検査は実施していなかった。その結果、A氏は東芝を見限った。

     では、他のチョイスポートは絶えず変化する戦場で競い合っているが、オンラインのインターフェイスは比較的容易に模倣できる。だが、顧客サービスの背後にあるものを真似るのはずっとむずかしい。表面的な対応と顧客への対応はべつである。例えば次のような。
  1. ● コンフィグレータを競合企業より信頼できるものにしている
  2. ● 高品質な製品を競合企業より、速く安く提供を可能にしている、供給ネットワーク管理のノウハウ
  3. ● 無名の競争企業よりデルから購入した方が安心できるというブランド力

     「電子商取引の速度は両刃の剣である。或るサイトをやめて別のサイトに移ることが素早く容易に行えるので、一瞬でも混乱させれば顧客を逃がすことになりかねない」「リスクの軽減は、DBDによって高められる協力なバリュウ・プロポジションである」。
  4. ● 数十年に渡ってIBMは「IBMを選んでクビになった者はいない」という諺を生むほど隆盛を誇った。それと全く同様に、B氏は「デルを買えば間違いない」と考えた。このリスクの軽減という意識――疑問や不完全な情報に直面した時は、デルから買えば後悔せずに済むという感覚―は、デルの口コミの評判や歴史だけでなく、そのチョイスボードなど、デジタル化されたサービスの簡便さ、速度、効率、正確さなどによって生み出されている。

    デルのウエブは明快で直観的にわかりやすいため、顧客に次のような気持ちを抱かせる。
  5. ● 彼らは自分たちのしていることを理解している。
  6. ● 彼らは私を気ずかってくれる。
  7. ● 彼らは私が欲しいものを理解している。
  8. ● 彼らはこうしたことをずっと行ってきており、あらゆる問題は取りのぞかれている。
  9. ● 私は心配せずに彼から買うことができる。

    これらは何を意味しているのだろうか

  10. ◎ 単にオンライン化しただけでは十分とはいえない。顧客ニーズ、需要、不安、要求のすべてに応えられるデジタル化されたサービスを提供することが、決定的な差を生み出すのだ。

▼6-2)在庫と情報の交換
  1. ① デルのDBDの重要な特徴の一つに、従来型の価値連鎖の「逆転」がある先ず顧客から電子的に注文を受け、そのときのみ、 製造プロセスを開始することで在庫を最小限におさえ、値下げや、売れ残り品を、ほとんど排除し、サプライヤーへの支払いが生ずる前に顧客から支払いをうけられるのだ。

  2. ② 在庫の価値が毎週急落する。(デルと競合する実に多くの企業にとって、パソコン事業が財務的なブラックホールとなっている決定的な理由である)。市場においては、こうしたアプローチが顧客に大きな価値を与えつつ、自社の経済的側面を守る唯一の方法である。

6―3)従来のビジネス・モデルと比べると、デルのシステムはほとんど錬金術である。だが、それ
は魔法ではない、アトムに取り組む前にビット(顧客が本当に求めているものに関する情報)を手に入れる方法を、きわめて高度に、完全に統合したに過ぎない。

 こうしたシステムの設計には、高次元の飛躍的な思考も求められる。それを機能させ、維持するのは、更なる難題である。自社の在庫管理について、マイケル・デルは次のように語っている。

6―4)「我々は在庫の回転速度に対して懸命に取り組んできた。最高の回転率を達成するには、
最小限の部品で市場の最大部分を対象にできるよう製品を設計しなければならない。例えば4種類のディスク・ドライブで、市場の98%をまかなえれば、9種類も用意する必要はないわけです」。

6―5)デルの言葉の裏に注目したい。デスク・ドライブを9種類から4種類に減らせるのは顧客が
好む4種類のディスク・ドライブがどれかをはっきりと把握し、その結果、その嗜好がいつ、どんな方向へ移っていくか予測できるからだ。

 多くのメーカや小売業者はこうした問題について漠然とした情報しか持っていない。デルは顧客との結びつきをデジタル化することで予報を認識にラグタイムをリアルタイムにおきかえたのだ。マイケル・デルはこう述べた。

6―6)「成長率を維持しながら、在庫を削減すると、ある世代の製品から次世代製品への移動での
大きなリスクが生じる。従来のような備蓄在庫を持たないため、古い製品ラインの打ち切りのタイミングを顧客が求める新しい製品ライン」に対する需要の増加に正確に合わせることが重要になるのです」

▼6―7)【顧客との緊密な関係の拡大】
 マイケル・デルとヘンリー・フォードはどちらも経済の革命児だが、その手法は正反対である。
 フォードの優れた点は一つの製品-1908年に発売されたT型フォードは米国の広野を走れる発想が人気を呼び、何百万人もの愛好者の利用者の購入で、限りない種類の製品をデザインできるようにしたことで米国の経済に大きく貢献した。

▼7―1 デルのビジネスデザイン
 デルのシステムでは、顧客がー製品のデザインや購入だけでなく、それ以外に、自分での要求を満たすことも、1週間前に、注文したパソコンの状況を確認することができる。また、デル、顧客の行動に関するリアルタイムのデータも収集できる。そしてデルが得ている効果はジャストインタイムのスケジュールである。

 表4-1はデルのビジネス・デザインを要約したものである。
 顧客に対するユニークなバリュウ・プロポジションには、コンヒグレータ・システムによる迅速な対応や高度なカスタマイゼイシヨンがある。また、対話が容易であることや、価格や注文状況の確認からパソコンのデザインまで多くの機能におけるセルフサービス、法人顧客に購買パターンや使用法に関する正確な情報を豊富に提供できることも含まれている。
  1. ● デルの事業領域は、デル・ファイナンシャル・サービス(DRS)やギガバイスによって進化し、他社の製品の取り扱いまで含むようになった。社員に対するユニイクなバリュープロポジシヨンには次のようなものがある。

▼7―2) デルのビジネスデザイン
 顧客に対するユニークなバリュウ・プロポジションにはコンフィグレータ・システムによる迅速な対応や高度なカスタマイゼーションがある。また、対話が容易であることや、価格や注文状況の確認からパソコンのデザインまで多くの機能におけるセルフサービス、法人顧客に購買パターンや使用法に関する正確な情報を豊富に提供できることまでも含まれている。
 デルの自業領域は、デル・ファイナンシャル・サービス(DFS)やギガバイズによって進化し、他社製品、またパソコン以外の製品の取り扱いまで含むようになった。 デルはプレミア・ページ―四万を超える法人顧客向けに用意された。個別化されたウエブ・ページーを通じて、更なるカスタマイゼイションを提供した。その頁は顧客企業のイントラネットとつながり、顧客と認証された社員は自分だけの認証がわいた。

 ▼7-1、▼7-2に示された内容の説明がなされている。表4-1にはデルの集めた高度なものDBD、4万を含む法人顧客向けに要約されたものを集めています。

次頁には表4-1 デルのDBDの表示です。
表4-1 デルのDBDの表示

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